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今度は永遠に来ないかもしれないから[77/100]

「次にしよう」と思うよりも「今、やるためにどうしよう?」と考える方だ。

しかし、何度かは「次にしよう」と思って、その「次」が今のところ全然なさそうなことがある。忘れっぽい性格なので、それすらも忘れることが多いのだけれど、1つだけ「あのとき、あのタイミングを逃さなければ……」と思って今でも後悔していることがある。

それは「ペトラ遺跡に行かなかったこと」だ。
今から15年前、私はトルコ→シリア→ヨルダン→イスラエル→ヨルダン→エジプトとバックパックで旅をした。1社目を辞めて、2社目に入るまでの間の2か月弱。旅の本命、イスラエルからヨルダンに一旦戻る。日本への帰国期限(2社目の入社日)が迫っており、もう1か所行くなら休まずに動かなければならない日程。せっかくヨルダンに来たんだ。ペトラ遺跡は行きたい……と思っていた。しかし、旅も後半戦、疲れが出始めていた。「明日朝のバスでペトラに向かうか。疲れたから、もうあきらめて、エジプトに飛ぶか」と悩んでいた。
ちょうどその日にドミトリーにペトラから帰ってきた旅人が「(ペトラは)めちゃくちゃ寒くて、トイレもシャワーも凍って使えなかった」と言った。その瞬間に、行くのを諦めた。
二段ベッドに寝転びながら「今度また、必ず来よう……。今はこんなに疲れているし、タイミングじゃないんだ」と思ったのを今でも鮮明に覚えている。

「次」とあの時思ったのは、独身で身軽だったし、中東の政局が比較的安定していたからだった。でも、世界も自分もどんどん変わる。ペトラ遺跡、もしかしたら私はもう一生いけないかもしれないなぁ。

「今度やろうはバカヤロウ」と聞いたことがある。
「今度」という選択をした時点で「今度が来なかったとしても仕方ない」と諦めることも同時に覚悟しなきゃならないのかもしれない。

「今度は来ないかもしれないけれど、まぁいいや」と諦められないことはこれからも「今」やろう。

行きたいなと思って1年想いを寄せながら過ごすよりも、時間やお金を前借りして今行ったほうが、これから1年その経験を握って生きていける。

前借りしがち人生【さとゆみの今日もコレカラ/045】

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