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【クラウドサイン】未来のリーガルハイ!? テックで在り方が変わる法・秩序の姿とは!《前編》

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日本で150年近く続いた慣習がある。

そう、印鑑である。

いや、印鑑の歴史は紀元前まで遡ったっていいのだが、
こと日本の契約というプロセスにおいて、100年以上の歴史がある印鑑。

「その慣習を変えていく!」

を実現してしまった。幻想殺し(イマジンブレイカー)並みの主人公男!
弁護士ドットコム取締役クラウドサイン事業本部長の橘大地さんに取材してきたので、ぜひこの先を読んでいただきたい。

ちなみに、前編のマンガは橘さん原作である。
頭もいい、ビジネスも上手、マンガも描けて、リーガルテックを牽引するリーダーシップ。
本人には言えないけど、あれですか?
強くてニューゲームしてませんか?
それとも異世界転生しました?

■法律の専門家から、テックに明るい法律の専門家に

まずは、橘大地さんがどういった人物なのかを知ってもらう必要がある。

前職はスタートアップ向けの法律事務所で弁護士として活躍していた橘さん。
この頃、スタートアップと呼ばれるような若い企業、若い経営者たちとコミュニケーションしていたことが、現在の橘さんを形成している。

法律家という職業は得てして“支援”という役回りになりがちな中で、橘さんは自らが“事業を創りたい”という想いを胸に、弁護士ドットコムへ。

法律相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」という法律トラブルを抱えた相談者と弁護士のプラットフォームなどを提供する中で、橘さんは電子契約サービスの事業展開を担当している。

それが、Web完結型クラウド契約サービス「クラウドサイン」である。

■世の中を便利に!慣習は変えるためにある!

100年以上の歴史がある押印慣習を変えた(と言っても過言ではない)橘さん。
そもそも、紛争解決手段には課題がないわけではないと語る。

一つの大きな課題は、
「お金と時間がかかる」
ということだ。

紛争解決の手続きとして、現在の法・秩序においては、裁判所や調停等の紛争解決手段のルールに則って解決を図ることとなる。
これには時間とお金がかかり過ぎてしまい、紛争解決への労力がかかり、本来紛争解決に求められるスピード感が実現できずに、結果として紛争解決せずに泣き寝入りしてしまうことも現実としてある。

だからこそ、橘さんが次に変えられるのでは!と見据えているのは「紛争解決の仕組み」らしい。

■未来の紛争解決とはどういうことか!

未来の紛争解決と言っても、
「マイノリティ・リポート」や「PSYCHO-PASSサイコパス」みたいな世界になるわけではないと言う。
(予知による犯罪抑止社会を描いた映画、アニメ)

「マイノリティ・リポート」の世界観は哲学的にも法的にも検討が必要な考え方なので、もっとリアルに考えると、
「クラウドサイン」に代表されるような電子契約サービスが、米国で議論が進んでいる「スマートコントラクト」としてさらに発展することによって、改善される可能性があると語ってくれた。

これから発展していくデジタルトランスフォーメーションにより、我々が持つ財産がデジタルデータに変換されたとき、契約による本人合意によってデジタルデータによる財産移転が可能となる。
現金(日本銀行券)がPayPay等のデジタルデータに移行が進んでいる。
裁判所の判決に基づき国家が強制執行する紛争解決メカニズムと共に、デジタルデータで財産移転があれば紛争が即時に解決するシンプルな紛争解決の世界も実現できるかも知れない……らしい。

例えば、現在、不動産や自動車は強制的な差押手続が必要になるが、ソフトウェア化され、不動産や自動車のソフトウェア起動の権限を債権者に移転できる管理ができる可能性は十分に考えられるということだ。

~ある日のif編集部~
井田編集長(仮)「春馬さん、原稿落としたら損害賠償金10万ね」
春馬「……ぐゥ!(血の涙を流しながら承認する)」

これでもし、僕がこの原稿を落としたら、面倒な手続き無しで僕の資産10万円分を損害賠償として差し押さえる。
そんなことが可能になってしまうかも知れない。
(注:法律上、給与からの天引き等はできません。フィクションです)

そうなった時に、現在の法・秩序は揺らいでしまうのではないか。
(上記のような例は、法・秩序以前に私が非常に困る)
そう聞いたら、
「ここも議論が始まっています」
橘さんは、アメリカ大統領選挙前に発生した案件で興味深い事例があるのだという。

今年1月にトランプ大統領の支持者とされる者らが連邦議会内に侵入した案件が発生した。どちらが正しいかはさておいても、
法律上、議会手続の中はドナルド・トランプ氏に対する統制等について即座の関与は行えなかったが、Twitter等の各ソーシャルメディア企業はアカウントを凍結するという動きを見せた。
これ自体は賛否あり、表現の自由における統制として評価は決着していない。
しかし、本人が利用規約に合意したソーシャルメディア上で、利用規約に基づきテクノロジー企業が即座に判断する事例でとして歴史的な評価事例となるのではないか。
民主主義による法律、議会による統制と、本人合意を根拠としたテクノロジーによる統制の違いを垣間見たという。

実生活におけるテクノロジーの浸透度が増せば増すほど、法・秩序も新たな在り方を模索していかなければいけない。

実際に、未来をリーガルテックの見地からプロトタイピングしてみた時、どんな変化が訪れるのか。
企業の持つ倫理観 VS 法と秩序 みたいな構図とか生まれちゃうのだろうか。
スマートコントラクトが完全に浸透したら、秩序はプログラムだけで保たれる世界とか来ちゃうのだろうか。
後編ではそのあたり、詳しく聞いてもいいですか!

漫画:長瀬夢宙(@nagase_hiromu)記事:齋藤(@st_hal_
編集:井田(@ida_pei

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