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”強者のサッカー”への一歩目【サッカー日本代表×ウルグアイ代表】

3月24日(金)国立競技場。
カタールワールドカップで旋風を巻き起こした森保JAPANの第2章が始まった。

カタールワールドカップのメンバーをベースとしつつ、ワールドカップ招集外の選手を11名招集。特にディフェンスラインにニューフェイスを複数呼び、3年後を見据えたメンバーでウルグアイ代表を迎え撃った。

2026年ワールドカップへの第一歩となった初戦のフォーメーションはお馴染みの4-2-3-1。

GKはシュミット・ダニエル。
4バックは左から伊藤洋輝・瀬古歩夢・板倉滉・菅原由勢。
2ボランチには遠藤航・守田英正。
2列目に左から三苫薫・鎌田大地・堂安律。
1トップに浅野拓磨という布陣。

菅原由勢という可能性

開始直後から1つの変化が見て取れた。ビルドアップ時の両サイドバックの位置取りだ。両ウイングの三苫・堂安がライン際まで幅を取ると、その内側のスペースにサイドバックがポジションを移し、中央の人数を厚くするというもの。
ボールサイドに人を増やして前進する狙いがあったと思うのだが、今回に関しては正直あまり機能していなかった。

センターバックがボールを持った際に中央へのパスコースを切られると、日本代表の最大のストロングである両ウイングが低い位置までボールを迎えに行ってしまう形になっていた。そこからワンツーなどで前を向ければいいが、ウルグアイもそこは警戒しサイドバックがびっちりと付いて行くことでそれを防ぐ。
結局ズルズルとバックパスでゴールキーパーまでボールが下がり、逆サイドの迂回経路を作れていないということもあり結果ロングボールという展開が多かった様に見えた。

しかし、ワールドカップ終了後にスタッフ・選手が口にした「主導権を握って勝つサッカー」を目指すには間違いなく必要な挑戦だ。
特に右サイドの菅原には期待が膨らんだ。中央でボールを捌く器用さとアジリティ、前が空けばドリブルで運ぶ推進力を兼ね備えており、右サイドを日本代表の新たな武器に成長させる能力を有している。

イングランドでスーパースターとなった三苫薫が陣取る左サイドにより良い形でボールを運ぶためにも、右サイドのゲームメイクが実現すれば大きなアドバンテージとなる。


三苫薫をどう活かすか

逆に左サイドのテーマは至ってシンプル。いかに三苫薫に良い形でボールを預けるか。

今回のウルグアイ戦でも相手に徹底的に警戒されており、下がりながらボールを受けると右サイドバックが必ず三苫に張り付きに行っていた。
試合後のインタビューで本人が言っていたように、前向きでボールを受けられたのはカウンターのシーンのみだった。

単純だが、まずは中央を経由する事が重要。
ウルグアイ戦のように後方から迂回すると、相手のマークのスライドが間に合い詰まってしまう。あくまでも三苫を活かす事だけを考えれば、状況に応じたポジショニングからの正確なパスが得意な田中碧をボランチかトップ下で起用するか、上田綺世・町野修斗のようなサイズのあるフォワードにポストプレーを徹底させるのがベターか。あとは左サイドバックにオフェンシブなプレイヤーを置き、三苫の為に攻撃的なサポートを繰り返す縦関係も見てみたい。
あるいは3-4-2-1の左シャドーに三苫を置く形。ブライトンでのプレーでライン間の動きも秀でている事は証明済みであるし、より高い位置で左のスペースを使い易くなる。

システムや他の起用選手を大きく変更するのは少々行き過ぎかもしれないが、三苫薫とはそれくらいの価値がある選手であるという事だ。

フォワードの人選

そして、長らく日本代表のテーマとなっている、絶対的フォワードの不在。
この論争は中盤やウイングに優秀な選手が溢れ返っている日本代表において近年より強調されるようになっているが、1トップを採用するならばスペシャルな才能を持つ2列目との相性を一番に考えるのは一つの正解だといえる。

ウルグアイ戦の2列目、三苫・鎌田・堂安の所属クラブを例に出すと、ブライトンにはエヴァン・ファーガソンとダニー・ウェルベック。フランクフルトにはコロ・ムアニ。フライブルクにはミヒャエル・グレゴリッツといった大型のポストプレイヤーがいる。縦パスやロングボールを収め、味方を前方向に攻撃させるのが得意なプレーヤー達だ。

逆に日本代表のフォワードは最終ラインとの駆け引きにストロングポイントを持つタイプが多く、ウルグアイ戦でも浅野のポストプレーからチャンスクリエイトした回数は決して多くなかった。
後半に上田が投入されてから、そういった形でチャンスが生まれ始めた事を踏まえれば、溜めを作る・落とすというタスクに限って言えば上田綺世が最有力だろう。Jリーグでのパフォーマンスを見ていると、町野修斗にも期待がかかる。

別の方法としては、久保建英の0トップ起用。
前線までなかなかボールを運べない時に久保がライン間に降りてゲームメイクに参加したり、三苫や堂安、伊東が引きつけたサイドバック裏のスペースを使うなど、オンザボールで出来るプレーが多い選手なだけに、攻撃の選択肢が増加しそう。久保が動けば動くほどバイタルエリアにスペースが生まれ、そこを他のアタッカーが使えるのも魅力だ。

もしくは、2トップという名目で久保をフリーマンとして扱う、所属しているレアル・ソシエダでの役割に近い形。遅攻の際の両サイドでの組み立ても久保が絡めば格段にクオリティが上がる。
停滞しがちな日本代表の攻撃にアクセントを加える役割を一手に担えるだけに自由に攻撃のタクトを振るってもらいたい。久保建英もまた、三苫薫同様そのくらいの期待を込めて良い存在だ。

※コロンビア戦個人的希望メンバー
FW 上田綺世 久保建英
MF 三苫薫 田中碧 遠藤航 伊東純也
DF バングーナガンデ佳史夫 伊藤洋輝 板倉洸 菅原由勢
GK シュミット・ダニエル


今回のウルグアイ戦を見て、日本代表の層の厚さを再確認した。欧州リーグを戦うレベルのプレイヤーがベンチに座っているし、招集外にも南野拓実、冨安健洋、旗手怜央、古橋享悟と、トッププレイヤーがまだまだ残っている。

遠藤航、伊東純也らの世代と東京五輪世代が共にワールドカップに臨むのは恐らくこれで最後。間違いなく史上最強の日本代表。

世界と対等に渡り合うサッカーを完成させ、2026年に世界を再び驚かせよう。

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