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野村総合研究所(NRI)の企業研究!

NRIの歴史

NRIは、野村證券の一部署から発足し、日本初の民間総合シンクタンクとして1965年に誕生しました。

シンクタンクとは、様々な分野の政策を立案し施策提言を行う機関です。「頭脳集団」と考えてもらっても良いと思います。

その後、1988年には野村コンピューターシステムと合併し、シンクタンクのサービスだけでなくITサービスを提供する企業になりました。
現在では、日本を代表するコンサルティング・ITソリューション企業として、幅広い価値貢献を行っています。

NRIの事業

NRIは大きく「コンサルティング」と「ITソリューション」の2つの事業を提供しています。
コンサルティングで問題発見から解決策を提示し、ITソリューションで課題解決を一貫して行っています。
詳細を解説していきます。

コンサルティング事業

NRIは企業や官公庁に対する経営コンサルティングや未来予測、社会提言を行っています。
様々な論文や社会情勢から未来予測を行い、クライアントに提言を行います。
一例ですが、NRIのレポートを紹介しますのでぜひご覧ください。

2050年カーボンニュートラルに向けて
コロナ禍収束に伴う「リベンジ消費」は限定的
※どちらもNRIのHPより引用

上記はあくまで、抽象度の高い「未来予測」となりますが、更に具体的な企業の戦略立案も担います。
NRIのHPを見ると様々な企業へのコンサルティング事例が掲載されていますので、ぜひご覧下さい。
(例)
JR西日本
日立造船
ソニー生命

ITソリューション事業

ITソリューションと言っても、ピンとこない方も多いと思うので、具体例を上げて説明します。

【具体例】
ICカードのSuicaをイメージしてください。
Suicaはスマホの操作だけで、銀行からSuicaに入金し、Suicaを使用して公共交通機関や各種サービスの利用が可能です。
これは実際の現金を伴わずに
銀行⇔Suica
Suica⇔公共交通機関・各種サービス
のお金の流れをシステム上で実現しています。

当たり前に思われるかもしれませんが、上記フローで大きく2つ価値が生まれています。
①無駄な業務削減による効率化
銀行、Suica(JR)、コンビニなどは現金を介さずにサービスの提供と売上を獲得が可能です。
②顧客の利便性向上
消費者が現金を持ち歩くリスクやデメリットを解消することができ、大きな価値を提供しています。
消費者が、現金を使う際に生まれる時間的なロスだけでなく、「重い財布を持たなくてよい」「盗まれる心配なくなる」という観点から、キャッシュレスによる価値創造を行っているのです。

上記はNRIのソリューション事例ではありませんが、「ITソリューション」としてのイメージを持つために、参考にしてください。

NRIのITソリューション部門では、特に金融機関や事業会社とタッグを組みソリューションを提供しています。

ここでは簡単に金融機関・事業会社それぞれのITソリューション事例を紹介します。

●野村證券へのITソリューション事例
野村證券は、自社向けに個別開発したシステムを長年使用していました。
しかし長年の運用改修により、近年では運用コストが高い複雑なシステムとなっていました。
そこでNRIは標準化されたシステムを導入し、野村證券の構造改革に寄与しました。
長年使っていた業務プロセスを変えるとなると、大きな障壁が生まれます。
野村證券は、このシステム導入に伴い、組織構造の改革を行う必要がありました。
NRIと野村證券はタッグを組みながら4年間でこのシステム導入を行い、改革を進め、ITコストの削減を実現しました。

資生堂へのITソリューション事例
資生堂は、新サービス開発のため、NRIの力を使いました。
新サービスとは、スマホで肌画像を取得し、そこに気候や気分などのコンディション情報を加味して、クラウド上のサーバーで分析することで最適な美容液の種類や量を算出するものです。
NRIはサービスのシステム開発から、新しいビジネスモデルの構築に伴う課題発見や様々なパートナーとの連携を細部まで実行しました。
結果として、資生堂は従来よりもレベルの高いマーケティングを行い、パーソナライズしたサービスの提供を実現しました。
NRIのテクノロジーを活用し、資生堂のみでは実現できなかったサービスを創出したのです。

財務情報から見るNRI

次にNRIを財務の観点から分析していきます。

①時価総額について

時価総額とは
時価総額は投資家からみた「企業の価値」を示します。
一つの指標として把握してください。

NRIの時価総額は2兆7千億円です。(2021年10月時点)
この時価総額は、第一生命ホールディングスやJR東日本などと同等です。
同業のSIer大手のNTTデータ(3兆2千億円)と比較すると、劣っています。
ただしNRIの従業員数はこれらの中で最も少ないため、従業員一人当たりの時価総額としては高いです。

②2020年度通期の実績について

(図表はすべてNRIのIRライブラリより筆者作成)

