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昨日、夫から
「父親が散歩の途中に戻して動けなくなっておんぶして帰ってきた」
と連絡があった。
話をきくと、熱もなさそうだし咳もしていないから
大丈夫だろうと思ったけれど
夫はこのまま背中でいってしまったらどうしようかと
気が気じゃなかったみたい。

夫さんは
毎日両親の介護で片道8キロほどの道のりを
自転車で行き来している。

昭和ひとけた昭和6年で、
ふたりとも痴呆が入ってきている。
両親とも食べたことをすぐ忘れてしまい
バナナを一房買っていっても目を離すと5本くらい
ペロッと食べそうな勢いらしい。

そんな騒動で大きな義父を背負って帰った昨日のことを
今日は何ひとつ憶えていないらしい。
それどころか
「なんでそんな大事なことを言わない」と
義母に怒られる始末。あははは。
精がないとは、このことやね。
ああ、精がない➜しょうがない のかもしれないな。


親が呆けていくなんて考えたこともなかったな。
私の両親は、既に他界していないけれど

30年以上もいくつかのコーラス団体で指導をしていた父は
スポーツマンで足腰が丈夫で元気なことが自慢だった。
だから老いるとかボケるとか思ってもみなかった。

そんな父は最後の半年くらい
愛犬が死んだのをきっかけに痴呆がきつくなっていった。
コーラスのメンバーの方から
「最近、お父さんがおかしいです」と連絡が入り
それでも娘の私にしてみたら受け入れたくない事実。

最初は父の言動や振る舞いに対して「あれ?」と思うことが出てきて
車でコーラスに送っていくときに
道がわからなくなってあっちやこっちやと変な事を言うので
ナビを使ったら怒り出して
それで「ああ、本格的に痴呆に入ってきたのかも」と
そのときに覚悟をした。
色々な種類の痴呆があるだろうけれど
父の場合はまだ軽かったので「ごまかす」ということができた。笑
ぼーっとしてるときとしっかりしているときがあり
コーラスを指導しているときには先生の顔になっていた。

旅立つ少し前3ヶ月くらい前かな。
そのくらいから歩くことが困難になってきて
食べ物の味がわからなくなって
まず、甘み、そして辛味が認識できなくなっていき
1ヶ月ほど前から立てなくなり寝たきりになってしまった。
しかしおむつで用を足せなくて我慢してしまうから
父のいたマンションに夫と一緒にしばらく移動し
一緒に介助を手伝ってもらった。
介護のシステムがあることを知らなかったので
知っていればもう少し介護側も
楽に過ごせただろうなあと思います。きつかった。
だけど、痴呆が目立ち始めたことに旅立ったので
ちょうどよいくらいのボケ(父)とツッコミ(私)で
最後の最後まで笑って過ごせたことは救いでした。


痴呆がひどかったのは私の祖母。
今から思うと50代には発症していたのかもしれない。
初めておかしいなあと思ったのは私が5年生くらいのときだったかな。
1ヶ月ぶりくらいに祖母の家にあそびにいったときに
壁に向かって話をして壁に向かって怒り出したのですよ。

当時は痴呆なんて言葉もなかったし
びっくりしてしまいあわてて母に電話をしたのを憶えています。
「隣の人が郵便局に通帳を持っていってお金を全部引き出した」とか
言うので、本当かと思い大騒動になりました。
何かそういうお金の貸し借りみたいなことが以前にあったのはあったみたいですが、虚言がどんどんとエスカレートしていきました。

食べるものも押入れに隠したり
毎日の徘徊もあったし何度も警察のお世話にもなりました。
買い物に行くとシャケばかり買ってきて
冷蔵庫がシャケだらけになったりしてね。
昔から痴呆はあっただろうけど
みんなどうしていたんでしょうね?
最初の異変に気がついてから10年以上たち亡くなりました。


しかし自分の親となると
やっぱり認めたくないもんなあ。
だんだんと記憶から家族もみーんな消えていって
一番自分が必要とされていた頃のことが
現実になる感じでしたね。


どんなに一生懸命に介護をしようが
尽くそうが、そんなことは5分もすれば忘れてしまう。
昔はおばあちゃんの肩もんだらおもちゃ買ってもらえたけど
下の世話しても何ももらえないし完全にそのときは
祖母にとってはお世話してくれる人になっているから
当然、「あたりまえ」なこと。
この祖母と向き合った何年かは
自分にとって修行でした。
でもそれは今の私を形成するにあたって
必要なプロセスだったのだと思います。


こんなことを書いている私も
もしかしたら10年後にはそのようになっているかもしれない。
ああ。どうしよう。
ちょっとでも傾向があったら教えてほしいです。
(今もボケてるようなものやと言われそう)

さあ、かっちゃんも(夫)がんばれ〜。

そして私は
今のうちにみんなにお礼を言っておこう。
お世話になりますがよろしくお願いします。
ありがとうございます。


世の中は大変な雰囲気ですが
みなさん、どうかお氣をつけて。




大変大変感謝申し上げます