J1クラブ 生死を担う夏の新戦力

 この1か月、フットボール好きの日本人の間では鎌田大地や上田綺世のステップアップ先が話題の中心になっていたが、Jリーグの移籍市場もなかなか活発になってきた。

 それはそうだ。後半戦に向けたチーム作りは間違いなく最終順位に大きな影響を及ぼし、新戦力と共に夏を戦い抜いたチームだけがシャーレを掲げる権利を得る。

 今回は、チームの生死にダイレクトに影響する事が予想される”J1新戦力”を個人的にピックアップしたい。


中島翔哉(浦和レッズ←アンタルヤスポル/トルコ)

 日本代表の元10番が遂にJリーグ復帰。家庭の事情や長期の怪我、給与未払いなどのトラブルに苦しんだ海外生活だったが、創造力溢れるドリブルは健在の筈。ファイナルサードでのクオリティが課題の浦和レッズにとっては、これ以上ない人材である。局面打開、得点と多くを求められる後半戦となるが、確かな数字を残し浦和の上位進出の立役者になれば、もう一度ブルーのユニフォームを纏うチャンスも訪れる。

ナム・テヒ(横浜F・マリノス←アル・ドゥハイル/カタール)

 こちらは韓国代表の元10番。11シーズン過ごしたカタール・スターズリーグでは公式戦で94得点をマークしたアジア最高レベルのアタッカーだ。盤石に見える今季のマリノスもチームのスタイルを考慮した際、ウイングポジションの層に不安を感じる。そこに国際経験豊富な得点を奪えるテクニシャンは打ってつけの戦力。彼がマリノスの火力を更に高める助っ人であれば、リーグ連覇の扉は大きく開かれる。

渡邉りょう(セレッソ大阪←藤枝MYFC)

 個人昇格組の最注目選手は彼だ。今季J2リーグ26試合13得点で日本人トップ。天性の身体能力、スピード感が武器のゴールゲッターは、J3から着実にステージを上げてきた。今季好調だった加藤の広島移籍に対し、すぐさまJ2No.1ストライカーに食指を伸ばしたC大阪の強化策は見事。レオセアラとのコンビで数字を残し、個人昇格組の活躍が光る近年のセレッソ大阪の良い流れに乗ることが出来るか。

森島司(名古屋グランパス←サンフレッチェ広島)

 高校卒業から6年半過ごしたサンフレッチェ広島の10番は、地元に近い名古屋への移籍を決断した。衝撃度ではこの夏1番の移籍だったといえる。マテウスの移籍により即戦力かつトップクラスのアタッカーの補強が急務だった名古屋にとっては申し分無いプレイヤー。マテウスのようなブラジル人らしい不条理さを持ったプレイヤーではないだけに、このテクニシャンが名古屋の縦に早いフットボールにどう融合するのか注目。

原大智(京都サンガFC←アラベス/スペイン)

 クロアチア、スペイン、ベルギーと渡り歩いたハイタワーは強さを身に着けて国内に復帰。シント=トロイデンでは191㎝の高さと、しなやかな技術でポストプレイヤーとしての才能が開花。FWの序列が固定化されていない京都サンガで原がポジションを確立すれば、豊川や木下のポテンシャルも更に発揮される。京都の課題とも言える得点力を解決するキーマンになれるか。

ディサロ燦シルヴァーノ(湘南ベルマーレ←清水エスパルス)

 前任の穴をどのくらい埋められるか、という評価基準を最も設けられるのは彼かも知れない。ここまで9得点と湘南の攻撃を牽引していた町野修斗がドイツへ移籍した為だ。オールマイティな町野に比べ、よりボックス内のプレーに特徴を持つディサロの「得点」にかかる期待は大きい。2020年のJ2リーグで18点を奪ったシーズンの2トップの相棒はその町野修斗。旧友のクラブの救世主となりたい。

須貝英大(鹿島アントラーズ←ヴァンフォーレ甲府)

 こちらも常本佳吾のスイス移籍に伴った補強。当面は広瀬陸斗とのポジション争いとなるが、鹿島のスタイルを考えるとサイドバックの競争力が上がる事は、チーム力の強化にダイレクトに繋がる。41試合出場とフル稼働した昨シーズンはサイドバックながらリーグ戦5得点。元来強度の高いDFと成長中の攻撃性能で、”伝統の鹿島右サイドバック”の歴史に名を刻む。

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