GERA 真田小僧

GERAという配信アプリで
『まんじゅう大帝国の落語良いとこ1度はおいで』
という、落語の紹介や落研での思い出等々、僕らと落語周りの話を中心にする配信をやっています。

7月10日(金)更新分で真田小僧という噺についてお喋りしました。

以下、粗筋説明がてら実演したものです。音だとあんまり分からなかった、とか、たまたま今度5~6分で落語をやらないといけないんだよね!という人へ向けて。

↓↓


落語の方に出てくる子供というのは大概ズル賢いというか、あまり子供らしい子供は出て参りませんで

父「金坊、おい、なにやってんだお前は、え?子供がな、火鉢なんかいじくるんじゃねぇんだ。いいか、子供が火遊びするってぇとな、夜寝小便するってんだ、ダメだよ、そんなことしちゃ」

金坊「あ、お父っつぁん、あたいね、これ遊んでる訳じゃないんだ。今こうやってお湯沸かしてね、お父っつぁんにお茶いれてやろうと思ってね」

父「茶だ?いいよそんなことしなくたって、お父っつぁん飲みたくなったら手前で勝手にいれて飲むんだ。」

金坊「あ、そう。肩叩いてやろうか?」

父「いいよそんなことしなくて。なにもしなくていいから静かにしてろ」

金坊「そんなこと言わずに何かやらしとってくれよ、今日はなんだかお父っつぁんに親孝行したくってたまらない、そういう気分だな」

父「何を言ってやんだ。そうか、そんなに親孝行したいか?」

金坊「うん。したい」

父「そうか、じゃあお前表へ遊び行ってこい。お父っつぁんたまの休みでゆっくりしたいんだ。お前がいると騒がしくって休まらねぇからよ。行っといで」

金坊「あそう?じゃあ行ってくるけどさ、行ってくるから、おくれよ」

父「何をだよ」

金坊「お父っつぁん分かりそうなものじゃないか、子供が親にくれって頼んでんだよ?まさか首くれとは言わない」

父「当たり前だ、このやろう。全く、何か様子がおかしいと思ったら小遣い目当てだったんだな。やらないよ。」

金坊「そんなこと言わないで、おくれよ」

父「だめだ。」

金坊「そこをなんとか」

父「だめだ。」

金坊「どうしても?」

父「だめだぁ~」

金坊「んー、分かったよ。お父っつぁんがくれないなら、おっかさんに頼むもん。」

父「、、、バカだねお前は。いいか、おっかさんが持ってる銭ってのはな、俺のなんだよ。俺が外で稼いできたのを預けてんの。お前がいくら頼んだって俺が、金坊に小遣いやっちゃいけないぞって言えば済むんだよ。」

金坊「ふん。いいもん。お父っつぁんに言われてるからあげられないよって言われても、この間お父っつぁんの留守におっかさんが家に男の人を招き入れてたのお父っつぁんに言っちゃうよって言えば、あぁ金坊それだけは言わないでおくれってんできっとお小遣いをくれ、、あ」

父「あ、じゃないよ。何だ。何だその話は。言ってみろ」

金坊「いやいや言えない言えない。でもお小遣いをくれるなら分からない。」

父「また小遣いだよ全く。しょうがない、ほれ、十銭やるから、話してみな」

金坊「へへへ、ありがと。あのー、この間ね、お父っつぁんが横浜の方で仕事があるって留守にした時あるでしょ、あの日だよ、あの日。男の人がうちを訪ねて来てね、」

父「うん」

金坊「その人を見た途端におっかさんの顔がパァーっと明るくなって、まあ丁度良いところへ来てくれた、上がって頂戴、今うちのがいないんだよ、さあ、上がって上がってぇーってその人の腕を掴んで引っ張ってね」

父「上げたのかい?」

金坊「、、上げた。」

父「なんてこった。それで?」

金坊「うん、そしたらおっかさんがね、あら金坊、あんたに居られるとマズイから、ほら遊び行っといでってお小遣いくれたから遊び行っちゃった。」

父「このバカ。そういう時は家にいないとダメだろう」

金坊「大丈夫安心して、あたいもお父っつぁんの子供だよ。遊び行くフリしてぐるっと一周して帰ってきたの」

父「エライ、それで?」

金坊「そしたらな、遊び行くときはパァーっと開いてたはずの障子が、ピタッと閉まってんだよ。近づいて聞き耳を立てるとね、あぁそこそこ、気持ちいいって声が聞こえるんだよ。だから気になってあたいは障子に手をかけてね、」

父「うん。」

金坊「この障子を、、お父っつぁん開けたい?」

父「なんだよおい、開けろよ」

金坊「十銭はここまで」

父「このやろう切れ場こさえやがった。全く、ほら、もう十銭やるから話してみろ」

金坊「へへへ、ありがと。障子をちょっと開けて中見ようとした時にね、あたい近付きすぎちゃったんだ、ガタガタって音をたてちゃってね、するとおっかさんといた男の人がこっちをスッと見たから驚いた」

父「どうした」

金坊「知ってる人なんだよ」

父「誰だ!どこの野郎だ!」

金坊「、、、なんてことはないよ、横丁のアンマさんがおっかさんの肩揉んでたの。遊び行ってきまーす」

父「あ、まて金坊、ちょっと、、、え?横丁のアンマが肩揉んでた?じゃあいいじゃないか別に。なんてことない話に銭払っちゃったよ、あの野郎上手いことやりやがった、悔しいねぇ」

母「ただいまぁ」

父「おい、今までどこほっつき歩いてたんだよ」

母「何?何怒ってんの?」

父「そりゃ怒るよ。お前がいなかったせいで金坊に銭持ってかれちゃったんだよ」

母「おや、金坊がかい?盗んだの?」

父「いや、俺がやったんだよ」

母「じゃあいいじゃない」

父「良かねぇんだよ、話に上手いこと切れ場こさえて銭払わされたんだよ」

母「あらそう。あんたがそんな騙されちゃうなんて、よっぽど面白そうな話だったのね。どんな話だったの?」

父「お前聞きたいかい?」

母「そりゃ聞きたいわよ」

父「そうか、じゃあまず、十銭出しな」

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