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上記のグラフをご覧いただき、まず特徴を掴んでください。

[NRIの事業別売上のポイント]
(a)コンサルティング事業の売上は全体の7%
(b)ITソリューション関連が9割程度
(c)金融ITソリューションが約半分

(a)コンサルティング事業の売上は全体の7%
NRIを「コンサルティング企業」と考えている就活生にとっては、少し驚くかもしれません。
確かにNRIはコンサルティング事業で、戦略を提案できますが、それだけにとどまりません。
その後具体的なITソリューションまでを提案し、開発、運用が可能です。
システム運用まで担うことで、安定的かつ長期的な売上を実現することができます。

(b)ITソリューション関連が9割程度
NRIは紛れもなくSier企業です。

Sier企業とは
システムインテグレーター(System Integrator) の略称です。
 主にITシステムのコンサルティング、設計、開発、運用、ハードウェアの選定等を 一括で請け負うことを事業としている企業 を指します。

近年では、コンサルティングとITソリューションは切ってもきれない関係にあります。よってNRIの競合も多岐に渡ります。
NRIをSIerとコンサルの両側面をもっているため、NRI志望者は必ず競合企業もチェックしておきましょう。

NRIの競合企業例(あくまで一例です)
●戦略コンサル
BCGマッキンゼーBain
●ITソリューションを提供するコンサル
アクセンチュアアビームコンサルティング三菱総合研究所
●SIer
NTTデータ日本オラクル

(c)金融ITソリューションが約半分
NRIは野村証券から生まれた背景から、金融機関向けのサービスに強みを持っています。
特に証券会社の決済システムや社内効率化のシステムなどを得意にしています。
また金融機関が扱うビックデータの分析基盤を提供しており、金融機関にとってはなくてはならない企業になっています。

NRIの金融ITソリューションソリューションはこちら

③コロナに負けないNRIの強さ

NRIはコロナ禍において、7%の売上(約200億円)の成長を遂げました。

プレゼンテーション2

上記図表はコロナ前後のNRIの事業別売上比較です。
NRIはコンサルティング以外で、すべて売上を増加させています。
なぜNRIがコロナ禍でも売上を伸ばすことができたのか。
その理由は以下の通りです。

(a)多くの大手企業が、コロナを背景に、トップダウンでDXを一気に加速
(b)社内のDXを進めようとすると、様々な案件への対応が必要となり、自社のみでは困難。案件のコントロールを行うために、コンサルティングの需要が増加

ここでNRIは上流のDX戦略から関わり、IT投資全体を俯瞰したソリューションを提示できました。

一般論では、景気が悪くなると、高単価の戦略コンサルティング案件が減ると言われます。(事業売却等は増える傾向があります。)
コロナ禍においては、景気が悪くなったものの、一気にデジタルで改革を推進する必要が生まれたため、NRIがチャンスを得たのです。

NRIの今後の戦略

①DX戦略
NRIはITソリューションを活用し、顧客のビジネスモデルやプロセスを改革します。
戦略だけでなく、その後のシステム開発運用を担うことで顧客との強固な信頼関係を実現しているのです。
またNRIはビジネスのプラットフォームを獲得することが強みです。
NRIが社内の中枢システムを担うことで、長期的な売上の向上を実現しています。

②グローバル戦略

NRIは豪州と北米を中心に事業拡大を狙っています。
特に豪州では顧客拡大に加え、追加買収による成長も目論んでおり、さらなる投資が行われると考えられます。
今後は海外での事業拡大案件に携われるケースも増えると想像されます。
外資系企業の日本支社に入ってもこのような体験は出来ません。
まさに日系トップレベルのNRIだからこそできる体験です。

③人材戦略

NRIはビジネスデザイナー、データサイエンティスト等を育成する戦略を発表しています。
またDX案件を支えるアプリやITサービスの人材育成も打ち出しています。
つまり、明確にITソリューションに関わる人材が増えて行く事が分かります。
新卒採用を毎年300名以上、中途採用を4年で倍増させることからも今後人員の拡充が見込まれます。
ピュアな戦略案件を行いたい就活生だけでなく、ITソリューションに興味がある学生にとってもNRIの門戸が開かれていることは朗報だと思います。

NRIの選考

NRIの選考では、「構造化」力を見られることで、有名です。
数年前のインターンでは、「隣の人のガクチカを聞いて、構造化して、面接官へ説明せよ」という選考が行われていました。
まさしく地頭の良さを見ています。
「地頭は今更鍛えられない…」と落ち込む必要が有りません。
ある程度の知識やフレームワークで、地頭の良い人の考え方を取り入れることができます。
私が就活時、参考にしていた「構造化力」を鍛える本を紹介するので、ぜひ役立ててみてください。

実はこれらの本は、コンサルタントであれば100%知っている本です。
当然、NRIの面接官も読んだことがあるはずです。
これらの本に記載されていることを息を吸うようにできる人材がまさしく”コンサル向き”な就活生かもしれません。

しかし、上記のような本を読んだ上でも、中々実践して結果をだすことは難しいです。

情報をインプットをした上で、ぜひ実際ESを書き、様々な企業の面接を受けて見てください。
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