君に贈る火星の(2本目)┃ショートショートnote杯
「これは君に贈る火星の空気」
彼はそう言って袋を見せる。
「で、これは君に贈る火星の石」
今度は石ころ。
「へぇ。それで?」
私は、そう、私は挑発するように彼に言った。
「これならどうだ! 君に贈る火星の新聞!」
確かに日本語ではない新聞。
だけど……。
「ウラジオストクが火星にもあるのね」
「あ、ああ。そうだよ。米国が秘密で火星に基地を作ったんだよ。僕は火星に行ったから知ってるんだけどさ」
嘘吐きね。
ウラジオストクはロシアの町なのに。
「米国ね」
「し、信じてくれないのか