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2001年生まれの君へ


2018年。
今からもう5年前になるのか。


わたしは高校2年生だった。
高校生活にも慣れて、後輩もできて、先輩に「一番楽しい学年だよ」と言われるような、そんな華の1年を過ごす予定で、勉強はほどほどにして生活のほとんどを部活に傾倒していた。



そんな高校2年生の今日、同学年の“君”はあっちに行った。



君とは中学校が同じだったわけでもないし、クラスが同じだったわけでも部活が同じだったわけでもない。
友達の友達、友達の部活の人ではあったけど、とりわけ交流する機会があったわけではないから、わたしは人の名前をすぐ憶えてしまうたちだけど、君はわたしの名前を知っているかも、知っていても名字だけ。くらいの関係だったかな。


ただ、クラスの垣根を超えた授業で、君と私は数回話したんだけど、覚えているかな。
世界史の先生が提示してきたよくわからない『砂糖の歴史』の新書を読むことが課せられたあの授業。
教卓の前で発表をする君は、話す内容をまとめるのが上手だったし、何より堂々としていて、何となくだけど古びた校舎を背景に君が話している姿は映像として記憶しているよ。




それが最初で最後の君との関わりだったかな。





5年前の6/11、私は夜な夜なシュークリームを作ってたんだ。

今年は部員の誕生日に、スイーツを作ろう4月に意気込んで始めた製菓。6/12が誕生日の部員の誕生日に向けて、いつもだったら22時まで部活後に塾に行って自主的に缶詰だったけど、早々に家に帰って作ってたの。

そしたら11時くらいかな。
ちょうどシュークリームの外側ができて冷ましいる時に、友達たちからLINEが来たの。


君がもしかしたら。って。





君のことは名前以外ほとんど知らなかったけど、
頭が真っ白になっちゃって。





なにを呑気にシュークリームなんて作ってんだ。
だけど、わたしに何ができた?今から何ができる?って。


『色んな人に聞いてみてほしい。』
『何か手がかりがあるかもしれないから。』
と言われた友達たちからのメッセージに答えるしか、君に繋がることがわたしにはできなくて、必死に中学の友達に連絡をしたことを鮮明に覚えてる。



結局その日のうちに君のリアルはわからなくて、
とにかく明日を待つしかなくなった頃には6/12の深夜になっていて、
誕生日の部員は君の友達だったから、上手くLINEで誕生日おめでとうを伝えられなくて、
カスタードクリームを詰める手は少しふるえながら、(こんな時に何してるんだよ)って誰もいないキッチンで思って1人最後の仕上げをした。

全部終わっても寝れなくて、
どうしても最悪のことを考えてしまって、寝れなかった。
1人で、音のない世界が怖くて、動画を見てた気がするんだけど、何を見ていたとかはもう一切覚えていないんだ。



翌朝、学校に行った。
ちゃんと片手に昨晩作ったシュークリームを持ってね。

君とわたしはと顔見知りレベルの関係。
だから、学校に行けばもっと濃い関係の人であふれていたから、私は数時間前までのように自分自身で感傷に浸ることができずに、ただお互いに謎に身を寄せ合って、無責任な大丈夫を連呼していたんだ。
何が大丈夫なのかよくわからないし、何が大丈夫なんだよって。



だけど、だからといって、彼らにどんな声をかければいいのかもわからなかった。
どんな表情も、どんな言葉も、間違いなんてないのに間違っている気がして。



異様な校舎の中で、君のいまを君から聞きたくて、
早くスピーカーから、君の堂々とした声で、君の今を聞かせて。


そう思ってたんだ。




だけど、それはかなわなくて
君以外の声で、君の今を聞いたんだ。




あの日からしばらく、
喉元が苦しくて食欲もなかったのにお腹はなるし、
涙で視界は歪んで、頭もぼーっとして内容はさっぱり入ってこないのに文字は読めて、
家に帰ったらいつものように電気がついていて、母がいて、
生きてることを感じて、けど、君はもういない、と感じて。
自分にも、誰にももうどうしようもできないのに。
君のいないこれからのことを見れずに、
君のいた過去の事ばかりを考えていた。
それこそあのつまらない砂糖の授業の時の君がずっと頭を占めてたんだよ。



あの日、
シュークリームを部員に渡したとき、
笑顔で受け取ってくれた。
今日渡すべきじゃないと思っていたけど、前々から予告していたからか『今日くれるんだよね?』と言われて(たぶんそうだったけどあまり覚えていない)渡した。
彼は楽しみにしていてくれたけど、本当に今日渡してよかったのかな。
私、何してんだろ。
そう思わざる負えなかった。

今思うと彼の大人な気遣いだったなって、なんだか少し助けられていた気がする。ありがとう。





君とはよっ友くらいの関係性だったけど、
君のことは今でも鮮明に覚えているし、
君があっちに行った今日のことは、普段は出てこないように端っこに置いているつもりなんだけど潜在的にずっとあって、
6月になると思い出したようにというよりは、君のことを完全に行かせたくなくて、ぼーっと考えてしまうんだ。
だから今、このnoteも書いている。
本当はあまり真正面から向き合いたくはないし。君に許可も取ってないけど文にしている。






私は君の誕生日も知らないんだけど、今何歳なの?
もう今年22だね。
高校に行っても顔見知りの後輩はいないし、先生たちもガラッと変わって、あのおんぼろ校舎も少しづつ無くなってきてるよ。
あっという間に四半世紀経とうとしているのが少し恐ろしく感じるもん。


2001年生まれの君へと題で書いてしまったけど、
もしかして早生まれだったりするのかな。
間違ってるかどうかそっちから修正入れてくれると助かります。


わたしの中で君がいなくなることはないです。
そして。君の今いる世界で、君らしい生活を送れていることだろうと思っています。




次に君と関係を持つときは、砂糖以外のつながりも欲しいな。



わたしより

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