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「オールド(原題:OLD)」2021年 #映画3本目

3本目。「オールド(原題:OLD)」(2021年)

劇場公開中の映画。監督脚本は「シックス・センス」や「ヴィレッジ」などの代表作をもつ、M・ナイト・シャマラン氏です。
こちらは家族の誘いで劇場にて鑑賞しました。
ホラーやスリラーといったジャンルの映画を好む、実姉が誘ってくれたのですが、良い意味で予想を裏切ってくる作品でした。

【あらすじ】==========================

海辺のリゾート宿泊施設にやって来た家族一行。
ホテルの上質なおもてなしを受け、夫婦と11歳の娘と6歳の息子で楽しいバカンスを過ごしていた。
実は夫婦は離婚することを決めており、今回の旅行は家族の最後の思い出づくりであった。

ホテルより、特別なプライベートビーチへの招待を受け、
同様に招待を受けた2組の旅行客と共に件のビーチへ向かう。
そこは険しい岩肌に囲まれた静かな海岸で、家族は思い思いの時間を過ごす。

しかし、海岸に女性の死体が打ちあげられ、それをきっかけに事態は急変する。
死体発見をホテル及び警察に知らせようとビーチから移動しようとすると、ひどい頭痛に意識を失い、砂浜まで戻ってきてしまうことがわかった。
つまり、一行はビーチから出られなくなってしまったのである。

しかも、その後の様々な異常現象によって、このビーチでは身体の老いていくスピードが通常世界とは異なり、「一日で約50年、身体のみが老いていく」という事実が判明する。

異常な速度で身体だけが成長し、あっという間に大人になる子どもたち。
それに対し、徐々に身体が思うように動かなくなり、老いて記憶が少しずつ薄れていく大人たち。

ビーチから抜け出すことは可能なのか。

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というような物語となっています。

本記事の冒頭にこの映画の印象について「良い意味で予想を裏切ってくる作品」と表しました。

なぜこんな感想を抱いたのかと言うと、私はてっきりこの超自然的な舞台設定には具体的な理由などなく、人間の一生というものにスポットを当てた作品なのだと物語の終盤手前まで思っていたからです。

というのも、主人公の家族たちは何とかビーチから抜け出そうともがくのですが、物語の中盤あたりになると両親たちは老人になってしまいます。

すると、 " なぜ必死にこのビーチから出ようともがいていたのか ” すら二人は忘れてしまい、静かな海辺の波を眺めながら「良い場所じゃないか」と言うのです。

時間という一つの次元が異常があるビーチにおいても、主人公たちは人生を全うしている、とその台詞を聞いた時に感じました。
現実世界でも人間は様々な壁にぶち当たっては、「なんで自分がこんな目に?」と嘆いたり、「自分の身に起きていることには意味はあるのか?」と考えたりします。それと同じことを、物語冒頭では6歳だった少年がたった二日という時間の中で経験していきます。

両親たちが老いて死んでいくシーンでは、子供たちを残してなすすべなく死んでいく恐怖といったものは微塵もなく、穏やかでこれまでの思い出に浸りながら静かにその時を待つ様子が表現されていました。

人は生まれ育つ環境を選べない、自立したその先の居場所もきっと、完全に自分で選んだ環境ではなく、逆らえない数多の影響がきっとある。
しかし、この映画のように、

『人間はどんなに予想だにしない状況においても、その人生を全うする』

きっとそこにこの映画の伝えたいことが関係しているのではないかという感想を持ちました。

ですがこれは私の勝手な感想であって、実際の監督の意図とは全く違うかもしれません。
というのも、この映画の舞台設定にはちゃんとした意味があり、主人公たち家族がこのビーチに閉じ込められてしまったことも、ただの偶然による不幸ではなく理由があるからです。このどんでん返しは映画の終わり数分というところで明らかになります。

種明かしを受けた感想としては、

(人生の意味を問う系の映画かと思いきや、なるほど、ちゃんとした理由やカラクリがあった方がやっぱり受け入れやすいなぁ)

というところでした。

ビーチに閉じ込められた人たちの醜い争いや恐ろしい変貌など、ゾッとする演出も良かったですが、個人的には家族愛の映画という印象でした。

気になられた方は是非ご覧になってみてください。

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