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ロックダウンとサリー・ルーニー『ノーマル・ピープル』

〔この記事は2020年4月30日に執筆しました〕

イギリスがロックダウンに入った時、正直ウチはなにも変わらないから全然オッケーと思っていた。夫は普段から昼も在宅だし、子供はいるけど部屋にいることも多いし、友人からたった1週間で「もうお手上げ、これロックダウン終わったら絶対離婚増えると思うわ」とメッセージが来ても「Welcome to my world!」と余裕の返信。

しかし2週間が過ぎた頃から、私もストレスを感じるようになった。
考えたら、ウチの夫は、昼は家にいることが多かったが、夜に働く人なので、週に1~2回は、彼が出て行った後、一人の時間が十分にあったのだ。大概は一人で映画を観たり、本を読んだり。
それが、夜もずっと家にいるもんだから、思ったように文化活動がすすまない。

映画も数えるほどしか観ていないし、夜10時のBBCニュースを観るからとTVを占領されてしまう(結局、コロナニュースばかりで気が滅入る。SNSなどでは、「ブレグジットが懐かしい」なんていうジョークも。私はどっちも嫌だが)。

なので、昨夜は夫にお願いして自宅オフィスに籠ってもらい、私はBBCで放送され話題になっていたドラマ、サリー・ルーニーの『ノーマル・ピープル』(Sally Roony『Normal People』を一気に4エピソード続けて観た。

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イギリスでも、2018年にブッカー賞のロングリストに上がったりと、話題になっていたが、日本語翻訳版はまだ出ていない様子。本当にいい本なので、どこか出版してくれないかな(願)。

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物語の舞台はアイルランドの西海岸に位置する田舎町Sligo。高校の同級生マリアン(Daisy Edgar-Jones)とコノール(Paul Mescal)の秘密の関係から始まる。2人は高校卒業前にコノールがマリアンを振る形で別れるが、ダブリンのトリニティ・カレッジで再会。マリアンは元々の美貌もあり華やかな大学生活を、一方コノールは都会の喧噪や洗練さになじめず、孤独感を抱えて過ごしていた。大学に入ってからも、2人は様々な感情のもつれと家庭の事情でくっついたり別れたりを繰り返す。

先に本を読んでいたので、映像化に対する懸念があったが、全く裏切ることなく、素晴らしい出来となっている。作者のサリー・ルーニーも脚本を担当しているので、原作にある程度忠実に再現されているのだろう。

今のところ、私自身14歳&11歳の2人の息子がいるので、どうしてもコノールの母親目線で観てしまっている。しかも、コノールの母ロレイン (Sarah Greene)は若くして子供を産んだシングルマザーなのだが、息子のふがいなさを叱咤するシーンなど、胸が痛くなるが、我が子を愛し一生懸命育てるしっかりした母親像を植え付ける。

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これから、マリアンとコノールの関係の行方がどうなっていくのか、残りのエピソードを観るのが待ちきれない。

製作:BBC/Hulu
監督:Lenny Abrahamson/Hettie Macdonald,

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