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金銀パラジウム合金の接着 #00090

歯科接着シリーズ。今回は金銀パラジウム合金(通称、キンパラ(またはパラ))とレジンセメントの接着操作について簡単に解説します。(池田弘)

 ご存知の通り、金銀パラジウム合金(キンパラ)はいわゆる銀歯の素材です。現在の日本で最も使用されている歯科材料です。金銀パラジウム合金は、金合金の代替材料として約70年前に誕生しました。金の含有量は12%程度であり、パラジウムが約20%、銅が約20%、そして銀が約50%の貴金属合金です。開発当時は比較的安価な合金として日本の保険医療に最適でした。しかし、近年のパラジウムの高騰により価格が急上昇し、日本国の医療費逼迫の原因のひとつとなっています。最近ではCAD/CAM冠などの代替材料が登場し、使用量は年々減少していますが、修復材料としてはまだ一番使用されているようです。

 キンパラの接着ですが、基本的にどのようなセメントを使用しても脱離の問題は大きくありません。一方、接着ブリッジなどの絶対に脱離させたくない場合は注意が必要です。今回の動画ではキンパラを高度に接着させる操作について解説しています。

 まず、サンドブラストは必須です。以前の動画でも解説していますが、サンドブラストは、キンパラ表面を粗造化させるだけでなく、試適時の唾液汚染を除去する効果があります。技工用のサンドブラスターがない場合は簡易ブラスターでも構いませんので、必ずブラスト処理を行います。次に、プライマーの塗布です。キンパラは貴金属合金に分類され、貴金属に接着するプライマーが有効とされています。例えば、MTU-6やVBATDT(VTD)などの接着性モノマー(機能性モノマー)を含むプライマーが有効です。そして、レジンセメントを用いて支台歯に接着させます。種々のレジンセメントがありますが、サンドブラスト処理とプライマー塗布を正しく行っていれば、基本的にどのようなレジンセメントでも確実に接着させることが可能です。詳しくは動画をご覧ください。

00:00 キンパラ材料の概説
01:50 接着操作の概説
03:05 サンドブラストの説明
04:50 プライマーの説明

補足・訂正

 金銀パラジウム合金は接着しやすい材料です。接着操作もほぼ完成しています。機械的性質も優れています。見た目以外は非常に優秀ですね。キンパラの接着操作は他の材料と比較する際の基本ですので必ず覚えておくと良いと思います。

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