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左手にココアをもつ妹は、右に座らない。

2人の漫才師がステージに立つ。

そのとき、客席から見て、センターマイクを中心に右にツッコミ、左にボケとなるようで。

理由は単純だ。

日本人の多くが右利きで、ツッコミが相方の頭を叩くときには、右に相方がいるほうが自然と叩けるから。

だからこそ、右にツッコミ、左にボケなのだ。

ただ、これも決まったものではない。だから、頭を叩かずにツッコミをするスタイルの場合は、逆であることも多々。

そして、この「立ち位置」は何も漫才師に限ったことではない。

同級生と、兄と、嫁と、彼氏と、いっしょに歩くとき、なんとなく「こっち側だよね」という居心地の良い並びが、存在する。

決まって、私は右で、妹は左だった。

小学1年から中学3年までの9年間、私は妹と2人、毎朝7:40にそろって玄関をでていた。
合唱コン前の朝練など特別な場合を除いて、一緒に登校することは普通だったのだ。双子であったから。

私は右で、妹は左。

なぜか。

そんなことを6年越しのいま。カフェのカウンター席で、ココアラテを左手にもつ、隣の妹に聞いてみたら、ひとこと。

「そっちが言いだしたんじゃん。」と。

左の肩にバックをもつ妹と、右の肩にバッグをもつ私とが、歩くとき、左に私が居ては、バッグが互いを隔てて距離が遠くなるじゃないか。と小学1年の「私」が怒った、と。

それで怒る私も私だけれど。それを今の今まで守り続けた妹の律義さよ。

カウンター席でカップをもつ腕がぶつからない、この並びに感謝しつつ。

こんな可愛い妹を、最高の自慢を、誰かにきいて欲しくなった。