コロコロ変わる名探偵(4本目)┃ショートショートnote杯

「名探偵です」
「よろしくお願いします」
「コロコロ変わる名探偵です」
「何それ」
「例えば巨石を運んだり」
「それコロ。巨石の下に丸太とか敷いて運びやすくするやつ」
「例えば暑い夏に食べたい冷たい麺類」
「それもコロ。名古屋地方で冷たいウドンをコロウドン、キシメンならコロキシとか言うけど。ローカル過ぎるわ」
「ボールを……」
「コロコロ、って舞台で玉を転がすな。ボーリング場かここ」
「こ、こ、コロ、コロンビア」
「今度は国名でちゃったよ。さっきから何やってんだよ。名探偵要素全然無いし」
「コロ、コロ、殺されたのは君ですね?」
「生きてるよ。漫才一緒にしてるでしょ」
「うむ、事件は迷宮入りだ」
「最初から何も起きてません! いい加減にしろ」
「「どうもありがとうございました」」

 しかし、彼等の前に観客はいない。

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