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DXリテラシー標準とその活用

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その過程でDXリテラシー標準をだいぶ読み込みました。本記事では、DXリテラシー標準の概要と、その活用や留意点を解説します。

▍DXリテラシー標準とは

経済産業省・情報処理推進機構(IPA)が提供する、すべてのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルの標準です。DX時代のビジネスパーソンの必須能力とも言えます。「デジタルスキル標準」の一部に位置付けられています。

「社会の発展や企業の成長にはDXが必要だ。そのためには人材が欠かせない。じゃあ人材の基準を設けよう」という背景で作られたと思ってください。

▍DXリテラシー標準の内容

DXリテラシー標準は、「ねらい」「Why」「What」「How」「マインド・スタンス」で構成されています。

[出典]経済産業省・情報処理推進機構「デジタルスキル標準 ver.1.0」2022

「ねらい」は一言で終わりなので、実質的な内容は4つです。以下、それぞれを簡単に説明します。

■ Why|DXの背景

経済発展とより良い社会の実現のために、社会や企業でもデジタル技術を活用することが求められていること、もっと言うと、競争優位性の確保のためにデジタル技術を活用しなければ存続が難しくなることが説明されています。

■ What|DXで活用されるデータ・技術

データとデジタル技術のサブカテゴリーに分かれています。

[データ]
データを分析することで業務に活用できる
ことが説明されています。加えて、前処理などの技術や組織としてのアプローチなども触れられています。

[デジタル技術]
AI、クラウド、ハードウェア・ソフトウェア、ネットワーク
の4分野について、入門的な知識を持つことが求められています。

■ How|データ・技術の利活用

活用事例・利用方法と留意点のサブカテゴリーに分かれています。

[活用事例・利用方法]
データやデジタル技術の活用事例をもとに自組織への適用イメージを持つこと、ノーコードを含む様々なツールを知ることが求められています。

[留意点]
セキュリティ、モラル、コンプライアンスの3点について、正しく行動することが求められています。

■ マインド・スタンス

価値を生むためには新しい行動様式が必要であることが説明されています。例えば、変化を受け入れること、従来の価値観に縛られないこと、外部の専門家と協働すること、顧客に寄り添うことなどが挙げられます。

▍DXリテラシー標準の活用

■ 組織としての活用

組織でDXを進めるにあたっては、組織全体が同じ方向を目指し、最低限の知識や共通認識を持つことは欠かせません。そのためには教育・啓蒙活動を行います。その際の拠り所として、DXリテラシー標準を活用できます。

組織内教育としては、全社教育もあれば、金銭的・時間的コストを踏まえて段階的に人材育成計画を立てることもあります。後者を担当する方は、次の優先度の情報をご参考ください。

優先度が高い人や部門:

  • これから初めてDXに取り組む会社の経営層と推進役

  • 新しい技術や取り組みを取り入れていないIT担当・部門
    (例:クラウドやアジャイルを活用・実践したことがない)

  • これまでデータやITとの接点が少ない人・部門
    (例:日常的に業務でPCを使わない/基幹システムしか使わない)

優先度が低い人や組織(既知の内容が多く含まれる):

  • デジタル技術の動向を追いつつ、他社と協業して新規サービス創出や既存業務改革を推進している

  • アジャイル開発やDevOpsを取り入れてシステム・サービスを開発・運用している

■ 留意点

組織でDXリテラシー標準を活用するにあたって、気をつけておきたいポイントを3つ挙げます。

(1) DX推進役にとっては内容が不足する

推進役の方にもそうでない方にも共通的な内容となっています。例えば、推進役の方にとって必須となる、上流工程(構想、業務分析、要件定義など)は触れられていません。

推進役向けにはさらに「DX推進スキル標準」があるので、そちらも参照する立て付けとなっています。

(2) 個別最適にならないように留意する

How(データ・技術の利活用)では、ツール利用やセキュリティが登場します。組織内で個人が気ままにツールを導入したり、個別のセキュリティ対策を行なったりするのは不自然です。「今後、組織として指針が出るにあたり、その際に急に学ぶのではなく、あらかじめ知識を身につけておいて欲しい」という文脈だと推察されます。

最終的には組織としてDXを推進するので、個別最適が増えないようにすることも大切です。事前に誰に何を期待するかを明確にしておくと良いでしょう(例:推進役は導入・普及、非推進役は知識習得、など)。

(3) 技術の内容が難しい

What(DXで活用されるデータ・技術)の技術の部分は、人によっては難しく感じられる箇所です。特に、ハードウェア・ソフトウェアやネットワークはやや原理的な技術要素であり、業務適用と遠い位置にあります。その割には専門用語が多発するので、学ぶ意欲を失いがちです。

教育対象の既存知識や経験に合わせて、学習内容の濃淡を変えるのも一手です。AI、クラウドは今後の活用も踏まえると必要かと考えますが、ハードウェア・ソフトウェアとネットワークはまずは存在だけ知るだけでもよいかもしれません。

■ 個人としての活用

ITとの接点が少ない方、企業内教育でこのような内容を学ぶ機会がない方にとっては、基礎知識や模範行動を身につける点で有益です。資格などと違って即効性はありませんが、長期的なスキルやキャリアを考えた際の土台となるでしょう。

また、興味を持った点について更に学習や実践をすることで、業務を効率化したり日常を豊かにできるきっかけにもなり得ます。ただし、組織として活動する際には、個別最適にならないよう留意ください。

▍おわりに

DXリテラシー標準は、経済産業省・情報処理推進機構が提供するビジネスパーソン向けの能力・スキルの標準です。この標準を参考にリテラシー向上に取り組み、データ・デジタル技術を効果的に活用し、変革を成功させことが期待されます。

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追伸(2023年4月2日)
昨日、Udemy Businessにも登録されました。組織からUdemy Businessのアカウントが発行されている方も視聴できます。


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