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記念すべき第1回Marching School トークイベントvol.1「尾坂流のお店づくり」

2020年10月に “ 鳥取駅前中心市街地の「新しい暮らし」と「新しい働き方」を実現すること “ を目的として設立されたMARCHING bldg.マーチングビル)。
その活動の一環として、鳥取の若手社会人が学んだり、新たな活動のスタートを支援する「オンラインプログラム」を8月に公開しました!

皆さんは最近ワクワクしていますか?Uターンって興味ありますか?
2021年8月25日記念すべき第1回「Marching School」トークイベントvol.1として、鳥取と東京の2拠点で活動し、ユニークかつコンセプチュアルなお店を経営する尾坂亮さんをゲストに実りあるお話を聞かせてもらいました。

Marching Schoolとは?

面白い人が集まる場所に面白い街がある、街も自分の人生も面白く

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緊張と楽しみの入り混じった面持ちの中、司会の丸毛さんのにこやかな挨拶の元、第1回目のマーチングスクールがはじまりました。

丸毛:これまで参加されてきた方は、いよいよ始まったという感じでしょうし今日初めて参加された方も沢山いらっしゃいますね。
マーチングスクールとは、簡単に説明すると、

鳥取の若手を中心に、
#仕事以外の場での学びや気づきを得る場  
#鳥取若手社会の繋がりを作る場 、として
「新しいことにチャレンジしたい!」
「新しい活動を始めてみたい!」
そういう活動の後押しになればな、と思ってこの場を開催しているところです。ひと月に大体
・2回ゲストの方をお呼びしての会
1回ワークショップにおいて皆で話す会
 を行う予定です。

さらに、イベントを企画している「株式会社まるにわ」の斎藤さんと中川さんが「マーチングスクール」誕生の理由と、そしてその趣旨についてお話しました。

「株式会社まるにわ」は、普段はサラリーマンや、建築士、デザイナーなどをやっている計5人の副業メンバーが、リノベーションまちづくりという文脈で集まってできた会社です。鳥取駅前の「マーチングビル」という5階建ての遊休ビルをリノベーションしてシェアハウスとワークプレイスの運営をメインで行っています。「マーチングビル」は、自分たちの価値観に会った暮らし方をしたり、新しい働き方をしてみたいという方たちが集まってくるような場所です。

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(↑5人の副業メンバー)

斎藤:コロナ禍を経てオンラインの価値がすごく高まってきたと思っています。オンラインで学びを得たりコミュニティを作ることが出来ていくだろうなと思い「マーチングスクール」を作りました。そこでできたコミュニティや企画をドライブしていくときには皆でこの「マーチングビル」に集まれたらいいなと思っています。

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中川:『面白い人が集まる場所に面白い街がある、まちも自分の人生も面白く』、その気持ちと共に「まるにわ」としてずっと活動してきました。今僕らは40歳前後になりますが数年前、色んな事をチャレンジするぞって言ったときに、様々な人が助けてくれました。これからはもっと若手のプレーヤーに飛び込んできてもらい、次は僕らが助ける番として鳥取のまちを一緒に面白くしていきたいと思っています。特に、マーチングビルに一緒にシェアで住んでいる人たちや若手世代とオンラインとオフラインを併用して何かできないかな、と話をしています。今日のような場も結果的にまちのチャレンジの1つの相談所になればいいなと思っております。


「王道じゃなくてもいい、自分の『かっこいい』と思う道を進む」

次に、今回のメインである尾坂さんのお話が始まりました。

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尾坂さんは今、東京にてマグロの希少部位を心行くまで味わえるマグロ専門店「マグロマート」などユニークなお店を2店舗経営しています。去年の秋に地元鳥取に戻り、実家の文具屋の一角にて新しくジューススタンド開きました。現在東京と鳥取の2拠点で生活する尾坂さんが、これまで何を考えてどんな活動をしてきたのか、主な3つの転機を軸に話してくれました。

転機1:マイナビ時代

人が集まり、きっかけの生まれる場所へ

大学時代にバーでのアルバイトにどっぷりはまった尾坂さんは、飲食業につきたいと強く願うようになります。就職活動の際も、”将来は飲食店をやりたい”という気持ちがありましたが、それでも興味をもって頂いた「株式会社マイナビ」にて入社が決まりました。マイナビでは主に中途採用や社内研修などを担当していました。

