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二眼レフは箱のようなカメラで、レンズは二つある。上のレンズはファインダーで、下のレンズでネガに感光させる。二眼レフはまるで人の目と心を表しているようだ。中身はフィルムだけ。あとは空洞になっていて意志はない。単純な構造で、このカメラは何十年前のものかよく知らないが、壊れず頑丈である。

私も箱のような女である。目と心で見て記憶し、それ以外は空っぽだ。意志などない。美しいものにすぐ感動し、自分の気に入らないことに腹を立て、それは一見複雑なようでただ自分の構造に従っているだけなので、本当に単純なつくりである。もう二十九歳になろうともする女であるが、これがなかなか健康に恵まれていて頑丈なのだ。

人もカメラも基本的には同じようなつくりである。そしてそれぞれに個体差はあるけれど、微々たるものだ。本当にその差というものの実体は、その箱で撮ったネガの内容や量である。箱は与えられたものだけで充分であるが、ネガは選べるし、ネガに写すものも選べる。そこではじめて違いが出る。写真には写すべきものとそうでないもの、ネガとポジ、光と影、どこまでいっても二元論である。

私の性格もオールオアナッシング、どこまでいっても二元論である。箱の構造に従うのみ、それを全うする他にすべきことはなし。

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