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【ニュースをわかりやすく深掘り!①】旧優生保護法 なぜ今注目されてるの?(2023年6月19日のニュース)

 「旧優生保護法」って言葉は聞いたことはあった。でも、ネットで調べると、当時の国の状況とかもすっとばして「こんな法律はけしからん!」っていう記事とか、逆に「復活させろ!」みたいな極端な意見が出てきて、実際にどんな法律なんかが全然わからんかった。
 だから、今回の記事ではできるだけ中立で話そうとしたんやけど、記事を見てくれた人はどう感じるやろうか? ぜひコメントをお願いします!


どんなニュース?

強制不妊、国の報告書初提出=被害の実態あらわに
 ー最年少は9歳男女・旧優生保護法(2023年6月19日のニュース)

いつ? 1948~96年
どこで? 日本全国で
だれが? 障害者の人たちが
何をどうした?
 子どもがうめなくなる手術を無理矢理された(強制不妊手術)
なぜ?
 優生(優れた遺伝子を残そう)という考え方が影響してる。
  ➡良くない子どもが生まれないようにしよう。って考え方
   良くない子どもってなに?・・・障害者への差別につながった。
 ※法律が改正された後にも、苦しんでいる人がいる。

旧優生保護法について、これまで詳しいことはわかっていなかった。
でも今回!詳しく調査した報告書が出されたよー!!というニュース。

1400ページもある報告書!?めっちゃ分厚い本が2冊分ぐらいの分量。
こんなん誰が読むねん?と思うかもせんけど、この報告書をスタートにして補償が進められたり、研究がすすめられたりするから、これがスタートラインなんよね。

①なぜ、20年以上前の法律が、今、注目されてるのか?

調べてみると、実は、まさに今! ホットな話題やったんよ。

1948~96年 旧優生保護法
1997年 母体保護法に改正
 ※80年代ごろからノーマライゼーション(障害があっても、ふつうの(ノーマルな)生活ができるようにしようぜ!)の考え方が世界的にも広まってきて、日本でも浸透してきた。
1997年~ 強制不妊手術に対して謝罪と補償を求める声
 ◇声を上げた被害者(被害者ホットライン、書類の開示請求)
 ◇国際機関からの声(強制不妊手術に対する補償を国連が勧告)
  ※1998,2006,2008,2014,2016年に国連が日本に勧告。
   ➡でも、政府の見解はいつも一緒。
    「手術した当時は合法だったから、保証は考えていない。」
2018年 旧優生保護法に基づく優生手術に対する国家賠償請求訴訟
 ◇国に対する初めての訴訟
  97年に母体保護法に改正したのに、国が保証しないのは違法でしょ?
 ◇マスコミにも取り上げられ、「けしからん!」となった。具体的には…
  ・10歳以下の子どもへの強制不妊手術
  ・国が推進。都道府県、医療・福祉関係者が組織的関与
2019年 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する
      一時金の支給等に関する法律
 ◇この法律の第21条に、「旧優生保護法を調査しろ!」と明記された。
2023年 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の
      支給等に関する法律第21条に基づく調査報告書

 ※やっとこさ。今年、旧優生保護法の調査報告書ができた!!

旧優生保護法ってなに?なぜつくられたの?

1条(目的)
 優生上の見地から、不良な子孫の出生を防止するとともに、
 母性の生命健康を保護することを目的とする。

優生上の見地から、不良な子孫の出生を防止する➡優生保護の考え方
 
「不良な子孫」ってなに?➡が障害者差別につながった。

◇そもそもこんな法律がなぜつくられた?
 戦後、人口が急激に増えて、食糧難の危機が予想された!
 急激な増加:「産めよ殖やせよ」政策…子どもが多い。
       海外から一気に人が帰ってきた。
  ※戦後5年間で1000万人以上増えた(昭和25年の人口は8320万人)
   人口1000万人の国があるぐらいやから、かなりの人数が増えたよね。

https://eleminist.com/article/2084

 人数が増えて食糧難になっちゃうよ!!
じゃあどうする?
 ➡人口増加を抑制する方向へ進んだ
  ◇避妊や人工妊娠中絶を認めていく。
  ◇国民の資質の維持・向上のための優生保護
 がすすめられていった。
だから、こんな法律ができたんやねぇ。

旧優生保護法で批判されているのは、第3条

3条(医師の認定による優生手術)
 医師は、左の各号の一に該当する者に対して、本人の同意並びに配偶者(届出をしないが事実上婚姻関係と同様な事情にある者を含む。以下同じ。)があるときはその同意を得て、任意に、優生手術を行うことができる。但し、未成年者、精神病者又は精神薄弱者については、この限りでない。 によって手術ができる。

長くて難しい! けっきょくどういうこと?
優生手術には本人(もしくは配偶者)の同意が必要やけど、障害児や精神障害者、知的障害者は、本人の同意がなくても手術していいよ。

