GERA六尺棒

GERAという配信アプリで
『まんじゅう大帝国の落語良いとこ1度はおいで』
という、落語の紹介や落研での思い出等々、僕らと落語周りの話を中心にする配信をやっています。

6月19日(金)更新分で六尺棒という噺、この噺との思い出をお喋りしました。

以下、粗筋説明がてら実演したものです。音だとあんまり分からなかった、とか、たまたま今度5~6分で落語をやらないといけないんだよね!という人へ向けて。

↓↓


落語の方に出てくる若旦那というと親の脛っかじりの道楽者ばかりでございまして、


何度見ても良い家だねぇ。この家に生まれてホントに良かったとこうやって遊んで帰ってくる度に思うね。これでうるさいオヤジがいなければ最高なんだけどね。まあでもオヤジがああやって一生懸命働くから私はこうやって遊んで暮らせてるってやつだ。さあさあさあ、入って寝ましょ寝ましょ
(トントン)番頭さん?(トントン)番頭さん(トントン)番頭さん今帰ったよアタシだよ。(トントン)佐平さん?(トントン)佐平さん(トントン)てるどん?(トントン)金どん(トントン)定吉


どなたですかな、夜分遅くに戸をドンドンドンドンお叩きになるのは

オヤジだよ、一番悪いのが起きてるねぇ、、、すみません、おとっつぁん、アタシでございます。

いやー、申し訳ありませんなぁ、商人のうちは10時限り、また明朝お越し下さい。さようなら。

あらら、おとっつぁん、アタシですよ、あなたのせがれの孝太郎ですよ。

あぁ、孝太郎、、、のお友達のかた。あぁよく来てくれました、うちにも孝太郎というヤクザなせがれがおりましたが、これがお店のお金を使って遊び放題でございましてな、昼間親類が集まりましてこれを勘当ということに致しましたので、本人に会いましたらどうぞよろしくお伝え願います。はい。それでは。

ちょっとちょっと、困っちゃうな。おとっつぁん、そんな事言ってもアタシはここの一人息子ですよ。跡取りですよ?アタシがいなくなったらどうするんです?

そんな事は心配いらない。養子でも何でも貰ってちゃんとにしますから、何も心配いらねぇこのバカ、と、お伝え下さい。

そりゃないよ、おとっつぁん、アタシだって生まれてきたくてこの家に生まれてきたんじゃないないんだ。出来が良ければ入れましょう、出来が悪けりゃ放っぽり出しましょうなんて話は無いでしょう。

うるせぇ。他人事に言って聞かせりゃ良い気になりやがって、どうして少しも店の手伝いをしよう働こうという気にならないのだ。え?お隣の清六さんを見習え。朝から晩まで親父さんと一緒に働いてんだろう。この間なんか親父さんの具合が悪いってんで、お粥でもお持ちしましょうか、薬でもお持ちしましょう、腰が痛けりゃ擦りましょう。甲斐甲斐しく看病していた。ワシは脇で見ていて涙が出た。お前な、清六さんの爪の垢でも煎じて飲んだらどうだ。

また出た、何かあると清六さん清六さんだよ、あー、分かりました。おっ放り出されちゃアタシは生きていけませんからね、死んじゃいますよ。でもただ死にませんよ。この家なんか自分のものだと思うから良かった。人のものになるなら気にくわないね。火つけますよ。今日は風が強いからよく燃えますよ。さあ、つけますよ、ほら、ほら、

あのバカ、やりかねないな。この六尺棒でもって脛をパチンと殴ってやる。ホレッ

おっと、あぶないあぶない、逃げろ逃げろ。追って来てるな、あの天水桶の所へ隠れよう。よっと。お、来た来た来たビュン、わあ、オヤジは足腰丈夫だねぇ。あそこまで元気だと当分死なないね。オヤジはあっち行ったな、じゃあアタシは戻ってみようかしら、あらららら?店に着いちゃった。じゃあ、お先にすみません、と。

はあ、はぁ、あのやろうどこへ行きやがった。足が速いな、変な所だけ似やがって全く、よっ、あれ?しまってやんな。(トントン)おい、番頭さん?(トントン)番頭さんワシだ(トントン)佐平さん?(トントン)てるどん?(トントン)金どん(トントン)定吉

どなたですかな夜分遅くに戸をドンドンドンドンお叩きになるのは

あのやろう入ってやがんな

申し訳ありませんなぁ、商人のうちは10時限り、また明朝お越し下さい。さようなら。

何を言ってんだバカ野郎。お前のオヤジの孝衛門だ。

あー、孝衛門、、のお友達のかた。これはよくお訪ね下さいました。うちにも孝衛門というヤクザなオヤジがおりました。ところがこれが働きっぱなし、昼間親類が集まりましてこれを勘当

親を勘当するバカがどこにいる

うるせぇ。他人事に言って聞かせりゃ良い気になりやがって、少しは清六さんのオヤジ見習え。小遣いがないならあげよう、働きたくないなら休みなさい、吉原へ行くなら一緒に行きましょう。脇で見ていて涙が出た。

何を言っておる。ワシの真似をしよって。そんなに真似したかったらな、六尺棒持って追いかけてこい。

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