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カーテン

毎日過ごす部屋の写真を、どういうわけか記録してしまう癖がある。これは、写真愛好家の方が陥りがちな癖であると思う。特にカーテンは興味深い被写体である。

光が射し込んできたり、風が吹いて思いもよらぬカーテンの動きなどを見ていると、その辺に転がっているカメラを手にし、撮影してしまう。この癖は昨日今日始まったわけでなく、なんと2011年の旅行でも私は撮影していたのである。

旅行に来たのだから、もっと撮るべきところというのはあるはずなのに、私の写真ときたら、どうしても室内の写真が紛れ込んでいる。これなんかは、旅館独特の部屋の作りに光が当たって、綺麗だった。友人が起きる前にはっと目覚めて、コソコソ撮影し二度寝をした。カーテンが光を柔らかくし、女二人のマイペースな旅の、象徴のような風景だと思う。

もしかしたらカーテンは、プライベートな室内と、パブリックな外側を区切る一種の境界で、それが揺れていたり、光が入ってきたりすると、曖昧な世界に自分がいるような気分になるのかもしれない。夢とも現実とも言えぬ空気を、写真に収めることができる。それを知ってしまうと味をしめて、何度も撮影する癖がついてしまうようだ。


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