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おそらくあの頃僕はイップスになっていた。


高校一年生の夏。

県新人戦大会に第8シードで望んだ。

その数日前のミーティングで監督の司さんにこう言われた。

お前は、

「硝子のシード」

だと。

事実、その当時、僕の左手はバックハンド(ストローク)が打てない状態だったので、対戦相手の諏訪くん(レフティ)をドローで見た時は、「これは。。」と思ったよね。

まだそのころは、その試合さえ突破できれば、そのあとはなんとかなるだろ的な不透明な自身があった。

だけど、蓋を開けてみると、スコア3-6敗退。

完全に僕のバックハンドをつけ込まれましたね。

それからというもの、その年の夏の試合、*関東Jr。*関東Jr.は年に一回の選抜されたメンバーだけが出れる大一番。

試合ギリギリまで、そのころコーチだった杉山さん(杉山愛選手のお母さん)がなんとか自分のバックハンドをどうにかしようとアドバイスをくれた。

ただ、それが実るどころか、試合に望んで打った最初のバックハンドは自分のコートにバウンドしてしまうほど、悪化してしまっていた。

今思えばこれは、完全に精神的なものが原因なので、どうすることもできなかったなと。

それからというもの、これまで培ってきたテニスに対する自信は、自分の中からなくなってしまった。

そのあと、高校2年生になり、なんとか左手の感覚は戻ってきたが、テニスで一番大事だと自負できる「心」は完全に病んでしまっていた。

もう、堂々とプレイできる「心」は、思い出せないくらいに、どこかに影を潜めてしまった。

というより、本当に「心」が無くなってしまったような感覚を今でも覚えている。

しつこいけど、テニスは「心」で戦うスポーツと言えると思う。

負けん気という言葉が一番似合わないタイプの自分には、この「心」は表すなら線香花火みたいな灯火程度。

誰しもが試合では、勝ちたいと思うと思う。

でも、その頃の自分は、そのレベルには到底遠いところにいた。

いかに自分を保てるか、いかにして自分のプレーをすることができるか。いや、そもそも自分のプレイスタイルってなに?

もうそんなことを考えてるうちに、いつも試合は終わる。

内容は覚えていない。ただ感じるのは、恥の念。

もうテニスは大っ嫌いだった。

正直なところ、スコアが負けそうになると、正気を取り戻したかのように「心」が起きる。

最後の悪あがきというのか、てことで機械的になので、本質的な「心」とは違う。

だから、遅い。結果、負ける。

そんなことが当たり前になっちゃって、もういくらハードなトレーニングをしても、練習を積んでも「心」は別で、そのままで、また次の試合で、何も改善されていないことを気づくだけ。

そして、3年最後の代、最後の試合、県大会。

その試合の前の部内戦では、もう崖っぷちでやるしかないと思考もスッキリしていて、同時に身体も硬直していなかった。

試合でも、産な新鮮な、自分をコート上で感じることができて、なんとかメンバーを勝ち取ることができた。

そして、望んだのがラストマッチ、県大会。

結果は、スコア0-6

出だしのポイントでパッシングショットを決めたところまで覚えてる。

そこからあとは、何も覚えていない。

シングルスに関しては、もう終わってしまったけど、ダブルスはそれでもBest8に残ることができた。

そのあとの試合では、パートナーと折が合わず負けてしまって、望んだのがインターハイ最後の枠をかけた一試合。

もう、多くは語りたくないです。

なんの為にテニスをしているんだろう。

テニスというスポーツにのめり込めない。

自分に才能はあるのはわかってる。

「宝の持ち腐れ」

と言われてきて、中学3年生の時には、県で優勝し、そのまま全国中学生大会にもでた。

ただ、過去は過去であって、自分を守ってくれることはないし、過去の栄光とレッテルを貼られてしまう始末。

今、大学3年になって、語学留学でカナダのバンクーバーにきております。

5ヶ月が経ち、自分の弱さ、小ささを再確認しつつも、前進してる自分もいるような気がする。

事実、こっちにきてテニスをしています。

しすぎて、楽しくなって、今になってようやく中学生時代のようなショット、気持ちの感覚が戻ってきてます。

当時はただ、向上心に満ち溢れていて、テニス関連の雑誌は本が千切れるくらいに、誰にも負けないくらい夢中にコマ送りの写真を見ては真似ていた。

なんか着地点はわかんなくなっちゃったので、まとめるけど、

ようやく人間の「心」を取り戻せたわけではないけど、「人」になってきてるような気分です。

今が変わり目。

やれないことはないので、人より強くなって帰ります。

読み返すと辛くなるし、嘘つきそうだったので、想ってたことをそのまま表に出してあるだけです。



















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