なぜ本人の同意がなくても手術を認めるの?
 ➡当時は、「障害児・精神障害者・知的障害者は将来のことを考えて判断する力がない」と思われてたから。
 ※今は、障害者の意見をきくためにいろんな工夫がなされているよ。
  (選挙とかも障害があってら配慮が認められてる)

どう未来につながるの!? 障害を取り巻く課題


◎障害者の結婚・出産・子育てをどう考えるか?
 ◇結婚:精神障害者では60%と少し
     知的障害者では90%以上  が結婚していない。
 ◇出産:本人の悩み・家族の悩み
     うめるのか?うんでやっていけるのか?
   ➡考え方の課題、経済的な課題、現実的な課題
 ◇子育て:障害者支援は、障害者本人が基本。結婚や子育ては想定外。
➡こんな現状をどうかえればいいんやろか?
 みんなで考えて、少しずつ進んでいくしかない。

 ◇出生前診断
  うまれてくる子どもに先天性障害があったらうむ?
   ●出生前診断の目的は、生まれる前に状態や疾患を調べて、
   最適な分娩方法や療育環境を考えること。
    でも、実際にはうむかうまないかを決めるために受ける人が多い。

今回の感想

 今回、報告書をざっと読んで感じたのは、今の感覚で「ありえない!」と思うことでも、法律がつくられた当時は一生懸命考えてつくられてるっていうこと。報告書に、いろんな質疑応答がでてくるんやけど、質問に対してちゃんと理由をつけて誠実に答えてるような感じなんよね。でもそもそも(今の感覚では)根本のところがずれてる。障害者の人への見方も今とはぜんぜん違うんやろなぁ。  1996年に改正されたけど、僕らの世代では「ありえない!」やけど、年配の人やったら、「障害者の強制不妊はしかたない」と思ってる人もおるんやろうな。逆に若い人たちはどんなことをこのニュースを見て感じるんやろうか。そう考えると、障害者に関するニュースは難しい。それは、年代によって考え方が違うし、さらに環境(これまでどんな障害者と関わってきたか)によっても考え方が違ってくるが難しいんやなぁ。  謝罪とか補償ももちろん大切やと思う。でも、当事者でない大部分の人にとっては、このニュースをきっかけにしてどんな未来を想像・創造するかが大切なんよね。動画の最後には、「障害者の結婚・出産・子育て」、そして「出生前診断」をどう考える?って疑問を投げかけたけど、人によっては課題に思うことは全然違うと思うんよね。だから、いろんなことを、いろんな人と話して、少しでも行動が変わっていくと未来も少しは変わるんじゃないかな。この動画がそんなきっかけになればうれしいです。

みんなはどう思う? コメントもぜひお願いします!

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参考書籍・文献・URL

①「強制不妊、国の報告書初提出=被害の実態あらわに―最年少は9歳男女・旧優生保護法」時事通信ニュース、2023年6月19日 https://sp.m.jiji.com/article/show/2965424(2023年8月9日参照)
②日本弁護士連合会「旧優生保護法下において実施された優生思想に基づく優生手術及び人工妊娠中絶に対する補償等の適切な措置を求める意見書」、2017年2月16日https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2017/opinion_170216_07.pdf(2023年8月9日参照)
③菱沼誠一「旧優生保護法に基づく優生手術に対する国家賠償請求訴訟― 仙台地判令和元年5月28日 ―」、参議院常任委員会調査室・特別調査室、 https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2020pdf/20200601061.pdf(2023年8月9日参照)
④柘植あづみ「強制不妊手術の問題が今なぜ注目されるのか「優生保護法」子供を産めなくする国策の愚」、東洋経済ONLINE https://toyokeizai.net/articles/-/218189?page=4(2023年8月9日参照)
⑤「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律(平成三十一年法律第十四号)」、e-Gov 法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=431AC1000000014_20230401_504AC0000000076(2023年8月9日参照)
⑥「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律第21条に基づく調査報告書」、衆議院HP https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_rchome.nsf/html/rchome/shiryo/020yuusei_houkokusho_1-zentai.pdf/$File/020yuusei_houkokusho_1-zentai.pdf(2023年8月9日参照)
⑦「優生保護法」、衆議院HP https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/houritsu/00219480713156.htm(2023年8月12日参照)
⑧「障がい者の結婚に関する意識調査」障がい者総合研究所HP、 https://www.gp-sri.jp/report/detail028.html#:~:text=%EF%BC%9C%E5%81%A5%E5%B8%B8%E8%80%85%E3%81%A8%E9%9A%9C%E3%81%8C%E3%81%84%E5%88%A5%E3%81%AE%E9%85%8D%E5%81%B6%E8%80%85%E3%81%AE%E6%9C%89%E7%84%A1%EF%BC%9E&text=%E7%B5%90%E5%A9%9A%E3%81%AE%E6%9C%89%E7%84%A1%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6%E8%81%9E%E3%81%84,%E9%AB%98%E3%81%84%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82(2023年8月12日参照)
⑨「【2022年】世界人口ランキング 日本は11位、前年より50万人減」ELEMINIST、https://eleminist.com/article/2084  (2023年8月19日参照) 

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