ただいまと、さよならの故郷

生まれ育った場所から飛び立って行くのは、何度経験しても、慣れない。

歳を重ねて、住む場所が変わって、自分の生活に忙しくなって。家族や友達が待つ街へはなかなか帰らなくなった。

そうやって生きていくことを選択をしているのはまぎれもなく私なのだけど、たまの帰省に久しく触れていなかった温かさに触れると、旅立ちの日がいつまでも来ないで欲しいと、つい願う。

もちろんその願いは叶うことはなく、帰りのチケッ

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『車窓』(超短編小説/400字)

母は、そわそわしていた。

   意味もなく花瓶の位置を変える。目的もなく台所をうろうろする。押し入れで何かを探すふりをする。

   今日、僕は東京に行く。

   初めて実家を離れることの意味を考えていた。それは母にとって、初めて子供を送り出すことであり、子供中心に生きてきた18年間が終わるということを意味する。

   今日、旅立つのは僕だけではない。母も旅立つ。僕という子供から。

「じゃ

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出発ロビーにみる人生

数年間空港で働いていたこともあり、空港という場所に愛着がある。理由がなくても時々ふらっと行きたくなる。

季節感あふれるディスプレイを眺めたり、飛行機をまじかに見ながら美味しい物を食べたり、行きかう人々を観察したり、聞こえてくる会話を盗み聞きしたり、涙の別れを目撃したり、一日中楽しみはつきない。

特に好きなのは出発ロビー。これから旅立つ人々の、少しばかりの不安と恐れ、しかしそれらを凌駕するわくわ

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ありがとうございます。またの♡をお待ち申し上げております!
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風待ち

モワッとふわっと  もわ もわわ
いっきに飛び出し  くるりんぼん
ひっくりかえって  なんじゃらほい
牛のかあさん思い出す
かぜ  風  吹いて  吹き飛ばせ
旅の準備は  出来てるよ

さよならを「エール」に変えて

梅雨まっただなかですね。
もうあっという間に2019年も折り返し、残すところあと半分になりました。

2019年の6月末は私にとっては「別れ」の季節になりました。
身近な同僚が今の職場を後にし、別れのメッセージをメールやSNSで見かける…そんな6月末でした。

以前から相談を受けていたり、飲み会の席で話していたりしたので、決して突然のことではなかったのですが、寂しいような嬉しいような、でもやっぱり

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すごくありがとうです!スキってめっちゃ嬉しい。
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星降る夜

流れ星 進むために
一瞬の閃光 燃え尽きる

何時までも 立ち止まっては
いられないから

最後くらい 綺麗に見えるように
一瞬の瞬き 夜空に消えた

星降る夜の願い事

君が幸せでありますように

病 ≒ 痛

芭蕉のニ句を想い起こした。この切っ掛けは訪問先の詩(心)で、何が幸いするか分らないところが人生は面白いと私は思っているのです。ともあれ、その二句はご紹介するまでもなくご存知の方は大勢いらっしゃるでしょう。

★病鳫の夜さむに落て旅ねかな 芭蕉
  (やむかりのよさむにおちてたびねかな)

☆旅に病で夢は枯野をかけ廻る 芭蕉
  (たびにやんでゆめはかれのをかけめぐる)

私なりに句の意味を載せます

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Log_4: Screen

ぼくは新幹線が好きだ。

もちろん飛行機も好きだが、ワクワクするのは空港の非日常感だけで、機内に入ってしまうと味気がない。

その空港の非日常感も、国際線ターミナルが大部分を占めているので、国内線を使うとなると本当に味気がない。

背に腹は代えられないので時間やお金の問題から飛行機を利用することも多々ある。

ただ、新生活を始める場合は別だ。

新しい場所で新生活を始めるときは必ず新幹線で向かう。

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これから新しいチャレンジをする仲間たちへ。 そして、まだパートナーと出会っていない私やあなたへ。

シナリオの日々の練習としての短文です。第一回目、どうぞおつきあいを。

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告白した。

彼がこちらへ手を差し伸べている夢を観たから。

でも、実際に告白するまでに私の心はめちゃくちゃ嵐をさ迷って、みぞおちあたりがどっしりと重くなってしまった。そう、葛藤しまくったの、三日ほどね。

だって相手は奥さんも子供もいて幸せそうだから。決して、その幸せを壊し

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【第10話】  カラスの適職は「掃除屋(スカベンジャー)」。しかし、本当の天職は・・・    『夢になれ夢になれ 〜それは遠い日の忘れ物を取り戻すための物語〜』

【前回のあらすじ】
夢の中の世界を通じ、かつてペットとして飼っていたゴールデンハムスターのチェリぞうが僕の前に現れた!そのチェリぞうの手助けを借りながら、かつての子どもの頃の記憶を垣間見ていくことで、欠けてしまった『本当に大切な何か』を取り戻そうと一歩ずつ歩みだした健悟。

小学校1年生の健悟は、家族と夕飯の買い物でスーパーにやってきた際、売れ残っていくことで瞳が黒く濁り、そして心が死んでいってし

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