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D.I.Y.パブリッシングのススメ

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本作りの入り口(企画・編集・執筆)から出口(印刷・製本・販売)まで、そのすべての工程を工場や企業に頼らず、自分たちの手でやってしまおうという試みを京都に位置するhand saw … もっと読む
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2023年8月の記事一覧

第9話 調子悪くて、当たり前

 ボタンを押せば、印刷が始まる。印刷がスタートすれば、本なんてすぐに作れるさ……と安易に思っていました。でも、悲しいかな、自分の印刷機は、スタートボタンを押すと同時に、原因不明のエラーメッセージと共に「クーーン」と音を立てて止まってしまったのです。まだ、何も刷っちゃいないのに、まだ何も始まっちゃいないのに。 プロフェッショナルへ修理依頼  幾つかの機械を分解しては壊し、いじっては潰し、またさまざまな情報を手に入れた今となっては、「それ、別に大したエラーじゃないんだよ」と

第10話 人との出会いで進化する現実

 人との出会いに関しては、子供のころから特別恵まれているように思っています。フリーで編集者になったときも、レーベルを始めたときも、ベジ屋をオープンしたときも、スタジオをオープンしたときでさえも、とてつもなく優秀で面白い人間と知り合えたから始められたのであり、一人で自分はいったい何かできたのだろうか、といつも思ってるのです。そして、このリソグラフを手に入れて、印刷を始めようとしたときにも、それとは少しだけ違う、思わぬ出会いがあったのでした。 ブームの匂いのかけらもなかった10

第11話 インクに惑わされる日々

 前回、「次回・分解編!」と熱く書いたものの、よくよく考えたら、まだこの時期に分解とかしちゃいない。まだまだブラックボックスなこの機械に対して、どうやって向き合ったらいいのか、悩んでいるところだったのでした。A3での印刷の端っこが掠れてインクが出ない赤でも大丈夫。それくらい「2色で印刷できる!」というだけで興奮していたのです。フォークギターでの演奏でいえば、ようやく3コードを覚えられたくらいのもの。バーコードでいくらビビって音が出てなくとも、初めて自分でなにかできるような気が