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<Gを殺す機械 一話完結>ショートショート

2050年、人類共通の敵である、あのGを瞬殺する画期的な機械が発明された。これはその機械を購入したある一家の物語。

父親「買ってきたぞ!」
母親「あら、早速買ってきたんだ。今CMでやってるわよね」
息子「なにそれ、空気清浄機?」
父親「見た目は確かに空気清浄機みたいだな。」
母親「これは最近発売した『Gを殺す機械』よ。」
息子「うわ、なんか怖い名前」
父親「かなり強力らしい。ちょっと説明書を読むか」
父親「ふむ、電源を入れるだけで自動的に半径10m以内のGを超音波で殺すらしい」
母親「最近Gをよく見るから助かるわ」
息子「そうだね~。あんなのこの世からいなくなれば良いのに」
父親「よーし、じゃあ電源入れておくぞ」
母親&息子「はーい」

1か月後

母親「最近めっきり周辺でGを見なくなったわね」
父親「なんとも平和なもんだ。効いてるってことだな。」
息子「学校でも、みんな家で買って置いてるって言ってたよ」
母親「そうなのね。本当にこの機械は画期的だもんね~。」
父親「ああ、俺たちの負担がかなり軽くなるからな」
母親「そういえばお爺さんが今週末うちに来るらしいわよ」
父親「ああそうだったな。準備しとかないとな」
母親「お婆さんが亡くなってから寂しそうにしてるものね」
息子「お爺ちゃん来るんだ!やったあ!」

週末

家のチャイムが鳴る

母親「あら、お爺さんが来たみたいよ」
父親「ああ、俺が行くよ」

玄関扉を開ける父親

お爺さん「おー、久しぶりだな・・・うん?なんだ耳鳴りが凄い・・・・ゲボッ、グフッ」
父親「おーやっぱり効果あるな」
お爺さん「お前も・・・・あの機械を置いたのか・・・・クソッ・・・・カハッ・・・・グボッ・・・・」

血を吐きながら玄関に倒れるお爺さん

父親「死んだみたいだな」
母親「あなた、実の父に対しても容赦ないのね」
父親「まあな。超高齢化社会で俺達の世代の負担が凄いし、止むを得ない。うちだけやらないってわけにもいかないしな」
息子「うわ、ついにお爺ちゃんも死んじゃったね。遺産沢山あるのかな」
父親「まあ沢山貯めこんでるだろう」
母親「それなら今日の晩御飯はステーキね」
息子「やったあ!」
母親「これでうちではもう爺を殺す機械は不要ね。婆を殺す機械と一緒にメルカリに出しておくわ」
父親「そうだな」
母親「あと準備しておいた棺桶にお爺さんを入れないと、あなたやってよ」
父親「まあ力仕事は俺だな。はー重いわ。」



―2050年、日本では超高齢化社会への対策として『爺を殺す機械』『婆を殺す機械』の設置が合法化し、また国から推奨され、国にはびこる爺婆を駆逐していった。おかげで高齢者世代の貯蓄が社会に流出して好景気となり、医療費も節約でき、日本は経済的苦難を脱することになった。


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