見出し画像

日本橋七福神巡りながらの片手袋ツアー、開始直後奇跡の1枚発見に大歓喜でした【レポ記事】

2023年9月18日に、"日本橋七福神巡りしながら、手袋が落ちてたらめちゃくちゃ解説する「片手袋ツアー」"を実施してまいりました!

短時間で巡拝できるのが特徴である"日本橋七福神巡り"。……をしながら、「道に落ちている片方だけの手袋を探す」ツアーのレポートです。

ガイドは、片手袋研究家 石井 公二さん

石井公二さん

今回のツアーガイドは、片手袋研究家の石井公二さん。2004年、カメラ付き携帯で"道に落ちている手袋をパシャリと写した瞬間"から現在に至るまで、延べ5,000枚以上写真に収めています。

そして、写真に収めるだけでなく「どのようにしてそこに落ちたのか」発生のメカニズムまで研究しているマニアな方です。

"片手袋分類図"があれば、何も心配いりません

片手袋分類図

このツアーに欠かせないアイテムがあります。それは、石井さんが確立した「片手袋分類図」。これを使って、

◎何のための手袋なのか:軽作業、ファッションetc…

◎どんな過程を経たのか:落ちっぱなし or 落ちたあと拾って置かれている

◎どこに落ちているのか:横断歩道、三角コーンetc…

を考えながら分類してみると、石井さんの片手袋視点で街中を楽しめます。

1枚を勝ち取ろう!士気を高め、いざスタート

▲片手袋遭遇率が低い時季であることを、申し訳なさそうに話されている石井さん

さて、今回のツアーでなぜ七福神を巡るのかというと「例え片手袋が見つからなくても、七福神巡りをしたという達成感を得てもらいたいから」です。特に今は、片手袋最盛期の冬に比べて見つかりにくい時季。

全員で1枚を勝ち取ろうじゃありませんか! そして、片手袋じゃなくても片手袋を感じるもの(?)があったら報告しあいましょう!」という石井さんの熱いご挨拶からスタートです。

片手袋が見つかる前から、見つかりそうな場所についてどんどん解説してくれる石井さん。軍手がよく使用されている工事現場、よく落ちているそうですよ。

開始2分後に現れた黒いヤツ⁉第一片手袋発見

片手袋にゆっくり近寄る、参加者の皆さま

「あ、あれそうかな?」と声のする方向を見ると、道路上に何やら黒いものが落ちているではありませんか……!

駆け寄りそうになるも、石井さんの「みなさん、落ち着いてください! 」のひと声で一旦冷静に。ゆっくり近づいてみます。

遠目に見ても、

カメラでズームしてみても、確実に手袋。片手袋です。これまで生きてたなかで、手袋を見てこんなにも興奮したことがあったでしょうか。

車道に落ちている手袋は、トラックの荷台から落ちてそのままになっていることが多いそう。分類図と照らし合わせると、これは「ディスポーザブル類 放置型 歩道車道系」です。

「こんなにも早く1枚目が見つかってクラクラしてます。」と、全く予想していなかった展開に石井さんも驚いている様子。幸先いいですね。

石井さんのマイルール:片手袋に触らない

石井さんは、以前もこの近くで撮影したことがあるとか。撮影後に通って片手袋が無くなっていたとしても、「ここにあったよな。」という思い出とともに生きてるんです。そう仰っていました。

ありそうな場所を観察しながら、末廣神社へ

早々に片手袋1枚見つかったところで、次の2枚目を探しながら七福神巡り一か所目の末廣神社を目指します。

片手袋研究をしていると、片手袋の"ありそうな場所"と"なさそうな場所"が雰囲気で分かってくるらしいです。

やはり人気の多い場所が見つかりやすいということで、植え込みや、

工事現場を見ながら歩きましたが、"落ちやすい場所"のほか、"風で飛ばされて引っかかりやすい場所"にもあるそう。なるほど。手袋の動き、興味深いですね。

やっと到着した末廣神社に祀られているのは、"毘沙門天"勝運向上の御信徳が有名なものの、病気平癒、厄除け、財運向上などさまざまなご利益を求めて参拝客が訪れる神社です。

笠間稲荷神社に向かう途中で1枚!いや2枚⁉

▲落ち着き、ゆっくり近づいて撮影する参加者の皆さま

七福神巡り二か所目の笠間稲荷神社へと歩き出してすぐ、今度は飲食店の前でくしゅっとなった白い手袋が……!

一見手袋に見えませんでしたが、

近寄ると、指の部分が見えてました。そしてなんと、2枚重なってることが判明。そんなこともあるのか……! 使い捨ての手袋は、2枚重なっていることも少なくないそうです。

▲石井さんが過去に撮影したディスポーザブル手袋、きれいに2枚重なっている

飲食店の方が店舗内でしていた手袋を外し、ポケットにつっこんで外出したタイミングで落ちてしまったんでしょうか。妄想が膨らみます。こちらは「ディスポーザブル類 放置型 車道系」です。

片手袋は既に3枚見つかっていますが、神社はまだ二か所目。笠間稲荷神社に到着です。こちらに祀られているのは"寿老神"福徳長寿の守護神として、信仰を集めています。

手袋と見せかけて、そうじゃないもの多々あり

道に落ちているのは、片手袋だけじゃありません。お?手袋っぽい? と思って近づいたら……違う! ものも多々ありました。車道は近寄れないので、カメラを持っている方に撮影、ズームでチェックしてもらったりして。

石井さんによると、イチョウも間違えやすいとか。私が見ている限り、紙切れやティッシュ、ビニール袋も紛らわしかったです。手袋じゃないと、ちょっとがっかりしちゃうのがおもしろい。

寒い時季以外の片手袋、どうやって発生する?

