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夏の雷鳴

そんなこんなで米子の宿に辿り着き、例に漏れず酒と肴を求めてひとり歩く。程なくして良さげなお店を発見す。なんだかんだで今日という日はバアス・デイでもあるから、別に寂しくなんかないが(寂しくなんかない!)強気の注文を。"時価"のカードを捲る機は、正に熟れているというわけだ。

どて焼き(旨い)
お刺身(旨い)
お酒(旨い)

会計で思わず安堵の溜息が漏れたのは置いておくとして、外は雷が鳴り響いている。夏の、そう、夏の雷鳴である。ネクライトーキーというバンドの楽曲に、そんな名前のものがあった。〈ONE!〉なるアルバムに収録されているのだが、学生時代より、これを偶に思い出しては、偶に聴いたりしている。

アルバムの構成を大別すると、前半と後半とに分けることができるのだが、その後者の、なんとも言えない情感には毎度胸打たれる心地だ。人とはあまり"好き"を共有しない質であるから、オススメ・・・・は疎か、公言をすることすら無かったのだが。

そんなところ、ひょんなことからこの・・"好き"を同じくしている人間に出会って、陳腐な表現ではあろうが、なんだかとっても嬉しい気分になったものである。映画であったり本であったり、はたまた旅行なぞは、それ自体を好き(あくまで好き)であると自他ともに認めているぶん、クローズドである音楽の趣味が合っていた・・というのは、まあ嬉々に値するものなのだ。

そんな話は兎も角、雨が降り出したこともこの際は忘れようじゃないか。あくまで夕暮までは一一この日の天気は頗る宜しかった。因幡、伯耆の一宮なぞなぞ、何れも碧い空と快活な翠が、場の異界感を演出して。もう少し涼しいと思ってはいたがネ。

そう、朝方に電車で通り過ぎた駅の名に、印象的なものがあったから調べてみたのだが。何処か残念な気分になって、止せばよかったと思った。それだけ。

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