見出し画像

解雇規制について(ご意見ほしい)

以下のようなつぶやきに出会った。引用させていただきます。

まっとうなご意見だと思う。ただ自分が受託開発をする零細企業にいる立場から考えて、そのとおりなんだけどなぜそれが難しいか、も感じている。

なぜ企業が派遣を通すかというと人手が必要なくなったときに手放せるからであり、直接雇用すると人手が必要なくなっても手放せないからである。※引用しているツイは中間搾取の問題だと思うが、派遣労働問題につながる議論の取っ掛かりとして引用させてもらう。

パワハラ的に、労基法無視で無茶な解雇をしているブラック企業があることはわかるが、それは単に違法企業なのでそういうケースはおいておいて、一般的には企業が正社員に辞めてもらうとか正社員の給与を下げるというのはかなりハードルが高い。

今だとネットでそういう情報が知れ渡っていることもあり、弁護士業界もそこに着目してたりして、無効な解雇を争うケースがたくさん目につくし企業が解雇権の濫用として敗訴しているケースも多く見られる。

パソナルームなんていって自主退職に追い込むようなスキームが組まれるのも、表立って解雇はできないから自己都合ということで辞めてもらう方に仕向ける必要があるからだ。

そういうわけで、企業の解雇規制というのは多くのサラリーマンが認識している以上に有効に機能していると思う。

ただその弊害として、一度採用したら業績が悪化してもよっぽどの状況でなければ給与は下げられないし解雇も無効とされることの反動として、多くの企業が、ならばできるだけ雇用は少なくしておいた方がいいし、給与も上げないでおこう、となってしまっている。

人手不足と言う割にはなかなか採用されないんだけど、とか、長年働いてもちっとも給料が上がらないんだけど、とかいう声はたくさん見られるが、別に各企業が意地悪してそうしているわけではなく、労働法制や雇用慣行なんかによってなるべくしてそうなっているといえる。

自分が小さい会社でそれを見ているから余計にそれがよくわかる。受託なんで仕事が途切れて赤字になる年もあるけど、だからといって給与を減らされたら困るしクビ切られても困る。でも仕事が取れなくて赤字が続いて会社が倒産するのも困る。いよいよ倒産間近となれば解雇も認められるだろうけど、どうせならもっと早い段階で人を減らしていれば違った展開もあったのに、ということも考えられる。自分が対象となるのは困るとはいえ、誰かが対象とならなければ仕方がない。

このあたりの議論は濱口桂一郎先生とか労務屋ブログさんとかが何年もかけて議論してくださっているので詳しく知りたい人はそちらを見てもらえればと思う。

最近何かと話題の政商パソ中平蔵が派遣業界の顔として叩かれるが、解雇規制を撤廃して正社員が簡単に解雇できるようになればむしろ派遣業界がいらなくなるという矛盾についてはみんな気づいているのだろうか。とはいえやつは邪悪だと思うので許せないが。

派遣を推進したことにみんな怒っているが、正社員の解雇が難しいからこそ企業は派遣に頼るのだ。

ではどうすればサラリーマンにとってのリスク・リターンと企業のリスク・リターンがバランスできるのだろうか。結論としては解雇規制の撤廃ではなく、明確な金銭解雇のルール設定、しかないと思う。

半年分なり1年分なり、余裕があるなら3年分なりの給与額を支払う代わりに退職してもらう。濱口先生の結論もこうだったはず。

どうしても人減らしして辞めてもらわなければならない状況は企業経営には必ず起こるし、それを許さないからこそ逃げ道としての派遣なり部署の切り売りなり無理矢理の介護事業への転籍なりパソナルームなりが生まれてしまい、雇用も抑えられ給与上昇も抑えられるのだ。

なお、解雇規制とは言うものの、労基法にて解雇を禁止してるわけではなくあくまで濫用を禁止している。何が濫用に当たるかは判例で主に4つの条件がある。解雇の4要件とかで検索してもらえればわかる。大本は明確な解雇条件を定めずに雇用している雇用慣行上の問題である。最初から契約を明確にして雇用していれば別に解雇できないわけではない。

なので今後の雇用はメンバーシップ型といわれる職務無限定の正社員ではなく、解雇も含めた諸々の条件を定義した契約に基づいた正社員の雇用となっていくのではと思うが、それには時間がかかり、少なくとも現行のルールで雇用されている人たちにとっては、金銭解雇の明確化が一番現実的で確実な形ではないかなと思う。

これについては異論反論何でもいいので一言でもご意見いただけるとありがたいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?