人はしばしば、目の前のものばかりに注目してしまうが、背景の方に目を向けると、風景の見え方は変わってくる。

これは黄色いバラが、これでもかと咲き誇るので、それを見てしまった私は、撮影をしなければならなかった。日比谷公園の噴水もちょうど良いタイミングで高く上がっていて、そう、およそ平凡な撮影をした。なぜ平凡に私が思うかというと、綺麗なバラにピントを合わせるのは当たり前の話だから。これはこれで良いのだが、私はヘソ曲がり28年目すこしデベソ気味なので、後ろにもピントを合わせてみたいと思った。流れるようにデベソのカミングアウトをしてしまったが、ちょっと恥ずかしい、コンプレックス。

さて、そうすると、この日比谷公園という世界に私だけしか存在していないように思ったが、なんと6名の人が映っていた。やはりこの世界は誰のものでもない。そして主張の強い黄色いバラは、ボカしても存在は消えず、こうすることで、背景とバラはやっと平等に写っているように思う。

どこにピントを持ってくるかで見える風景は違ってくる。だから、もし、何かに夢中になっている時、ふと背景の方へと目を向けてみる。

私は、特別な人なんてこの世界に唯の一人もいないと思っているし、誰のことも普通だと思ってない。いや、みんな特別で、みんな普通だと思っている、とも言える。

すこしピントをずらすだけで、世界は一瞬にして変わる。