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実験の安全管理 #00099

 バイオ系実験室での安全対策における基本的事項についてまとめます。特に大学で実験を始める学部学生と大学院生は必ず目を通してください。基本的な内容に絞っていますので、具体的な詳細手順は別の動画を参照してください。(小野堅太郎)

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1.実験の服装と準備

 バイオ系実験では、長袖の長白衣が基本となります。白衣を着ることで、身体や衣服を守ることになりますが、衣服からの細かいほこりなどの実験系への混入を抑える目的もあります。長い髪はまとめてください。種々の実験操作で邪魔になることもありますし、実験台の器具を倒して割ったりするリスクを減らします。

 必要なものとしては、ゴーグル、タイマー、軍手です。危険な試薬や溶液を扱う際は、目を守るためにゴーグルをつけて作業してください。九州歯科大学生理学分野の関連実験室では、溶液調整と工作室にはゴーグルを誰でも使えるように備えています。タイマーは、スマホでも腕時計でもキッチンタイマーでも何でも構いません。ディープフリーザー(-80℃)やオートクレーブの横には共有の軍手を置いていますので使用してください。

 グローブは危険試薬を使用する際には必ず装着してください。DNAやRNA操作を行う場合にも必要です。動画では、再利用するやり方も教えていますので確認してください。

2.救急箱の確認

 ケガをしてから救急箱を探していては間に合いません。実験を始める前に、救急箱がどこにあるのかを必ず確認してください。救急箱の中身を空けで、中に何が入っているかを確認してください。実験によっては、感染のことも考えないといけませんので、ケガをした際は必ず指導教官に報告する必要があります

3.事故の防止

 実験中の事故は最大限に避けなければいけません。

  1. ガス管の固定はされているのか

  2. 加工器具は適切に設置され、ケガをしないような操作方法を心がけているかどうか

  3. 半田ごてやガスバーナーなど火事の原因となる機器の操作時に、現場に留まっているか

  4. 触ると火傷する可能性のあるものに注意喚起を行っているかどうか

  5. その他の実験器具で発熱するものに気を払っているかどうか。

 これらについてはミスの無いように取り組んでください。

4.ラベル管理

 見過ごされがちですが、溶液や試薬のラベル管理は安全対策に非常に重要です。各研究室ごとに諸所のルールがあると思います。動画で説明しているのは「最低限」の内容ですので、どんな研究室であっても試薬・溶液のラベルは忘れないようにしてください。

 下に研究室に掲示している九州歯科大学生理学分野のラベル表記法を例示しておきます。参考にしてください。

生理学分野での溶液・試薬
あくまでも参考に

5.実験室の清掃・中和処理

 清掃ペーパーには何を使うべきなのか、酸性・アルカリ性溶液をこぼした時にはどう対処するべきかを説明しています。「使い始めよりも美しく」は基本です。試薬や溶液がこぼれている実験台での作業は厳禁です。使用前の清掃と使用後の清掃は必ず行ってください。

 アルカリ性溶液をこぼした時には3%酢酸、酸性溶液をこぼした時には5%重曹をかけて、必ず中和させてから拭き取ってください。中和できたかどうかは泡立ちとpH試験紙を使って確認します。

 これらのことはバイオ系実験を行う上での最低限の安全管理です。実験を行う者すべてが理解していなければなりません。自分の身を守るだけでなく、研究室の他の実験者の身を守るのに必要です。本動画をよく観た上で実験を行ってください。

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解説動画

00:03 実験の服装と準備
02:33 救急箱の確認
04:28 事故の防止
11:29 ラベル管理
15:16 実験室の清掃・中和処理

補足・訂正

 特にありません。

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