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実家暮らしの夫が言い放った衝撃の一言

夫が転職し、新たな職場での仕事が1ヶ月ほど経過した頃、毎日子どもを寝かしつけてから夫婦で観る夜のニュースで、見えない敵が確実に自分たちに近づいてきていること、もういつ感染してもおかしくないんだろうな、という危機感を募らせていた。

わたし達はこの脅威から逃れるために<わたしと子供だけ実家に一時的に居候する>という計画を立てていた。そして、ただこのまま実家に行っては、この脅威を田舎に持ち込むかもしれない、高齢の両親にうつしてしまった場合最悪両親を失い、もう2度と実家には帰れないかもしれないと自覚していたので、<実家に居候する前にある場所で隔離生活をして、体調に異常がないことを確認した上で帰省する>という素人なりの対策を取ることとした。

しかし、前述した通り、夫の電車通勤が不安だったのと、そもそもの夫の基礎生活アビリティについて若干不安があったので、なかなか計画を実行できずにいたのだ。

基礎生活アビリティ。わたしが今作った造語だ。夫は実家が東京だったので、結婚するまで実家を出たことがなかった。小中高と都内、大学は一時キャンパスが都外になったこともあったが、車で通学していた為一人暮らしの必要性がなかったらしい。ちなみに、実家が東京でも実家からそう遠くない場所で一人暮らしをしている男性も知っているの。個人の性格によるのだろうか。

夫は基本的に家事ができない。しないという方が正しいのか分からないが、今まで家事をする習慣がなかったから、当たり前と言えば当たり前だけど。洗濯もしなければ、掃除もしない。ゴミ箱が満杯にならないのも、キッチンに空き缶のゴミ箱、プラスチックゴミのゴミ箱があることも意識したことがないくらい、ナチュラルに家事をしない環境で暮らしてきた。

そういえば、過去に「コイツ本当に掃除したことないんだな」と思ったことがある。

わたし達は出産前は共働きで、帰宅時間は主にわたしの方が早かった。朝はバタバタしているのでせいぜい出来る家事はゴミ捨てくらい。帰宅してから、夫が帰ってくるまでに掃除、洗濯などの家事をこなしていた。つまり、わたしが家事をしている姿は、夫にはあまりイメージがなかったと思う。このこと(夫、ナチュラルに家事しない芸人)について不満はなかった。わたしは一人暮らしが長く、一人分も二人分も対して作業量に変わりがなかったし、実家暮らしという生い立ちを知って期待値はゼロだった。

前述した通り、わたしは普通にフルタイムで働いていて、月末月初は毎回とても忙しかった。そういう時は、帰宅が日付が変わる前後の時もあった。そういう時は二人分の夕食を買い(作っている時間も気力もない)、洗濯と掃除は週末に後回し、あとはとりあえず翌日職場に行ってもギョッとされないように化粧を落としてシャワーを浴びるだけで精一杯だった。

ある時、たまたま二人揃った週末に、部屋の掃除をすることがあり、夫も手伝ってくれることになった。一緒にいる時は手伝ってくれるのだ。夫はクイックルワイパー的なもので部屋の埃を取ってくれていたんだけど、その時に記憶喪失になるくらいの衝撃発言をした。

「おおおー!4週間分のホコリが取れた〜!」

え?え??

わたしは耳を疑った。

何、言ってんの??

確か4週間分、って言ってた気がするけど、4ヶ月だったかな?びっくりしすぎて正確には覚えていないので実際記憶喪失になったようなものだ。

夫が部屋の掃除をしてくれたのが、4週間か4ヶ月前で、それからわたしが掃除しているところを見ていないので、その期間掃除していないと純粋に思っていたんだろう。実家でも、自分の母親が毎日掃除してくれてることも分からず、ワタボコリのないリビングになんの疑問、感謝もなく過ごしていたのだろう。

ちょっとでもわたしが、夫の家事アビリティに関して期待を抱いていたらどちらかが流血を免れない大喧嘩になっていただろう。こんな発言を自分の耳で聞くとは思っていなかった。最初から夫を家事の戦力とみなしていなくて本当に良かったと思った。これは3〜4年前の出来事だが、今のところ、この衝撃発言を塗り替えるような事件は起きていない。

長くなったが、そんな夫なので、一人置いて実家への帰省計画を実行する踏ん切りがつかなかったのだ。息子が未知のウィルスに冒されてしまうことへの恐怖が、夫への心配を上回ったのは3月の後半だった。

計画実行の2〜3日前が最高に忙しかった。夫がひとりになってからの食事を作っては冷凍し、作っては冷凍し、その間にご飯も炊いて1食分にしておにぎりを作り続けた。わたしは料理が苦手で、育児の合間に毎日夕飯を考えたり、作ることが苦痛であることの方が多いのにやれば出来るもんだな、と自画自賛したりした。

こうして、当日までに子供の離乳食も多めにストックを作ったり、隔離生活で必要であろう日用品などを揃えたりした。しばらく先までの子どもの衣類を揃えたり、毎日遊んでいるおもちゃや絵本など、すごくかさばった。荷物は出産前のちょっとした旅行とは比較にならないくらい大荷物になった。対して自分の荷物は、衣類に限ると下着4パターンくらい、後はGパンにTシャツ、防寒用のもこもこジップパーカーのみ、といつもの通り適当だった。ファッションにこだわらない(センスがないともいう)性分でよかったなと思う。最近の初夏のような気候の時は半袖1枚か、肌寒い時はもこもこパーカーという0か100のような格好を強いられているけど…。

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ひとつ念のため弁解させて頂きたいのは、今回のエピソードはわたし一個人の体験です。実家暮らしの方がみなさんこのような感覚だとは決して思っていません。実家でもきちんと自分の生活範囲で家事をしている人もいるということは、実際に見聞きしているので理解しています。もし気を悪くされた方がいたらごめんなさい。

ここから何文字も書かないと思いますが、今回の記事は2,500文字くらいになりそうです。1,500くらいが読んでもらえやすいのかな、と思いましたが書き出すとどこを削って良いのか分からず、間延びした文章になっているかもしれません。

今回はほとんど晴れた散歩の最中や、子どもが移動中の車内で眠ってしまった時、公園の駐車場などで運転席を後ろに下げて、背もたれも倒したりして書きました。こんな何者か分からないわたしの文章を読んでいただき、スキまでつけてくださることが今は楽しいです。ありがとうございます!

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