乾いた気持ち
仲間が星になりました。
患者会の立ち上げ時から、いろんなことが重なって
共に歩んできた存在でした。
難治であるという事実を、告知の時から、本人も家族も
ずっと背負って生きてきたのだと思います。
もしかしたらという期待と、目を逸らせない現実。
その狭間の中で、生きていくのは、言葉にはできない日々なのです。
厳しい事実の前で、笑顔を絶やさず、挑戦することを恐れず。
そのことへの賞賛は、してもしきれません。
ただ、旅立ちを知ったことからの、あちらこちらの思い出語りに
私は、乾いた気持ちを持ってしまうのです。
まず、こんなに早く旅立つとは思わなかったという言葉。
違う世界にいるんだなと思ってしまいます。
あの状態で、よくここまで頑張ったというのが現実だと思います。
そして、最近の本人の発信を読めば、もし、がんというものをご存知なら
これがどういうことなのかは、感じていたと思うのです。
ご家族のことを思って、胸が痛みます。
想いを受け止め、最後まで生き切る日々を支え、そして、ここからも
家族の日常が続いていくのです。
私は夫が旅立った時、その時が来ることを、告知の時からずっと覚悟していたけれど、本当に現実になってしまったという重みに潰されそうになりました。
涙も出なかったし、逃げられない現実の前で、とにかくしっかりしなくちゃと自分に言い聞かせるので精いっぱいでした。
思い出を蘇らせる気持ちには、数年経ってからもなれませんでした。
むしろ、誰かに思い出を語られるのが辛かったです。
あなたにとっては、思い出なんだなと。
もし、命に繋がる治療があるのなら、きっと、そのことに集中したんじゃないかなと思います。
夫もそうでした。
どうにもならない現実があったから、最後まで全力で生きたかったのだと思います。
みんなに見せてきた姿こそ、人生会議なんじゃないかなとすら思います。
最悪を考え、出来ることに精一杯取り組む。
私は、人の旅立ちに泣けなくなってしまいました。
なんなんだ…と不安にもなります。
泣いても、叫んでも、変えられない事実があるのなら
変えることに力を使いたい。
今日は空もみあげませんでした。
だって、空にいるわけじゃないから。
想いはここにある。
だったら、私は行動することにギアを入れるべきだと思いました。
とても大切な存在でした。
いつも、私に言ってくれました
『やらない理由はないでしょ?』って。
全国胃がんキャラバン、多くの人にがん情報を届けるグリーンルーペアクションに挑戦しています。藁をもすがるからこそ、根拠のある情報が必要なのだと思い、頑張っています。