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つくれますか

「まん防あけたら行きましょう😅」


仕事の取引先との夜の会食は仕事の一部です。
同じ釜の飯を食うというと大げさかもしれません。
が、人間の根源的欲求を一緒に満たすということで連帯感が生まれやすくなります。

夜の会食が無くなったこの2年間で気づいたことの一つが距離感です。

リアルで会っていた人とすっかり会わなくなった一方オンラインでつながる人が急増しました。

会社では新入社員のリアル出社機会が少ないため、オンラインで顔や声を知っていても実際に対面したことないってザラです。

SNSで毎回「いいね」くれる人は、旧知の仲のように錯覚します。最近Twitterで「会ったことないけどとっくに会っている感覚のフォロワーさんたち」をメンションしたところ、お相手のみなさんも似たような感覚を抱いていることがわかり、ホッとしました。


ソーシャルディスタンス(社会距離)という言葉がすっかり一般化しました。

もともと人にはパーソナルスペースがあります。

相手との関係値で、これ以上入ってこられると不快感を覚えるという
半径があります。

ざっくりこんな感じ(個人差あります)

密接距離 0~45センチ 相手のささやく声が聞こえ、スキンシップもとれる家族やパートナーなど親しい関係値の人に許されたゾーン
個人距離 45センチ~1.2メートル 相手の表情を読み取れて、手を伸ばせば触れることができます。感情が動いたときには握手したり、肩を組んだりと、友人や親しい同僚の間でとられる間隔。
社会距離 1.2メートル~3.5メートル 仕事で接する人、同僚、上司、取引先。会議やミーティングなどビジネスの場でとられる、相手に失礼にならない間隔。
公衆距離 3.5メートル以上。講演会、スピーチなどライブイベントでの距離感。見知らぬ相手と取ることで不安を感じにくくなります。相手の顔や表情の詳細までは認知しにくいので、個人的なやりとりはできません。


仕事の世界で、初対面の相手のパーソナルスペースを判断するひとつの要素が名刺交換です。名刺交換の際、相手がどのくらいの距離感で来るかが指標になります。


距離感で有名な話があります。「ヤマアラシのジレンマ」

ヤマアラシは全身に針がついているネズミの仲間です。

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寒い日に、互いを温め合おうとぴったり身体を寄せ合うと
相手のトゲが自分の身体を刺して痛いので身体を離します。
すると寒くなるので、またくっつこうとすると痛い。
繰り返しているうちに、お互いを傷つけずに、温め合うことができる
ほどほどの間隔を見つけました。


人が抱く距離感には二種類あります。物理的距離感と心理的距離感です。

この2年であらためて気付かされたのは心理的距離感です。

自分の周りにいるメンバーがガラッと様変わりしました。

ほとんどはオンライン上での出来事です。

新たに知り合い易くなった一方で、リアルと違い、関係値の築き方も変わりました。

相手を「知っている」の定義の幅が広がりました。

SNSでは簡単に「友達」つながりになります。しかし、つながっていても相手のことをほとんど知らなかったり、知らぬ間につながっていて、つながっている事実さえ知らないってこともあるあるです。

人との適度な距離のとり方は、新しい時代の課題かもしれません。

「適度な距離」とは、自分にとって「心地良い距離」を指します。
しかし、自分が心地良くても相手にも心地良いかわかりません。およそ不一致でしょう。

このギャップ、ズレを上手に調整できることが、人付き合いのコツです。

自分が仲良くなりたいと思っていても、相手はそうでもなかった場合
いきなり個人距離ゾーンに入ろうとしようものなら…

人は、誰でも矛盾した2つの願望を抱いています。

「ひとりは寂しい」「そばに誰かいて欲しい」といった依存の気持ちと
「ひとりはお気楽」「他人は鬱陶しい」といった自立の気持ちです。

相容れない2つの願望を満たすには、相手と「適度な距離」を保たなければなりません。

ヤマアラシがやった身体を「寄せ合い」「離れる」の繰り返し作業です。

入社初日で辞める人がいます。潔い決断力とも取れますが、ゼロ(辞める)か百(続ける)のものさしだとチャンスを逃すかもしれません。

いまどき石の上に3年も我慢することもないですが、せめて3か月くらい、「近づいたり離れたり」をやってみる経験も成長につながるのでは?

最近はめっきり絶滅傾向にある社内飲み。いずれ復活するでしょうが、3回に1回くらいは参加すると、いい感じの距離感を作る練習になると思います。


沖縄出身のお笑い芸人さんが命名してくれたペンネーム/テレビ番組の企画構成5000本以上/日本脚本家連盟所属/あなたの経験・知見がパワーの源です