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令和6年度税制改正大綱に関する研修受講直後の感想

 講師の博識には舌を巻く。2時間みっちり、淀みなく丁寧に、こんな複雑なことを解説してくれるとは。
 この税制改正大綱を作り上げた官僚の能力にも畏敬の念を抱く。よくもまあここまで…。

 しかしだな…。
 凡庸な人間である私は受講途中で疲れ果ててふらふらしてきた。
 受講記録を書き起こそうにも、これはもう…。
 各事業場の総務、給与計算担当者は、今年を無事に乗り切れるのだろうかと思えてくる。いや、私がそう思うだけで皆さん優秀で乗り切れるのかとは思うが。
 企業・事業場よりももっと大変なのは市区町村役場の住民税担当者らしいが。
 もう、国会を通過して決定事項になったのだろうか?今まだ審議されているのだろうか?
 通常は、決定事項は翌年の所得税に反映されるものらしいが今年の場合は異例中の異例だという。今国会で審議されているのは令和6年・当年の所得税減税であり、今年の6月から実施されるのだという。
 「減税してやると言っているだろう、文句を言うな」と言われてしまうだろうか?いやいやしかし、給与計算実務担当者からすれば、わざわざミスを誘われるような、陥れられるような恐怖を感じはしないだろうか。6月の給与計算から始まり12月のの年末調整まで。6月といえば労働保険年度更新及び社会保険の定時決定・算定基礎届の時期で、定額減税のことがなくても超繁忙期なのだが。

 令和6年6月1日以後の給与・賞与計算において、主たる給与の支払者は、源泉徴収税額から定額減税特別控除額を引いて給与支給することになる。特別控除額は、本人分3万円+同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円となるので、まずは各人別に控除額を算出する必要がある。そして算出した控除額を、令和6年6月1日以後に支払う給与賞与に係る源泉徴収税額から引くことになる。しかしながら、控除額の方が源泉徴収税額よりも多かった場合、その引ききれなかった額を還付支給するわけではなく、引ききれなかった額は夏期賞与や7月以降に支給される給与の源泉徴収税額から引いていくらしい。何月の給与賞与で引き切れるかは人それぞれということだそうだ。
 そして、これは6月1日在籍者が対象であり、6月2日以後に雇用された者については給与賞与支給の際の控除は一切行わず、年末調整時に控除するという。
 まだここで、講義レジュメの7ページ目だ。レジュメは残り30ページもある。勘弁してくれ…。しかし講師はこの複雑怪奇な制度の説明をすらすらと澱みなく、若干のユーモアすらまじえながら進めていく。すごい。同じ人間という姿形ではあっても、私は多分この人とは別種族だ…。私はアホの子だ。このあたりから、レジュメのページに、?をマルで囲んだ印が付き始める。わかんないよう…とか、難しいよう…という意味だ。独身者が多くて従業員数の少ない・入退社の出入りの少ない事業所なら大丈夫かな。
 今回の定額減税については、本人分3万円+同一生計配偶者・扶養親族(国内居住者に限定される)1人につき3万円を加算した金額(但し、その本人の所得税額が上限)な訳だけど、いろいろ条件があって、源泉徴収の際の「扶養親族等の数」とイコールになる人もいれば、イコールにならない人もいるらしい。要件を細かくみていかねばならない。


レジュメ、詳しい。ありがたい。6月1日以後に状況が変われば、いちいち変更しないで年末調整で精算、それでもなお精算が必要なら各自確定申告で行うわけか。退職所得は確定申告で精算できるのだな。
児童手当の制度が変わって、所得制限が撤廃されて高校卒業まで延長されたこととの整合性は今後どうなるのかとか、とても詳しい。年末調整を業として行えるのは税理士だから、そして私は税理士じゃないから、今日全部理解できなくても何回も読んでどういうことかつかんでいけばいいか…(若干あきらめモードが入り始める)。

実際には、給与計算ソフトで計算するだろうし、給与計算ソフトは定額減税に対応するように調整されるだろう。
しかし。
「各人別の控除額」は、主たる給与の支払者が算出しなければならず、ここはどうしても給与計算ソフトにお任せとはいかない部分であるとのこと。
6月1日以後の給与・賞与支給時・年末調整時・確定申告で減税しきれなかった部分は、住民税所得割から控除となり、それでも減税しきれなかったら地方自治体から調整給付…ということ…?
受講して良かった。レジュメと資料を読み込もう。
それにしても…。

「働き方改革」
「生産性の向上」
時間外労働の上限規制というけれど…。
総務・給与計算担当者、地方自治体の税務担当者の苦悩は…。
不幸中の幸いは、6月に祝祭日がないことかもしれない。祝祭日があると、給与計算の納品日が恐ろしいことになるから。今年の6月、臨時の祝祭日が作られないことを祈る。




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