石井さんによる、片手袋統計資料

遭遇率が圧倒的に高いのは、やはり1、2月。でも、まだまだ暑いこの時季でも、今だけでもう3枚見つかってますよね。0にならないのは、なぜなんでしょうか?

ipadでいろいろな例を見せてくれる、石井さん

大きく分けると理由は2つ

・飲食店や工事現場で使われる手袋は、季節問わず落ちる可能性があるから
・冬に発生した片手袋が、夏になってもそのままずっとある場合があるから

365日、これからいつでも片手袋に遭遇する可能性があると思うと気が抜けません。

▲投函する際に手袋を外すので、ポスト上部の片手袋率高し

どうか皆さま、片手袋博愛主義でいてください

おお!今度は椙森神社への道中、植え込みに現れました!

「ゴム手袋類 放置型 植込み系」です。ここで石井さんが仰った「もしかして皆さん、そろそろファッション類介入型出てきてくれよ~! なんて思ってるんじゃないですか?」にハッとする私。

続けて「片手袋である以上、僕は高級な革手袋でも軍手でも同じように愛します。みんな(片手袋)がいるから年中観察できているので。」とのこと。な、なるほどこれが片手袋博愛主義。さすがだ……。

「何かを願って、手袋を失う」それが神社です

時刻は16時。開始1時間経った今、七福神巡り三か所目の椙森(すぎのもり)神社到着です。こちらに祀られているのは"恵比寿神"。はじめは豊漁の神でしたが、現在は商売繁盛の神へと変化しています。

▲ipadでいろいろな例を見せてくれる、石井さん

神社も、片手袋が発生しやすい場所なんだそう。

触るとご利益があるとされるお地蔵様などの近くや、絵馬を書く台。意外と手袋を外すタイミングが多くあります。「何かを願って何かを失う」石井さんの資料にも書いてありましたが、人生うまくできてるな~。

▲自販機は「買って飲む人」と「補充する人」によって異なる種類の片手袋が発生する

片手袋?両手袋?こちら惜しくもノーカンです

小網神社に向かう道中で「これは思考実験のめちゃいい事例ですよ! 」と石井さんが指さす先には2枚の手袋。片手袋が2枚? それとも両手袋? 手袋に変わりないのですが、今はどちらなのかが非常に重要です。

「う~ん、"放置型片手袋"と"介入型片手袋"、と言えなくもないんですが、僕の中では片手袋を"目の届く範囲で両方の状態になく、一つだけになっている手袋"と定義しているのでノーカウントにしましょう! 」と石井さん。

あなたならどう介入する?分類のその先は無限

七福神巡り四か所目の小網神社は大行列、写真撮影禁止のため泣く泣く遠目に見ながら通り過ぎる形となりました。強運・厄除けの神として、芸能人の方々が訪れたりと注目を集めています。

さて、次の茶ノ木神社に向かう途中ガードレールの前で一旦停止です。参加者の方に差し出された、軍手。「あなたが介入するとしたら、どう置きますか?」

ガードレールの上の方にそっと引っかけたり、

棒状の部分にすっぽり被せたり、お2人だけでも全く異なる介入の仕方になっていました。

石井さん曰く、「分類図ではどちらも"ガードレール系"となりますが、このように全く同じ状況とは限らない。分類のその先があるんです。分類図は、分からないものを分かるために作ってるとも言えます。」とのこと。

石井さんは一時期マスクも撮影していたが、自然と撮らなくなっていったそう

そろそろ終わりが見えてきた16時半過ぎ。到着した七福神巡り五か所目は、茶ノ木神社に祀られている"布袋尊"防災・生産の 神様として信仰を集めています。

グローブは片手袋なのか?今回は、ノーカンで

もう手袋は無いかな~、なんて思っているところに現れたのは「グローブ」。これまた判断に困る案件だ……。

石井さん曰く「"実用型片手袋"と言えなくもないのですが、グローブを手袋と呼ぶかというと、感覚としてちょっと違いますよね。今回はノーカウントにしましょう! 」とのこと。残念!

七福神巡り六か所目は、松島神社に祀られている"大国神"豊穣の神、大黒様として親しまれています。

4枚ととるか、7枚ととるかはあなた次第です!

みっっっちり2時間、片手袋を探して、お参りして、また片手袋を探して。

ちょうど17時、七福神巡り七か所目"弁財天"が祀られている宝生弁財天(水天宮境内)に到着です。芸事・学業・金運のご利益を求めて崇められています。

結果、石井さんのカウントで4枚の片手袋が見つかり終了となりました~! 参加された皆さまお疲れさまでした! ノーカウント分を入れると縁起良く7枚になるので、惜しいけどなんだかいい気分です(笑)

「片手袋は、人の生活や都市の流れで発生するものです。普段意識していなくても、片手袋を挟むことで人の姿が浮かんできます。最初にもお話しした通り、寒くなると遭遇率が段違い。また一緒に見つけに行こうじゃありませんか! 」

石井さんの締めのお言葉を聞いて、皆さま次の片手袋ツアーが待ち遠しくなったんじゃないでしょうか。

10・11月運行のマニアなツアー情報

↓10・11月運行のマニアなツアー情報をXにまとめています

撮影・執筆 田口めんたいこ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?