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マミの東京上京物語#2「この部屋に住みたい、だけど、物件の審査が・・・・・・」

「東京で暮らすのはムリ・・・・・・。こんなに寂しい気持ちになるなんて、東京に来るまでは気付かなかった。なんで東京に来たんだろう。関西に戻りたいな・・・・・・

そう落ちこんでいた私の元に、一通のLINEが届きました。
それは、東京に来て最初に知り合った、五反田にある不動産会社の担当者さんからのLINE。

その担当者さんは、関西にいた友達が「東京で家を探すんだったら、この人に相談するといいよ」と教えてくれた人でした。
東京にひとりも知り合いがいない私にとって、その担当者さんの存在は心の支えでした。
誰かひとりでも自分のことを知ってくれている人がいる、それだけで人ってこんなに安心するんだ・・・・・・そうあらためて感じたんです。

私はその担当者さんと一緒に、都内の物件を何軒も内覧していました。
その内覧の中で「こんな部屋に住めたら、本当に素敵だな」と感じた物件があって、ダメ元で審査をお願いしていたんです。

私に届いたLINEは、その物件の審査が終わったという内容のLINEでした。


どうなのかな・・・・・・。
審査通ったかな・・・・・・。


恐る恐るLINEの通知を見てみた私。
ただ、一行目の文章を見た瞬間、読み進めるのが怖くなりました。

なぜなら、そのLINEの通知に書かれていた文章は【審査の結果が出たのですが・・・・・・というものだったからです。


何?
この【出たのですが】って・・・・・・?


ああ、きっと審査ダメだったんだろうな・・・・・・。
このLINE開きたくないな・・・・・・。


そう思うと、私の指がなかなかLINEを開こうとしてくれませんでした。
LINEを開いてしまうと、私の東京生活の夢がそこで終わってしまう気がして・・・・・・。


実は私には東京に来たときに叶えたい夢がひとつありました。
それは、ひとり暮らしするのなら、前に住んでいた部屋よりも、素敵な部屋に住みたいというもの。


東京は家賃が高いと聞いていたので、正直、前に住んでいた部屋よりもいい部屋を望めないことはわかっていました。
実際、私が住みたいと思ったエリアの家賃は、前に住んでいた部屋の2倍もして、自分の考えがいかに甘いかを痛感させられました。


でも、私は素敵な部屋に住んでみたかった。


私が上京前に住んでいた部屋は本当に狭くて、仕事が終わって帰ってきたら、ただ寝るだけの部屋。
ベッドもテレビもなく、洗濯機と冷蔵庫だけがあるような部屋でした。
当時、仕事で疲れて帰ってきた私は「部屋で寝るのも玄関で寝るのも一緒だし、部屋まで行くのが面倒くさい」という理由だけで、玄関で寝ることも多く、誰かに見られたら廃人と思われても仕方がないような暮らしをしていました。

元旦那と別れる前は、もう少しマシな部屋にふたりで住んでいたのですが、元旦那と別れたあとは、仕事のことばかりを考えるようになり、住まいやファッションに関する執着はなくなっていました。

一緒に暮らし始めた猫も、すごくストレスを抱えていたようで、部屋中の壁という壁がひっかき傷でボロボロに。
(退去時には大家さんに謝り、壁の修復費を負担しました・・・・・・)

そんな部屋だったので、東京に出るからには、住まいから生活をリセットしたい!
東京へ遊びに来た友達に「素敵な部屋に住んでるね!」って言ってもらえるような部屋に住んでみたい!
そう強く思っていました。

ただ、私が審査をお願いしていた部屋は、私が以前住んでいた部屋の2倍の家賃。
23歳の無職の女性が払える金額じゃないだろとツッコまれると思いますが、私は以前、キャバクラで働いていたのである程度貯金がありました。
その貯金と、これから東京で始める仕事のお給料を足せば、なんとか払えそうだと思っていました。


でも、私は大事なことを忘れていたんです・・・・・・。

それは、部屋の契約には「審査」が要るということ。


貯金があるといっても、東京に来たばかりで無職の23歳の女性が、審査をカンタンにパスすることは難しかったんです。
とくに家賃が10万円を超えるようになると、審査はとても難しくなるそうです。

そういう事実を知り、私は自分の第一希望の部屋に住むことを半ばあきらめていました。
家賃を下げれば、東京のどこかに住むことはできる。
東京にはたくさんの部屋があるので、今自分が住みたいと思っている部屋の審査が通らなくても、ほかの部屋を選べばいい。
そう考えると、部屋の審査に通るかどうかということは些細な問題だと思われるかもしれませんが、私は自分の気持ちで行動してしまう性格。
東京に大きな憧れを抱いていたので、自分の第一希望の部屋に住めないときは、東京暮らしをあきらめようと思っていたんです。

そんな私のために、不動産会社の担当者さんは、審査が通るように色々なところに掛け合ってくれました。
保証会社を通すだけでは厳しいという話になり、関西に住む父に保証人になってもらいました。
私の実家は裕福ではないですが、「お前が東京で頑張るつもりなら、応援する」という父からの言葉が私の背中を支えてくれました。

今後どこかで書こうと思っていますが、私は自分のお父さんに迷惑をかけっぱなしで、本当に親不孝だと思っています。
私があまりにも自分勝手すぎて、口も聞いてもらえない時期もありました。
元旦那と離婚したときも、たくさん迷惑をかけました。

だから、私が東京で成長できたとき、お父さんとお母さんを東京に呼んで、東京観光をプレゼントしたいと思っています。

そんな思いが頭を駆け巡る中、私は担当者さんからのLINEを開く決意をしました。


【審査の結果が出たのですが・・・・・・】


なんで【出たのですが】なんて書くんだろう・・・・・・。
もしかしたら、担当者さんもどういう風に伝えるか悩んだのかもしれないな・・・・・・。
優しい担当者さんだったしな・・・・・・。


もし、この物件の審査が通らなかったら、東京には縁がなかったということだろうな・・・・・・。
物事は最初が肝心って言うし・・・・・・。


神様・・・・・・!




「審査の結果が出たのですが・・・・・・

おめでとうございます!!!
管理会社さんのOKが出て、最短で来週頭から入居できます!」


へ・・・・・・?


そのLINEの結果を見て、私は嬉しいを通り越して、その場にヘナヘナと座り込んでしまいました。
そして、次に思ったことは


「担当者さん、絶対、Sだ」。


奇跡的に第一希望の物件に住めるようになった私。
ついに東京へ引越をする覚悟を決めたのでした。

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