黒い服ばかり着ている。
黒いばかりではいられないので、白い服も少しある。
少し困ったかのような玉虫色のボトムスがある。

好きな色は黒か？と聞かれるとわからない。
わたしにとって黒は水みたいなものだ。水は色がついていないように、黒も色だと思っていない。自分の調子によって扱える量が変わり、多くとりすぎても良くないけれど、必要不可欠なものだと思っている。

どんな色が好き？と聞かれて、全身黒で固めているのに黒と頑なに言わないわたしを人は笑ったりする。「黒い色が好きだから黒い服ばかり着ているのでしょう？」。

一緒に暮らすペットを探していた。
ハリネズミがいいね、と話していたけれど、人懐っこいインコに、家族が一目惚れした。

インコの色を尋ねた。
黄色に赤い顔らしい。
黄緑だったらよかったのに、とわたしは言った。黄緑の鳥がかわいいと思ったから。
家族は、いいや、黄色もかわいいよ、と言う。

いま、その黄色いインコが家にいる。
黄色くて丸くなったり細長くなったり、羽ばたく生き物がいる。
うんちはやっぱりそこらへんにするし、鳥籠から出してもらうために一生懸命気をひこうと画策している。

手のひらで眠るインコ、うんちをするインコ、驚いて人の頭の上に着地するインコ、電話の声を自分に話しかけているんだと思って喋るインコ、うんちをするインコ、わたしの爪を噛むインコ。
事実を書いているだけで、うんちされても嫌じゃないよ。他のインコなら嫌かもだけど。

インコの黄色い色を見るとしあわせを感じる。
7〜8年生きるらしい。有名人のところの同じ品種のインコは20年生きているらしい。たくさん長生きしてほしい。


最初に黄緑じゃないと聞いてがっかりした自分を恥ずかしく思う。


いま、どんな色が好き？と聞かれたら、迷わず黄色と言う。

黒は生きるのに欠かせない水の色なら、黄色は生きる楽しさを教えてくれる彩りの色かもしれない。
小さくてあたたかくて少し湿りっけのあるインコの色。インコは外出には連れて行けないから、とびきり黄色のアイテムを買おう。