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舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」 #4 エデンの歌姫

こんにちは。

作・演出の鈴木茉美です。
あと少しでろまたん展がはじまるなーと、とてもワクワクした気持ちでいます。


今日は、サブタイトルである「エデンの歌姫」、つまり西宮愛里まわりのことをお話しできたらと思います。

目次はこんな感じです。



オリジナルソングについて


今回中盤にオリジナルソングを入れました。

ノスタルジックでお酒を飲みながら聞くような歌を作りたいなと。
この時代、まだジャズのような歌は流行していなかったので、彼らにとっては少し異国的な雰囲気になっています。

作曲はいつも音楽をお願いしている翡翠さんに。
翡翠さんとは実は高校時代からの付き合いです。
20年以上ですか。長いですね。

作詞は私がやらせていただきました。

劇中では途中まででしたが、歌詞の全部を掲載させていただきます。

【風の通る街】
変わりゆく日々の中で
ふと思い出してみるの
あの風の通る街は
誰をも包んでいた
差し込む光から希望だけが見えていた
笑い合っていたのは確かに私たちだった

平穏を幸せだと
知ったふりをしていただけ
同じように夢を見て
心を贈り合った
もうあの日のあなたの優しい目はないけれど
ただ独りでだけはいないでと身勝手に願う

果てしないこの道
消えない花を抱いて
振り向かずに進むと決めたの
風の通る街
私だけの街

舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」 歌詞

パンフレットにも私の手書き歌詞入りの楽譜を掲載させていただいております。

今回、横浜を舞台にしようと思った時、横浜のイメージを私の中で考えました。
何度も行っています。
何が印象に残っているだろうか。と。

赤れんが
山下公園
馬車道
洋風の建物

木々の音
そして、海

貿易が盛んだった港町

想像した時、風をすごく感じました。
ああこの街は風が通っているんだなと。

西宮は、エデンが家で、だけどそこから抜け出したくて、抜け出して、新しい景色を見るために歩いてきたけれど、ふと立ち止まった時、思い出すのはやはりあの町のことだろうなと。
どんなに辛い思い出が残っていようと、幸せだった思い出もそこにはあって、乗り越えるために、この歌を作ったんだろうなと、そんなことを想像しながら歌詞を書きました。
そしてイギリスの風景と合わさって、この歌詞ができたのだろうなと。

1番の歌詞は、カフェーで皆で笑い合っていたあの日を思い出しながら。
2番の歌詞は、これは私の中では最初森下を想像している西宮として書きました。
稽古が進むにつれて、沼井への思いもあるのかもしれないなとも思いました。
最後は前に進むためにこの歌を作ったという気持ちを込めて。

どこかで皆様にフルで聞かせられたらいいな。
そういう機会があるといいなと思いつつ。


東堂に送った手紙

   『248 Q-LX,XLI,LXVII,XI,XLIV,LXVII,XLIV,LI』

舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」 脚本

事件がひと段落して、ねずみとしょうたが持ってきた手紙です。
暗号を解読してくださった方もいたのかな。
ありがとうございます。

しかし私の脚本のミスで一文字多いという失態をやらかしておりました。
実は一文字多いんです、、、
気づいた方いらっしゃいますかね。
混乱を招きすみません。

上記が正しい暗号になります。

こちらも通りゃんせを使います。

そして全て八分音符です。

LX,XLI,LXVII,XI,XLIV,LXVII,XLIV,LIを数字に直します。

60、41、67、11、44、67、44、51になります。

八分音符60番目は、41番目は、67番目は
11番目は、44番目は、67番目は、44番目は、51番目は

「 い つ か 再 会 を 」

これが西宮が残したメッセージです。

(「い」が3回使われています。最初の「い」とあと二つの「い」は雰囲気変えたくて違う数字を使っています。文字が順不動なのも西宮らしさをを出しました)


西宮の台詞

西宮が最後に沼井に言った台詞があります。

西宮「歌を教えてくれたのはあなたです。たくさんの曲を聞かせてくれた。たく
  さんの音楽を教えてくれた。とおりゃんせは怖くなんてないんだと、教えて
  くれた。最後まであなたに寄り添えなかったけれど、私の一部は、確かにあ
  なたからもらったものです」

舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」

この台詞は私の中で唯一自分の心情とリンクしたものです。

私の父はここ数年入退院を繰り返していました。
昨年末はいよいよやばいかもしれないと、急遽一泊静岡に帰ったりもしました。
あの時帰っておいてよかった。
あれが最後に会った、病院に許可されたほんの30分の面会でした。
今年年度末、父は他界しました。

最後まであなたに寄り添えなかったけれど、私の一部は、確かにあなたからもらったものです

舞台「大正浪漫探偵譚-エデンの歌姫-」

決して仲良しこよしの父娘ではありませんでした。
しかし私が芸事の道に行ったのは、音楽と映画が好きな父の影響であることは間違いないなと。

西宮の気持ちを考えこの台詞を書いた時、すんなりと自分の気持ちと一体感を持って確かに文字になった感覚がしました。
とても不思議な感覚で、もしかしたら初めてかもしれない、役に言葉を託した瞬間でした。

これは西宮役のあまねには、本番中に話しました。

もしかしたら脚本家というのは、自分の心を言葉にするために書いているのかもしれない。何を当たり前なことをといった感じですが、今更ながらそんなことが脳内で具現化されました。


イギリスの民謡


西宮が沼井たちとカフェーで騒いでいるところ。
西宮が歌っている曲についてです。

曲は、イギリス民謡の「Lavendar's Blue」という曲です。

イギリス民謡がいいなと思い、色々と聞いて、これにしました。
メロディと歌詞がとても好きでした。

この時代歌詞は特にこれといったものは明確ではなく、子守唄として各家庭で色々歌われていたようです。
なので、色々な歌詞の歌が出ています。
その中から私が歌詞的にいいなと思ったのを選びました。

I love to dance, dilly, dilly, I love to sing
When I am queen, dilly, dilly, You'll be my king.
Who told me so, dilly, dilly, Who told me so?
I told myself, dilly, dilly, I told me so.
踊るのが好き 歌うのが好き
私が女王なら 貴方は王様
誰がそう言ったの?
私が自分でそう言ったのよ

Lavendar's Blue歌詞

とても可愛らしい曲です。
ぜひ機会があったら聞いてみてください。



さて。

西宮愛里まわりについて色々お話ししましたがどうだったでしょうか?楽しんでいただけたら嬉しいです。

ろまたん展まであと10日を切りましたね。
とても楽しみです。

次は、今作の脚本・演出にある仕掛けなどについてお話しできたらと思います。
これがこの作品に関して語る最後ですかね。
あとは稽古稿販売とかかな。

是非是非興味がありましたら引き続き楽しんでいただけたら幸いです。


✼ 舞台『大正浪漫探偵譚』展示会 ✼
■日程■
展示日程:2023年8月26日(土)〜31日(木)
 ※30日ニ部では上野役の林田麻里さんとトークショー
     三部ではサイン会をやらせていただきます
展示時間:10:00~19:20
入場時間:(1部)10:00~13:00  
     (2部)13:20~16:20
     (3部)16:20~19:20
 ※31日のみ展示時間が10:00~16:00になっております。
■会場■
大泉学園ゆめりあホール7階 ギャラリー
■チケット■
前売り/当日券:1,000円(税込)
■特設サイト■

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