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新宿地下街化粧品売場

最近使っているローライ35は、新宿ラッキーカメラで偉そうに小さく佇んで居たものを買った。ローライ35は中古カメラ屋にはどこにでもあるイメージだが、ラッキーカメラでは私の買ったものたった一つしかなかった。少しだけ凹みがあり、露出計が壊れているところ以外は良好だったので、他のカメラを探して新宿を歩き回るのも嫌だったし、ここのものに決めた。ショーウィンドウからローライという名前を私に見せつけてくる生意気な感じもとても気に入った。ローライ35が欲しかったのはスティーブンショアが持っていたからだ。

ローライ35はレンズとファインダーに視差があるので、ファインダーを覗かずに撮っている。どうせズレるので、覗くのがめんどくさいのだ。それでその頃、中藤毅彦さんのstreet rambler が私の中で大流行していて、かなり影響を受けている。元東京都写真美術館、現TOPミュージアムでやっていた、東京・TOKYO 日本の新進作家 vol.13で見たのだった。前から小宮山書店などで中藤さんの写真を見たことはあったのだが、美術館の自動ドアをくぐり抜けてからのあの圧巻の東京の写真たちには衝撃を受けた。綺麗なプリントというのは反射的に分かるもので、涙が自然と出てくる。

と、いうことで、私もそれに影響を受けてrecord of tokyoという記録を始めたのだ。ただどんな風にやっていこうとかはその時全く分からなかったので、ストリートランブラー感、よしとりあえず闇雲に歩いて撮りまくれば良いのかな、と言った具合の最初のカラーネガ36枚撮りの中の1カット、それが新宿地下街化粧品売場である。このフィルム一本は、すべて地下街で撮り終えたのだった。これの気に入っている所は、化粧品とテレビ広告と女性が写っている所だ。新宿地下街の要素が凝縮されていてかなり好きである。

何をどうすれば良いのか分からなければ、インプットしてアウトプットするしか方法はない。それでも分からなければ量が足りないので、それを更に繰り返すほかない。今日も明日も明後日も繰り返すしかない。その中で撮った写真は、私自身が映し出されている。

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