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つたわりますか

「ごめん、今んトコ、理解できなかった…(汗)」

遠慮なく言えるようになったのは、ここ数年のことです。

それまでは、相手の話を理解していなくても「わかったフリ」をして聞き流していました。

しかし、消化不良でいると、あとでもう一度訊かなければならないので
お互いに不幸だと気づいたからです。

ただ、話を遮るのは少々はばかられました。当初は、自分の理解力不足で話を止めるのは失礼かと思ったのですが、最近はむしろ「わかったフリ」の方が相手に失礼だと思うようになりました。

なので、ちょっとでもわからなくなったら「ごめん、よくわからないので、
もう一回言って」と言います。

ここまで、話を遮って怒った人はいません。相手も「説明が足らなかった」と認識するようで、わかりやすく言い換えてくれます。

実は、言い換えるって、自分の成長につながるトレーニングです。

これもこの数年で気づいたことです。

自分は、テレビ番組の企画を考えたり、台本を書いたりする放送作家という
仕事をしています。一般的に放送作家って何をする仕事なのか説明できる人は少ないと思います。

なので、人から訊かれたとき「言い換え」と「言い訳」を考える仕事と
答えます。ますますわかりづらいか。

放送作家の定義はどうでもいいのですが、「言い換え」はあなたの成長にもつながります。

たとえば、あなたが好きなことを相手に伝えようとするとき、あなたは自分の言葉で熱く話すと思います。

人は、見たり聴いたりした情報を理解するため、まず自分の中にあるイメージと結びつけようとします。自分の持ち駒の中で、何か近そうなものを倉庫から引っ張り出してきて、理解しようとします。

医療関係者と話していたときのことです。最近は、コロナ関連のニュースで必ずウィルスや感染症関係の有識者がコメントします。この1年で、有名になった人もいます。

自分は医療業界のことは門外漢なので「この先生は偉い人だ」と言われても、ピンとこないので「タレントに例えると誰?」と訊いてみます。

すると「この先生は医師の世界じゃ明石家さんまさんクラスですよ。」と言われ、なんとなくわかります。「じゃぁ、この人は?」「そうですねぇ、ドランクドラゴンの塚地さんかな… マルチに活躍して有名ですがMCまではいかないような…」「ふぅ~ん」 

たとえば「台灣のイチロー」といった表現で耳にしたことがあると思います。日本人には無名でも実は凄いという場合、凄さを伝えるためにイチローさんに例えるアレです。

広さを伝える時って、東京ドーム◯個分って聞くと、なんとなくピンときますよね。

相手に伝わりやすくするための「言い換え」は、あなたが一つでも多くの言葉を知っていると、伝わる可能性が高くなります。

言葉と多く知るためにはどうすればいいか? それは、普段から言い換えをすることです。

意味を変えずに、別のフレーズで言ってみます。これはあなたの表現力を広げるトレーニングになります。表現の幅とはこんな感じです。

なにかにつけて「やばい」で済ませる人がいます。いいことだろうと、わるいことだろうと、ちょっとでも感情が動いたら「やばい」です。(出川さんのことではありません)

確かに「やばい」は、使い勝手が良さそうです。とりあえず、やばいって言っておけば、どっちにもとれるので、言い訳もしやすそうです。

仲間内で「コレ、やばくない?」「やばいよね」「イエ~イ」ってハイタッチしておけば済みそうですが、なんでもかんでも「やばい」で済ませていると、ハイタッチが苦手な人からは「この人はボキャブラリーが貧弱」と思われかねません。

あなたの表現の守備範囲が狭くなり、伝える相手の範囲も狭くなっていきます。

こういうと、「やばい」を使う人が「やばい」ように思われてしまうかもしれませんが、実は学者や教授といった専門職の人たちもやばかったりします。

専門職の人は、あるジャンルに偏重しているがゆえ、普段から同じような言葉ばかり使っていて、外部の人にはつたわりにくくなっています。いわゆる「専門家の罠」にハマっているケースです。

なのでトレーニング。普段から「ちょっと言い換えてみる」を心がけると、あなたの表現の守備範囲もイチロー、まではいかなくとも、ベイスターズの桑原くらいまでいけるかも、、、逆にわかりづらいか。


スティーブ・ジョブズがこんな言葉を残しています。

「伝わらなければ、無いのと同じ」

あなたがせっかくいいことを伝えようとしても、相手が理解してくれなければ、言わないのと同じ。

まずは、今、すぐ目についたものを、言い換え。

今、自分の目の前にあるのは、デスクトップPCのモニターです。言い換えると…

テレビ番組が映らないテレビ
画が変わる額縁
光る部分と暗い部分で文字を浮かび上がらせる板


最低、3つ言い換えできると脳が動き出します。
そして、伝える相手のタイプを変えてみるのも、トレーニングになります。

子ども、大人、シニア

アジアの人、アメリカの人、ヨーロッパの人

現代の人、戦国時代の人、古代の人


縄文時代の人にスマホを伝えるのは、至難の業だな。


沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です