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転職でも副業でもない。自分探しをしながら複業教員として生きる選択肢


「自分探し中だったからこそ、複業教員を始めたんです」


そう語るのは、5つの仕事を掛け持ちする複業教員のとーるさん。

10年ほど正規雇用の小学校教員として働いてから非常勤講師に働き方をシフトし、空いた時間にあらゆる分野の仕事をするオリジナルキャリアを築いています。


「複業をするには何から始めたらいい?」
「複業をしてみて良かったことは?」
「複業しながら自分探しって?」


独特な発想と観点でオリジナルキャリアを切り拓いてきたとーるさんが、1つの企業に縛られず複数の職業を掛け持つ複業に挑戦する上での疑問に答えていきます!

(※この記事は2020年8月に取材した内容をもとに執筆しています。)


プロフィール
》とーる@複業教員さん@toru0303
…1988年生まれ。新卒で正規雇用の教員として公立の小学校に勤務。二校の勤務を経て、非常勤講師へと働き方を変える。その他の時間でNPO法人勤務、カフェ店員、音楽イベント運営、進路相談など多岐にわたる仕事をしている。(※2020年8月現在)
noteアカウント: https://note.com/toru0303/

リスキーな転職よりも、複業を。自分探しのために始めたオリジナルキャリア

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ー10年間小学校の教員を経験したそうですが、複業を始めようと思ったきっかけは?

教員は念願の仕事でしたが、勤めてすぐ違和感を持ちました。たとえば、授業中に生徒が喧嘩をしていてたら、無理矢理止めて授業を進めなければいけない。本当は対話する時間を取りたいという想いがあったものの、先生である以上それは厳しいんですよね。

二校目でも、やはりその違和感は解消できず、拭えない疑問を抱きながら働くのか考えたことから、教員を辞めようと決意しました。

最初は企業への転職を考えていて、やりたいことはたくさんあったものの、“絶対これ!”と思える会社はなかったんです。そんな自分が無理矢理1つの会社に勤めると、価値観もキャリアも狭まって逆にリスキーだな、と。

“自分は何が合うのか”、“教員経験のみでどんな仕事ができるのか”を知るため、しばらくは自分の可能性を広げる生き方に身を置こうと決めました。それが叶うのが、複業だったんです。


ー働きながら自分のことを探っていくことができるって、いいですね。

複業は自分探しをしたい人にとってはオススメです!


ー二校目を退職した後も、別の学校で非常勤講師となったんですよね。働き方は変わったものの、学校で働くこと自体は今も続けているのですね。

はい。正直、複業をするには1つ固定収入があった方が安心だから、というのはあります。
でも、正規雇用と非常勤では仕事内容が異なるので、当時抱えていた葛藤は解決はできなくても、適度な距離をとって楽しく勤めることができています。


ー会社にも契約社員や派遣社員という働き方もありますよね。辞めるか辞めないかの2択で考えがちですが、もっと柔軟に考えられるものだなと思いました。

僕の働き方が絶対でもないし、正規教員という形だけが絶対でもない。
どちらも一つの事例として見ることで、「じゃあ自分に合う形はなんだろう」と考えるきっかけになれたら嬉しいですね。


10年間の教員生活から、ゆるやかなキャリア移動で複業へ


ー複業をすると決めてから、まず何を始めたんですか?

気になったイベントやセミナーにとにかく足を運んでいました。教育のNPO法人から、無人島のキャンプツアーまで、幅広く参加して何が自分に合うかを考えていて。当時はまだ週5日フルタイムで働いていたので、平日夜や土日を使っていました。

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ー幅広く行動すると視野が広がりますよね。自分に合うかどうかを見極めるために、意識していたことはありますか?

いずれ仕事にする可能性を考えて、イベントのスタッフや運営側などに入り、より深い立場で関わるようにしていました。裏側を知ることでビジネス視点で考えるようになり、働くことを想定できるんですよね。


ーインターンみたいですね。運営に関わるときは、募集を探して申し込んでいたのでしょうか?

いえ、応募がなくても直接スタッフの人に「何か手伝えることありませんか?」って聞いていました。


ー積極的に関わっていく姿勢だったんですね!躊躇してしまうことはありませんでしたか?

なかったですね(笑)。
直接伝えるのが厳しいようでしたら、イベント後のアンケートに書くのは手かなと思います。

いきなり仕事で関わるのは、僕自身もプレッシャーで、採用側にとってもハードルが高いので、まずはボランティアとして参加していました。相手にとっても無料で力になってくれるのなら、あまり断る理由もないのかなと。


ーすぐにお金を得ようとしなくても、その当時の目的は自分に合うか合わないかを探ることですもんね。

経験やつながりを対価として受け取っていると思えばいいのではないでしょうか。
おかげで今は、これまで繋がっていた人から仕事の誘いがくるようになり、複業に役立っています。


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ーとーるさん独自の考え方があったからこそ、複業のキャリアを獲得できたんですね。

特に教員って、キャリアチェンジの選択肢が少ないなと感じていて。エージェント登録して転職、といっても普通のルートではなかなか難しいんです。僕のやってきたことが、10年教員という仕事だけをしていてもキャリアチェンジできるという証明になればいいなと思います。


ー今モヤモヤしている教員の方にとって、まさにロールモデルのような存在ですね!


お金の見方を変えることで、複業でも安心して働ける



ーほかにも複業のために何か準備をされていたんですか?

