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君たちは一

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ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
《ポリュフェモスを嘲るオデュッセウス》 1829年

今月の〈観る会〉は『君たちはどう生きるか』を対象作品に選定。話題作だの賛否両論だの、そんなことは知ったあこっちゃナシということにして、毎度の通り気張らずに鑑賞しましょうね、と。会の発足より早九ヶ月、開催は十一度目を数えることもあってか、その辺のマインドセットというのだろうか一一は熟れてきたのかね。

そんなこんなで簡単にはなってしまうけれど、いつも通り感想は残しておかないと、というワケで。鑑賞に際して拘り等ございます御方々、以下内容に関してはお目通しご注意いただきたい。

(C)2023 Studio Ghibli

先ずは率直な感想、大変に楽しむことが出来た。もう手放しに褒め褒めします。こういう類の作品に目がないのが私なのであるが。とりわけファンタジーの重量、そして世界の拡張、そのベクトルについては好みが過ぎる。ジブリ"っぽく"ないというのは頷けるけれど、そんなことは上述通り知ったこっちゃあナイ。

時空を超越した世界観と現実世界の両立なんて垂涎もの。序盤、懸命に火中へ走っていた少年の、出会い、決断、そして別れ。万感じゃよ。私は基本的にイージーな鑑賞者だから、かの如き圧倒的画力と胸に迫る音色さえあってしまえば、困ったことに直ぐ心が震えちゃうのかも知れないけれどね。

映画を"観る"というのは面白いもので、夢、死後、過去、未来、空想、作品、未知、ifなどなど、様々な別世界に触れることができる。実際にこれまで多くに触れてきた。それでも今作の、いわば万物の"源"としての世界へ足を踏み入れるのは初めてで。象徴的世界とでも形容してみようか。何にしても魅力が有り余る。

そう、スタジオ或いは宮崎駿というコンテクストを排除してもなお、過去作のチラつく光景はどれも美しく。題名ではないが多かれ少なかれ、製作者側からの問いかけは受け取ったのであります。自らの選択くらいには、他でもない自らに対して責を負いたいものですこと。

寝ていたからこのくらいで。ああ、説教臭い映画で無かったの、地味に助かったり、ね。

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