あめあめあめあめあめあめぬ
ぺったりと肌にまとわりついてくるこの不安から腕をひいて連れ出してくれる大きな手をただ待っているだけで、あたしは1ミリだって動けてはいなくて。
結局何かって、あたしはあたしを愛してもらうためにしか愛することができないんじゃないかっていう恐怖。
自分に不都合なことを忘れていく恐怖。
人間である以上、孤独には耐えられない仕組みであるのかと。
過去のあたしと現在のあたしと未来のあたしは
一番に理解し合える他人であるけれど、
決して抱き合い慰め合うことはできないということ。
そしてそんなことはどうだっていいとわかっていて、
すきなひとに会いたくて会いたくてどうしようもないのにどうしようもできなくて、やり場のない日々を過ごしているということ。
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あめ。あめ。
きのうは色んなものから逃げて逃げて逃げて逃げた一日だった。
自分のあしもとを見失って
目先に揺らぐ蜃気楼に身を投げて
失うことが怖くて繋ぎ止めていた場所から
はじめて耳を塞いで聞こえないふりをして逃げた。
手に入れたいものは指の先をかすめてするりと逃げゆき
しおれた心を潤す水は知らぬ間に腐っていてあたしは腹を痛めた。
簡単なことも複雑な人の波に絡まって縺れてうまく進まない。
無限ループみたいな雨の音が君の声を、君を、掻き消す。
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必要としてもらえること、会いたいと思ってもらえること、
それが今の価値観で、幸福。
確かなモノなど有る筈なくても、
信じられる何かがこだまするなら穴は埋まるのではないかと。
多くを求めてなどいなくて、
ただただひとつの小さな心をつなぎ止める
ひとつの何かを探し求め彷徨っているだけ。
いつしか部屋は淋しさで散らかって
あたしの視力も涙でかすんでいつかは何も見えなくなって
それでもその感触を、その微かな温もりを、
闇雲に手探りで探すことをやめたりはしないよ。
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向きあって食べるごはんが何より美味しいことだとか、
何でもない毎日も重なり合う鼓動が満たしてくれること。
どんな味付けが好きだとか、興味のあるもの、好きなメロディ、
笑いのツボだとか、弱いとことか、
ひとつひとつ知っていくこと。
尊敬しちゃう大好きな部分と、笑っちゃうくらいダサい部分と、照れた顔、気の抜けた声と、腕の太さ、体温、
あたまがパンクするくらい君のことを覚えて、
あたしは君を喜ばせる達人になりたい。
願わくば、だめなあたしのことも可愛いねって言って大目に見てほしくって、あたしがここに生きていたって、特別なひとりに記憶してもらいたい。
しあわせって、たしかそんな感じだと思うんだ。
(あめあめあめあめあめあめぬ 2009年09月16日01:35)
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