見出し画像

はじめてレッズをみた日[本編]

「今からサッカーの試合を観に行くぞ!」
中学の部活動で汗を流し、帰宅するなり父にそう告げられる。
いつもなら父はまだ仕事から帰ってはこない平日の夕方。普段見ることがないくらい父は興奮していた。幸運にも職場で2枚のチケットを急遽試合の直前に譲り受け、興奮さめやらぬまま帰ってきたのだ。

1993年5月19日

日本でJリーグがスタートし、ホーム駒場競技場(当時の名称)での初戦(vs名古屋)の日。

試合開始1時間前、人生初のサッカー観戦が突如として決まる。

我が浦和の街にプロサッカークラブが出来たことは知っていた。5月15日の川崎vs横浜、翌日の大阪vs浦和もテレビで見てその盛り上がりに胸をときめかせていた。

いつの日か試合を観に行ってみたいと漠然と思ってはいたものの、その日は突然に訪れた。
しかもそれが駒場の初戦で。

慌てて着替えを済ませ、近所でもある駒場に到着。

1万人収容(当時)の競技場は決して大きいとはいえるものではなかったものの、スタンドの階段を上り飛び込んできたその光景は14歳になったばかりの少年に衝撃を与えた。
既に両チームの選手たちがウォーミングアップを始めていて、照明灯の光がスポットライトのように照らされている。
そしてゴール裏からの大声援。

スゴい…

目に飛び込んでくる光景、耳に入ってくる野太く響き渡る声。
全てが初めて味わうもので、それは14歳が処理できるキャパを遥かに超えていた。

試合は0-3の完敗。

試合に負けた悔しさよりも「このチームをもっと応援したい!」という気持ちで満ち溢れた。

93年、プラチナチケットを入手できて駒場の中に入れたのはこの試合も含めてたった3試合だけ。それでも試合がある日はいつも駒場にいた。当時通っていた人なら覚えているかもしれないが、フェンスの隙間や木登りをしたりで少しだけ試合が覗ける時代だった。
試合をよく観られなくても、同じ熱量の場にいられることが楽しくて仕方なかった。

急遽観に行くことになったこの試合がきっかけで自分の人生が変わった。いや、浦和レッズが人生そのものとなった。

ホームもアウェイも海外にも行った。

あの日を含め、観戦チケットは戦いの証として全て保管している。それは何ものにも代え難い一番の宝物だ。

当時、大きく見えていた選手たち。今では浦和に在籍するすべての選手が年下になった。30年という時の流れは早いようでいてとつてもなく長いものでもある。大原サッカー場で「どうだ?カッコイイだろ?」と練習中フェンス越しに声をかけてくれた土田尚史選手も今はチームのSDだ。

歳を重ね生活環境も少しずつ変わったことで、試合をテレビなどで落ち着いて観ることも増えた。
それでも浦和レッズを愛する気持ちはあの時から何も変わらない。

はじめてレッズをみた日

あの日があるから今の自分がある。

#浦和レッズ
#urawareds
#wearereds
#はじめてレッズをみた日
#サッカー

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?