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思い出の牛肉玉子飯

 みなさんは、雀荘飯といえば何を想像するだろうか。打ちながらでも食べやすいカレー?なぜか無性に食べたくなる焼きそば?あるいはゲンを担いでカツ丼?人によりいろいろあるだろう。僕たちの仲間内のセットでは不動の人気ナンバーワンメニューがあった。それが今回の記事の主役、牛肉玉子飯である。本稿では牛肉玉子飯との出会いと別れ、そしてそのレシピを紹介しよう。

 セットというと最近はもっぱらサンマ、それも東天紅を打つことが多い。東天紅は一局清算の関東式サンマで、学生の時に先輩から教わって一時期かなりハマっていた。社会人になってから、もう一度東天紅がやりたくなり、天鳳のSNSで「東天紅友の会」というコミュニティを立ち上げてメンバーを集めた。東天紅は天鳳勢にも好評で定期的に大阪でセットが開催されるようになった。

 しかし、である。まぁよくある話なのだが「この方が絶対面白い」とアリスや焼き鳥が導入されて、よりルールは過激になり、次第にライト勢は淘汰され鳳凰民だけが生き残り、サンマ天鳳位がレギュラー参加する状態になった。もはや「東天紅は闇のゲーム」と鳳東民からも忌避される有様である。少数の固定面子でセットするようになるとマナーもくだけたものになり、「強打しても騒いでも怒られない」というふざけた理由で元町の場末雀荘でセットをするようになった。僕たちはそこで引きヅモ・煽り・三味線なんでもアリアリの東天紅をバカみたいに打ち続けた。

 ある日のこと。いつものように東天紅を打っていて昼時になり出前を頼もうとすると、中華のメニュー表があることに気づいた。雀荘の近くには有名な南京町の中華街があり、なかなか本格的な料理が揃っている。たまには中華もいいなとメニュー表を見ていると、雀荘のマスターが「これうまいよ、どう?」とオススメしてくれた一品があった。それが牛肉玉子飯である。

牡丹園の牛肉玉子飯

 やがて届いたのがこの一皿。見た目はほとんど他人丼(関東では開化丼?)という感じ。ところが食べると全然違う!ふわトロの玉子に牛肉の力強い味わい。和風の丼にはないコクのあるうまさ。レンゲを持つ手が止まらない。あっという間に皆平らげてしまった。「うますぎるやろ・・・」

 それからというものの、出前は常にこの牛肉玉子飯を頼むようになった。セット仲間の一人、たまねぎ雀士は「牛肉玉子飯」というIDを作り天鳳を打ち始めるという惚れ込みようである。いくらなんでも好きすぎだろ。

 たまに牛肉の代わりに海老を使った海老玉子飯や、牛あんかけ飯を頼んでみたが、牛肉玉子飯の人気ナンバーワンの座が揺るぐことはなかった。かくして牛肉玉子飯は、東天カーのソウルフードとなったのだった。

 しかし、幸せとは長く続かないものである。なんと牛肉玉子飯を看板メニューとしていた牡丹園が閉店してしまったのである。東天カーたちは悲しみに暮れた。なんとかしてもう一度、牛肉玉子飯を食べることはできないか。そして俺は立ち上がった。もう自分で作るしかないだろう、と。

 牛肉玉子飯の味付けは、他人丼のような甘塩っぱい優しい感じではない。中華の牛肉料理、青椒肉絲を参考にしてオイスターソースをベースにして作ってみた。

試作1号機

 早速おーくりーとたまねぎに食べてもらう。しかし反応はいまひとつ芳しくない。

 おーくりー「これはこれでうまいけど、ちょっと違うねんなー」
 たまねぎ「なんかこう、(本家は)ガツンとくる感じがあったんだよ」

 ガツンとくる感じ――― 色々考えたが思い当たるのは一つしかない。アレを使うしかないか。旨味調味料を・・・ 自分で作る料理に旨味調味料は入れない主義だけど、使わずに再現は無理だと判断。100均で味の素を購入して試作を重ね、ついに再現率90%までたどり着いた。

再現された牛肉玉子飯

 おーくりーとたまねぎ雀士からも「うめえw」「再現率高すぎわろすww」と合格点をいただいた。しかし再現は果たしたものの、その後僕が転職して関東に引っ越ししてしまったため、東天カーは再び「牛肉玉子飯ロス」に陥ることになってしまったのであった。

 そこで、今回は記事の最後に牛肉玉子飯のレシピを紹介する。簡単でヤバいくらい美味しく中毒性があるので興味のある人はぜひ作ってほしい。

■材料(1人前)
ご飯 ・・・・ 茶碗1杯分
卵 ・・・・ 2個
牛肉スライス ・・・・・ 50g~70g程度
青ネギ ・・・・ 1本分程度
(A)牛肉の下味
 醤油、コショウ、ゴマ油
(B)合わせ調味料
 醤油 ・・・・ 大さじ1
 水 ・・・・ 小さじ2
 酒 ・・・・ 小さじ1
 オイスターソース ・・・・ 小さじ1
 旨味調味料 ・・・・ 少々(※鶏ガラスープの素での代用はオススメしない)

①青ネギは小口切りにする。

②卵をボウルに溶きほぐす。完全に一体化するまで念入りにほぐす人がいるけど、オムレツとは違い白身の部分が多少残っているくらいで良い。①のネギもボウルに入れておく。

卵は溶きすぎない

➂牛肉に(A)の材料で下味をつけておく。牛肉は海外の安いもので充分。ゴマ油は隠し味なので少量で良いです。

⓸合わせ調味料(B)の材料をボウルに合わせておく。

合わせ調味料に砂糖は入れないのが特徴

⓹フライパン(または中華鍋)を熱して、サラダ油少々を引き、➂の牛肉を並べる。鍋をゆすったり肉をかき混ぜたりする必要はない。必要以上にいじっても肉がちぎれるし、香ばしさが出ないし、良い事は何もない。動かさず焼き目をつけるくらいのイメージ。片面が焼けたらひっくり返し、だいたい火が通ったくらいで合わせ調味料(B)を加える。

⑥まだ少し水分が残っている状態で、➂の卵のボウルに牛肉を汁ごと入れる。

⑦牛肉を炒めたフライパン(または中華鍋)は一度きれいに洗って再び温め、サラダ油を1人前あたり大さじ1(※卵を炒める油の量はけっこう重要)入れる。油が熱くなった状態で⑥のボウルの卵を入れる。卵を入れたときに音がしないようでは油の温度が低い。

⑧卵を流し入れたら慌ててかき混ぜず、一呼吸おいてからヘラかお玉で大きくゆっくりとかき混ぜる。半熟になったら火から外し、ご飯の上にすべらせて完成。あまりガチャガチャ激しく混ぜると炒り卵のようになって口あたりの悪いものになるので慌てないことが肝心。これはカニ玉を作る時のコツと同じです。

牛肉は70g使用。もっと少なくても良かったかも。

 大盛は試していないが、全ての材料を1.5倍にすればいけるはず。好みでネギの代わりにグリーンピースでもいいかな。麻雀狂いを虜にした牛肉玉子飯。abantesは嫁さんに作ってもらっているらしい。サンマ天鳳位になりたい人も、なりたくない人も一度お試しあれ。食べればハマることうけあい。

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