“アロマの危険性!?”を有機化学の視点から語る

お薬を使わない自然療法の一種として、周りではアロマが流行っています。
特に、リラックスできたり、明るい気分に一瞬でなれたり、精神の状態を整えるのにとてもいいですよね。

私も何本か持っており、気分や目的に合わせて使い分けていますし、精神にとても良く作用するな~と実感しています。

アロマの成分、見たことありますか?

私は大学で有機化学(しかも低分子系)を扱っていました。
有機化学って、体に作用する「お薬」にもつながる分野なのですね。
大学の研究室にいる間、「お薬」の有効成分の分子構造を知る機会も多々ありました。

そして最近、アロマに触れる機会が多くなり、その成分を見て思ったのは…、

お薬の成分よりもアロマの成分の方が、
大きさは小さめだし、自然にいっぱいあるんだろうけど、
体に作用するという点では似たようなものなんだよね、ということ。

お薬は、特定の疾患に作用させるために分子構造をいじくっているので、効き目は強くなります(そうでないとお薬になりません)が、
アロマも効き目は弱いものの、ある意味お薬の親戚なのです。

使い方を間違えると、そりゃ危険です

一回に投与されるお薬の有効成分の量って、考えたことがありますか?

1~2gの錠剤などの中に、数mg、多くても30mgとかです。

お薬に配合される有効成分の量は、疾患に効く最低限の量~人体に有害な量の間で設定されます。
ということは、本当は、人が一回に体に入れられる「有効成分の量」は、数mg~数十mgが限度ということ。

しかし、最近よく聞くのは、
「このオイルは天然由来だから、口に入れても安心」
「原液を直に塗っても大丈夫」
と、限界量をわきまえずにガンガン使いまくる人が増えているというもの。

確かに口に入れても大丈夫なエッセンシャルオイルもありますし、原液塗布しても大丈夫なものもあります。
実際、私も口に入れたり原液塗布したりしていますし、そのおかげで喉の調子が改善したり、肌の調子が良くなったり、切り傷がすごいスピードで治ったりしています。

ただ、往々にして「飲める」「原液塗布してもOK」とし、ヘビーすぎる使い方をしている人がいるようで(私の周りにはいないのですが、ネットで「危険」と訴えている人の記事を見ると、大量に使っていたり、使い方を間違えている人に遭遇しているようです)、そういう人が健康を損ねているんじゃないかなーと思います。

アロマって1滴が30~50マイクロリットルで、その中に有効成分がぎっしりだし、お薬より分子構造が小さめなので、
1回100滴~200滴あたりが限度じゃないかな。

アロマは自然由来かもしれないけど、その中身は「体に作用する低分子有機化合物」であって、
巷の「化学合成でできたお薬」とは親戚のようなものだと思った方が確実です。

本質を見極める目を

化学合成は体に悪い、
天然のものは体にいい。

マスコミや商品を販売する人がさかんに宣伝するので、そんなイメージを持っている人が多いのかもしれません。

けれども、
「そもそもその正体は何なのか」
これをつかむことができないと、言葉のイメージだけに踊らされることになります。

私自身は、国立大学の有機化学の研究室で数年間、いろんな分子に触れてきたので、アロマに触れた時も、別視点から考えることができていますが、
そうでなくても「体にいい」「いや体にとって危険」という情報が療法のある時は、
「なぜそう言われているの?」
をちゃんと吟味して、納得してから取り入れるようにしたいと思っています。

先ほど、「種類によっては、原液で触れてもOK」「飲んでもOK」だし、実際に私もそうやって使っているものもある、と書きましたが、
これも、大学生の頃に、散々触れてきた経験から言えているという側面もあります。

特に学部生の頃なんて、薬品の扱いもおぼつかないので、
「あ、試薬が手についた~(* ̄∇ ̄*)」
「こぼしちゃった(*´・ω・)」→匂いが部屋中に充満して苦情が来る
「昨日つけたネイル、落とすの忘れた~、じゃあここにある酢酸エチル(※有機溶媒)で落とすか~」
という、直に触れる機会がふんだんにありました。

なので、原液がある程度触れても大事ではないという神経になっているのです。

ただし、大学の学部生の頃に毎日使っていた某試薬に似た構造の化合物が主成分であるアロマがあるのですが、
そのアロマを肌につけると湿疹が起こるようになっています。
アレルギーが出るか出ないかというリミットを越えてしまっているのですね。

このあたりは、自分の体や気分と相談して、使うものの種類や使い方を調整するのが確実ですね。

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