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歯は弱い!?:#00069歯の話⑦

人体で最も硬いのが歯(のエナメル質)なのに、なんとその歯が「よわい」という衝撃の事実。最後まで怒らないで読んでくださいね。(吉野賢一)

歯の硬組織:人体を構成する硬くてしっかりした組織を硬組織と言います。歯にはエナメル質、象牙質、セメント室の三種類の硬組織があり、エナメル質は人体で最も硬くて頑丈です。

歯の軟組織:象牙質の内側には歯髄腔という腔所(すきま)があり、ここに存在するのが歯髄と呼ばれる軟組織です。歯髄は神経や血管などを含んでいて歯の感覚(痛覚)や歯への栄養補給を行っています。さらに歯髄は、象牙質を形成する働きも持っています。

象牙質の形成:象牙質(歯)の内側にある歯髄が、象牙質を形成していきます。歯は膨らみませんので、内側から象牙質が作られていくと腔所がどんどん小さくなります。歯髄は、毎日毎日少しずつ象牙質を作ります。つまり、年齢を重ねると「歯髄腔はどんどん小さくなり、そこに入っている歯髄もどんどん小さくなる」のです。

歯はよわい:ヒトを含めた歯をもつ哺乳動物において、若い個体は大きな歯髄(腔)をもち、老いた個体は小さな歯髄(腔)をもつのです。だから、歯はよわいというオチになります。歯を調べると「齢(よわい)」が分かるということです。歯(歯髄腔)は硬組織からなるので化石としても残りやすく、そのような動物の年齢推定に非常に役立っています。

02:00 歯の硬組織(エナメル質、象牙質、セメント質)
03:20 歯の軟組織(歯髄)
04:00 象牙質の形成

補足・訂正

今回は同音異義語(弱い、齢)で遊んでみました。Youtube動画では、どんだけ~の「くどい仕込み」をお楽しみください。なお、動画タイトルに「歯医者さん・歯科衛生士さんも知らない」と書いていますが、歯(歯髄腔)から「齢」が推察できることは歯科医療人の皆さんはご存じです。小野先生を除いて(笑)

動画クイズの答え

歯の「摩耗・咬耗状態」からも年齢を推察することができます。要は、歯が「どれくらい削れているか」ですね。動物は生きるために毎日歯を使って食べます。非常に強い力で食物をすり潰すとき、歯が削られてしまうのです。つまり、摩耗・咬耗した歯をもつ(もたない)のは老いた(若い)個体と考えることができるわけです。

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