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バンドがマーチャンダイズで収益を上げることができない理由

上の写真。Super Furry Animals とFall Out Boyのニット帽。寒くなってきたから大活躍。


先日、シャーラタンズのティムのツイッターで、"ヴェニューがバンドのマーチャンダイズのコミッションを取る"ということを初めて知り、えー!?マジ?と思ったのだが、BBCに関連ニュースがあり、かなり気になっていたので、翻訳&要約した。

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こちらがそのツイッターの投稿。「バンドのマーチャンダイズ・セールスに、パーセンテージを取らないヴェニューを大いにリスペクトする。これはシャーラタンズに関する問題じゃないんだ。生き残るためにマーチャンダイズの売り上げが必要不可欠なバンドにとって重要な問題なんだ。25%つまり売り上げの4分の1を回収するヴェニューもあるようだけど、ヴァイナルに関しては、そもそも元値が安いというのに」。他のミュージシャンや音楽ファンから多くの賛同コメントが付き、リツイートされ広く拡散された。


BBCの記事のはじまりはこうだ。

"ワイト島のインディーバンド、Coach Partyのメンバーはギグが終了すると、ダッシュでマーチャンダイズ・スタンドに走り、Tシャツを売る"。

20ポンドのTシャツ1枚にかかるコストは8ポンド。販売に人を雇っていたら、儲けがなくなる。「ミュージシャンとして黒字を出すのは本当に大変。ツアーにかかるコストは想像以上よ。レコードの生産から、ガソリン代、ホテル代に、ツアーバスのレンタル料。トントンだったらラッキーよ」とヴォーカル&ベース担当のジェス・イーストウッドは Newsbeatに語る。

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ワイト島のインディーバンド、Coach Party「マーチャンダイズの売り上げ1ペニーに至るまでバンド生命がかかっている」

中にはマーチャンダイズの売り上げの20%を回収するヴェニューもあるというのに驚くが、もし、マーチャンダイズを運営するコンセッション会社と契約があった場合には、最大25%(!!)が取られてしまうという。「選択の余地はないのよ。正直モヤモヤするわ。だって、収入の1ペニーだって無駄にできないのに」とイーストウッドは苛立ちを隠せない。

そこで、いくつかのヴェニューは、前述のティムのツイートやバンドのフラストレーションに応えて、マーチャンダイズに関する出演者とのルール変更を行った。ブライトンの the Old Marketがその一つだ。「新人のアーティストに運営費を賄ってもらおうなんて思ったこともないわ」と、担当者のヘレン・ジュエルは語る。しかし、最近まで当ヴェニューはマーチャンダイズ・セールスに一定のコストを課していた。事実、コロナ・パンデミックにより痛手を受けているのはヴェニューも同じだ。ミュージック・ヴェニュー・トラストによると、1週間に £2m(約3億円以上)の損失を出すケースも出てくるという。「私たちヴェニューにとっても、1ペニーたりとも無駄にはできない。でも、アーティスト達がこの問題に声をあげるのも理解できる。だって、アーティストなしてはヴェニューは成り立たないでしょう?」とジュエルは続ける。

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今年7月からイングランドのギグ・ヴェニューはソーシャル・ディスタンスを課すことなく運営している。しかし、ミュージック・ヴェニュー・トラストによると、最近はオーディエンスの数は"破滅的に"減少しているとこのと。


ミュージック・ライブにおいてマーチャンダイズの売り上げはそれだけで大きなビジネスだ。そこで、いくつかのバンドは独自の方法でこのヴェニューのチャージを免れる対策をとっている。

シェフィールドの5人組バンドWhile She Sleepsは、自身の "マーチャンダイズ・マーケット"を開催するという。今月末に予定されている地元ギグを前に、他のバンドにも声をかけ、ウェアハウスにて共同でマーチャンダイズを売るのだ。「日中ファンの人たちにマーケットに来てもらい、先にマーチャンダイズを購入してもらうんだ。もちろんファンと会話する機会にもなるしね。他のバンドも売り上げを100%キープできる」とギター担当のマット・ウェルシュは語る。

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シェフィールドのバンドWhile She Sleeps。


また、とあるメタルバンドは、コミッションを取らないヴェニューを敢えて選んでツアーをするという方法をとっている。「1つの大きめのヴェニューでライブをしてコミッションを取られるよりも、コミッションを取らない小さなヴェニューで2日、または3日プレイした方が割がいいことに気付いたんだ」。

しかしながら、ラグ・ン・ボーンなどのアーティストのツアー・マネジャーを務めたことのあるマイク・キーガンは、ある特定のヴェニューにおいてはコミッション・チャージを課す販売方法の方が、より良く機能する場合もあると言う。「アリーナやスタジアム級のヴェニューでは、コミッション会社の介入なしにマネージャーが自らマーチャンダイズを運営するという方法には限界がある」とキーガンは続ける。「とは言え、やはりシステム自体は見直されるべきだろう。なにより手数料が高すぎるし、コミッション会社を利用するか否かを決める権限はアーティストに付与されるべきだ」と付け加えている。

私もギグに行くと、Tシャツやバッグ、バッジなど記念に購入するのだが、そんなことになっているとは全く想像していなかった。ファンとしては、売り上げがそのままアーティストの懐に入ってくれるのが一番嬉しいが、特にこのコロナ禍でヴェニューも苦しいというのを考えると、どこで折り合いをつけるか、とても難しいと思う。そもそもバンドから回収するべきではない?プロモーターが払うべき?確かに手数料が高すぎだとは思う。ライブの後、ダッシュでマーチャンダイズに走るのは大変だろうけど、バンドメンバーの手売りは嬉しいなあ。お話も出来るし。そういえばコロナ前に、友人のバンドをカムデンのパブに観に行った時、入場無料だったので、(お礼に)CDを買おうと思ったのだが、マーチャンダイズが用意されてなくて、「あれ?CDは?」と訊いたら、ウチにあるから来て、と言われて、ヴォーカルの自宅へ一緒に歩いて行ったわ(徒歩3分)。玄関先でCDを渡されて、10ポンド払ったけど、あれは確実にバンドに行ったな(笑)。


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