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ヒトへの期待は支配欲からうまれる。

記事の説明🦆

このページでは、生きやすさにつながった「気づき」について書いています。タイトルにはその気づき、Beforeには気づきを得る前に見えていた世界、Changeには気付きを得るきっかけとなった出来事、Afterには気づきを得た後に見え始めた世界について書いています。

Before  :ヒトへの期待は支配欲からうまれる


プロフィール 社会人時代③〜現在
わかり合いたかった。わかってほしかった。
ありのままを愛してほしかった。

これまで何度となく父には伝えてきた。けれど、何も伝わらなかった。

父は自分の行動によって傷ついた他人の感情を、軽視する特性があった。

ある時、いつものように私の過去を父から咎められた。理不尽な言葉に私は我慢できず、感情に身を委ねて、これまで以上に自分の思いをぶつけた。

ここまで感情をぶつけたことがなかったため、もしかすると、理解してもらえるかもしれない。そう期待した。

けれど、何も伝わらなかった。父は激昂し、私を蔑んだ。

私は、頭の中が張り裂けそうになった。これまでやってきたことを考えれば、わかるはずでしょ?そう望んでも、何一つ伝わらなかった。

「縁を切る!」とお決まりのメッセージが届き、直後に怒り狂った父からの着信が繰り返し鳴り響いた。

心臓は小刻みに震え、それに連動するように全身も震えた。ぬぐってもぬぐっても涙が止まらなかった。

数日経っても気持ちは晴れず、暗闇に心が引きずり込まれそうになった。

この苦しさ、怒り、悔しさ、理不尽さ、全てから開放されたい。私はまた自分を癒した。

Change  :ヒトへの期待は支配欲からうまれる


このどうしようもない気持ちを、抱え続けて生きるしかないかもしれない。そう諦めかけていた。

けれど、自分を癒していく内に変化を感じられるようになってきた。手放したくても手放せなかった感情が癒されている。そう実感した。

今の私なら父に冷静に伝えられる!
いい関係性を作れるかもしれない!

今度はあくまでも彼の立場に寄り添って、冷静に思いを伝えよう。

「ごめん」や「悪かった」という言葉が一言でも返ってくるかもしれない。私はまた期待した。

けれど、父から返ってきた言葉は「どれだけ金と時間をかけても、お前は殴らなければ何もできない」だった。

心がガタガタガタッと崩れ落ちていくのを感じた。(しかし、これまでのように心臓から全身にかけての震えはなく、右手が微かに震えるだけだった。)

友人やパートナーとやりとりする中で、ここまで何も伝わらない体験はなかった。

同じ人種、親子であったとしても、ここまで異なるのか。それを突きつけられたような気がした。

父には父の世界がある。ふと、それがよぎった。彼が生まれ持った肉体的特性、そして育った環境と社会的背景の中で、生き抜くために身につけた価値観。彼はそのシステムの中で生きている。

自分を保つために強固に作り上げたそのシステムが根底から崩れ去るような言葉を受け入れることは、一時的であったとしても苦しみを伴う。

「ごめん」や「悪かった」と父に期待し失望することは、私が望んでいる行動を父に強いる支配欲から来るものだ。

それは、これまで父が私に強いきてきた私を思い通りにコントロールしようとする行動と何一つ変わらないじゃないか。

父には父の世界があり、手放したくない価値観がある。私はハッとした。

After  :ヒトへの期待は支配欲からうまれる


それから数ヶ月が経って、何事もなかったかのように父から連絡があった。

最初は親戚の近況から始まり、最後は年老いた自分を放っておく私を揶揄する言葉で締めくくられていた。

私はどうしたい?

父がこれからも私を責め立て、コントロールしようとするのなら関係を続けられない。

彼に合わせて自分を押し殺す生き方は充分体験した。もう同じ体験はしたくない。

私は自分の心に従って生きる。そうしなければ、私はきっと父を恨みながら生きることになる。そんな生き方はしたくない!

でも、最後にもう一度試したい。私はそう思った。

以前のように感情をぶつけたり、彼の立場に寄り添うだけでなく、もっと丁寧に説明しよう。そうしないと父には伝わらない。

なぜ私が父と距離をおいているか。父が愛だと主張し押し付けてきたものが、父が望む行動をした時にだけ注がれる、条件付きの愛のまがいものだったこと。

そして、父が教育と称してきたものは、成長をする上で必ず必要な『失敗』という貴重な経験を許さず、暴言や暴力などの恐怖で思い通りに動くマリオネットを作るものだったこと。

これまで私を縛り付けてきた、いくつもの呪いを解く言葉を、父に淡々と伝えた。どんな言葉が返ってきてもいい。期待は消え、その覚悟だけがあった。

「もう連絡してくるな」私を揶揄する言葉の最後にそう付け加えられていた。父は自分の心を守ることで精一杯のように見えた。

ズンと心臓のあたりに一瞬重みを感じた。けれど、これまでのような体の震えはなく、とても冷静な自分がいた。

ようやく、ここまで来た。
怒り狂った父から何度もかかってきていた電話は一度も鳴ることなく、やりとりが終わった。

できることはやった。やりきった。そう思った。

* * *

今では、父との過去の記憶が頭の中で何度もリフレインされることも、夢の中で苦しむこともなくなった。

時々、心の奥底から癒しきれていなかった残り香のような感情がフッとよぎることはある。

けれど、それはこれまでとは比べほどにならないほど微かで、その感覚をすぐに癒すことができる確信もある。

父の中には、かけ離れた二つの人格が共存しているように見えた。悪魔に操られているのではないか?と思うことさえあった。

けれど、その深い部分には純粋で暖かい何かが輝くのも同時に感じた。

だからこそ、心底嫌いになれず苦しかった。

今、父が生きる世界は私には合わない。けれど、父が選ぶその世界も尊重したい。

それぞれが選んだ世界を生きるこの距離間が、私には心地いい。これでいいんだ。そう感じられるようになった。

このエピソードで活用した感情の癒しかたは、こちら🌱

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