実は、複業を機に自分の生活を見直して、ミニマリストになりました。

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週5日フルタイムで働く傍らNPOやイベント運営をしていた時、やりたいことをやっていたはずなのにストレスが溜まってしまって。こんなに働く必要あるのかな、と。

それで今の働き方を見直してみたとき、週5日で40万円稼ぐのと、週4日で30万円稼ぐのだったら確実に後者を選ぶなって思ったんです。

収入が減ると不安になりがちですが、自分に必要な生活費と趣味や自己投資に使うお金が充分であればいいと思います。大事なのは自分の基準を持つことだとじゃないかと。

ミニマリストやお金についてはここ数年で極めていったので語ってもいいですか?(笑)


ーもちろんです!興味深いです!

ミニマリストって、何かとハードルが高く思われがちですよね。本当に必要最低限のものだけにするというより、複業する人にとっては“自分の最低限を知ること”が、大事だと思うんです。

あらゆるミニマリストは服を減らしていますが、僕にとっては優先順位が高いので減らさない。その代わり炊飯器はなくても鍋があれば米は炊けるな、とか。
自分の思う最低限まで減らせると、自分自身が安心します。


ー最低限まで減らすと安心というのは、どういうことでしょうか?

僕的に、“生活費を下げることは収入を上げること”なんです。物理的に上がるのではなく、毎月の生活費を下げれば趣味に使えるお金が増えるので、精神的に収入が上がった感覚になるというか。趣味に使えるお金があれば、心が豊かになると思います。

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ー面白い捉え方ですね!

さらに複業を始めて、月給のみでなく、日給や時給などの給与形態も混ざったことで生活を組み立てやすくなりました。

月給の時は、労働に相応する対価を支払われているかどうか見えづらかったんです。でも日給は、自分が働いた感覚を覚えているうちに、お金が入ってきます。
そこから、その日の生活費を引けばいくらお金が残るのか、簡単に計算できるんです。


ー確かに月給単位だと計算する気がなかなか起きないですが、1日単位なら見えてきそうですね。

複業するしないに限らず、お金の捉え方を考えるのはオススメです!

複業を選んで見えてきた心地良さとは

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ー実際今はどういった働き方をしているのでしょうか?

1週間のスケジュールをお伝えしますね。

月曜日:午前・午後と分けて、小学校非常勤講師、教育系NPOの仕事
火曜日:午前はオンライン家庭教師
水曜日:休み
木曜日:午前はオンライン家庭教師、午後は学童のNPOの仕事
金曜日:午前、午後のどちらかで小学校非常勤講師
土曜日:教育系NPOの仕事
日曜日:休み


また、週3~5日の夕方以降の空いた時間で、カフェスタッフのシフトに入っています。

一見働きづめに思われますが、休日に読書やギターの時間も取れますし、ゆったり食事も取りつつ、結構ゆるやかに暮らしています。


ー1日に複数の仕事をされたり、多様なお仕事をされたりしていて、完全にオリジナルなキャリアですね。今の働き方になってみて、どうですか?

やはり小学校の仕事が常勤から非常勤講師に変わったことが大きいですね。空いた時間にやりたかったことに、思う存分注力できるようになりました。

やりたいことがいっぱいな僕は、どの仕事もサブじゃなくてメインにしたいんです。本業、副業という考え方に捉われがちですが、それは僕にとっては心地良くないと思って。どれか1つメインを作るよりも、すべてをメインと考えて働くことにしました。なので副業ではなく複業だと考えています。


ーすべてがメインという考え方、いいですね。

あと、複数の場に所属することで、まるで役者みたいに自分を変えられるのが面白いところです。

教員の時は、事前準備をして大人数へ授業の届け方を考える。カフェの時は、臨機応変に少人数へコーヒーの届け方を考える。

使うスキルも、仕事で得られるものもすべて違うので、1つ1つの仕事に対し“何のために働いているのか”意味を見出せるんです。

元々は狭まった価値観から自分の軸を探すための働き方でしたが、自分がパワーアップする日々が楽しいです。複業は自分に合っているなと感じます。

ー自分自身を高めるためのオリジナルキャリア、ますます魅力的に感じられます!

人生はもっと柔軟に考えられるはず!


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ー最後に、複業を考えている読者に向けて、とーるさんから一言いただきたいです!

もし今の仕事や働き方に少しでもモヤモヤを感じたなら、何かしら行動してみるのがいいと思います。探すことで見えてくるものは、きっとあります。

行動することで複業が叶うかもしれません。本業が意味あるものだったと気づけるかもしれません。“自分が今何を大事にしたいか”を考える意識を持つと、心地良い選択ができるのではないでしょうか。

人によって心地良い働き方は違います。だからこそ、自分に一番合ったオリジナルキャリアを考える必要はあると思います。

宣伝になりますが、複業の1つとして人生に迷っている人のこれからを考える個人事業をしています。教員の方でもそうでない方でも、ぜひご相談ください!

※とーるさんのTwitterから直接DMにてご相談できます。

編集後記


お話を伺い、複業を始めたきっかけ、準備、働くことへの捉え方、すべてとーるさんの軸で選択されていることが伝わってきました。

「今の仕事に不満はないけど、このままでいいのかな」
「自分にはこれといってやりたいことやスキルがない」


少しでもモヤモヤを感じている時は、行動を起こすチャンスです。
固定観念にとらわれず自分の心に従って考えることで、自分らしく生き生き働く道は拓けるでしょう。

一見ハードルが高そうな複業ですが、「自分らしくいるため」を考える1つの選択肢に複業を考えてみるのもいいかもしれません。

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