このてのひらに-green ①

※[この手のひらに]という曲がモチーフの、あらしさんがあらしさんのお話です。

※もちろん妄想です。

※まずは、あいばくんから。













▤▤▤▤▤




『あ、手際いいですね~』





『ありがとうございます、誉められるとは!』


『あははは、やっぱ最近この番組で料理やってるからね~』



『そそ!慣れてきた!』








今日のロケは、国産小麦で挽いた小麦粉をケーキ屋さんに持ち込んでのクッキー作り。





お菓子作りなんて初めてでしょー?

なんて聞かれて、そうですーつって。

本当は初めてじゃないんだ。





あの日…

きみとさよならした日に

嗅いだ甘い香りが、オーブンから漂う。




『いい匂い、してきたね!』



『これやばいね!おいしいの、できちゃうね!』







▤▤▤▤▤






『え、クッキー?』


『うん。一緒に作ろ?』



彼女はパティシエをしてて。

最初は、スタッフ達との飲み会で知り合って。

それで…

お持ち帰りを…

しました…





朝、おれの隣で目が覚めたきみは

すっげー動揺してて。

お店の出勤時間はとうに過ぎてたらしく。

しかも、こういうことは初めてだったらしく。

どったんがったんばったん

ベッドから転げ落ちて。

シーツを引っ張るからおれまで落っこちて。

華奢な肩がむきだしで、思わず床の上に押し倒して…
昨夜の続きで
キスしようと…して





突然左の頬に痛みが。

ばちこーん!って。





『いってぇ… なにすんだよ…』




『ご、ごめんなさい!わたし…あの』


『昨日のこと、覚えてない?もしかして』


『覚えて…ます…』


『なら殴ることないだろ?』


『とっさに、手が出ちゃって…』


『おれ…きみのことが好き。好きんなっちゃった。』


『相葉…さん…?』


『それともきみは、おれがげーのーじんだからって、本気じゃなかった?』


『そんなことないです!わたし…』


『ん?』


『こういうの、初めてで…どうしたらいいのか…』


『はじめて?』



『えっ…と… 酔った勢いで…その…男の人と…っていうのが…』


『おれは…初めてじゃない…んだ…ごめん』


『え、はぁ…』


『だけどまた会いたい、付き合いたいって思ったのはきみが初めて。』


『つ、付き合う?』


『うん。付き合わない?おれたち!』










始まりは、おれの押せ押せだったね。





うん、実は家に連れてっちゃえって思ったのは

付き合いたいって思ったからだから。

きみには言ってなかったけど。

そうじゃなきゃ、あんなことやそんなこと…

しないよ?好きな娘とじゃなきゃ、できないもん。



きみは戸惑いながら、でも受け入れてくれた。

メールに電話。

けっこうマメですから。

回りにものすごく気を張りながら会うのは大変だったけど。

そんなの全然苦じゃなかった。

きみに会っちゃったら。楽しすぎて。

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