尾坂:マイナビで中途採用をしていた時、様々な方から経験談を聞かせていただく機会がありました。その体験から生き方って自分が思ってたより多く選択肢があると考えるようになり、単にバーをやりたいだけでなく、人と出会うことで考えが広がり、きっかけが生まれるような飲食業をしようと決心しました。当時は根拠のない自信があって、「大丈夫でしょ」みたいに思っていたので、3年半務めた後にマイナビを退職し、高校から一緒の同級生とすぐに事業を始めました。飲食に関してはまったくの素人でしたが、それが柔軟な発想に繋がって今のところは形になってるのかな、と考えています。

転機2:「丼とアホウドリ」での挫折

速くいくなら1人で、遠くにいくならみんなで

尾坂:日本各地の美味しいものを集めた「丼とアホウドリ」というお店を開きました。好きなものを詰め込んだお店だったので自信をもって始めましたが全く売れませんでした。メンバーからアドバイスをもらっても、意気地になって聞かなかったところもあり、結局1年もも持たずに撤退いたしました。

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(↑「丼とアホウドリ」DIYをして内装も凝っていた)

 このタイミングで僕の中の根拠のない自信が崩れて、自分は思ったほど仕事ができないぞと思うようになりました。色々支えられて事業ができるんだなっていうのを学んだ時期でもあります。
 また、同じころ、「早くいくなら1人で、遠くいくならみんなで」という言葉も知って、僕はあーだこーだもめて歩みが遅くなったとしても皆で面白いこと1人ではできないことをやりたいな、と考えるようになりました。

転機3:鳥取へ

家族と仕事をする「難しさ」それを超える「やりがい」や「喜び」
鳥取の可能性を再発見

去年の秋に地元鳥取にUターンしてきた尾坂さんは、鳥取駅前にある実家の文具屋をどうしようかと考え、その一角にジューススタンドを作ることにしました。そして8月30日「ジューススタンドめじろ」がオープンしました。

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そしてなぜ鳥取に帰ってきたかも教えてくれました。それは……

1.子どをもを鳥取で育てたかった 
 山と海が近く、家から自然の距離がすごく近い、このような自然に触れながら子どもが育ってくれたらなと思っています。
2.東京ではできないことが鳥取では出来る
 今浜村の海辺の物件を会社で購入してそこに新しいお店を作ろうと思っています。あれほど素敵な場所は東京ではありえません。また、鳥取駅前だけを見ていても、やろうと思えば何でもできるような集中したエリアがあり、色んな可能性を感じています。
3.家族と関係をもって仕事をしたい
 実家の文具屋の中にまずお店をつくることにしましたが、家族と仕事をすることは予想以上に面倒なことが多いです。別のところを借りたほうがラクだと何度も思いました。でもそれでも家族と何かしら関係をもって仕事をするのっていいことあるんじゃないかな、そう思ってやっています。今実際、妹や母がジュースを作ることに興味を持ってくれていることがすごく新鮮で、驚きや喜びに気づいたりしています。

そしてこれから……

「歳を重ねるごとにやりたいことが増えていく、それをやらないでいると自分の中でカッコ悪いが増えていく」

好きな場所に好きな仕事を持っていく、そんな面白い生き方をする尾坂さん、これからやってみたい事を拠点となる「場所」をもとに教えてくれました。

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(↑飛行機からみた鳥取浜村の海)

@鳥取
1.文具屋の改革ジューススタンドめじろの誕生

尾坂:今はなくなったから買い足しに行くような、消耗品の文具をおく文具屋ですが、消耗品だけじゃなくて、文具をもっと大切に使うアイテムとして手に取ってもらうお店にしたいと考えていてます。そのため3つ文具屋でやりたいと思っていることがあります。

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商品の入れ替え
 仕入れ先等も開拓し、面白いものを入れていきたい
ジューススタンドめじろ
 文具屋に寄ってくれるきっかけを増やしていきたい
オリジナル文具作り
 鳥取のいろんな方々と一緒に、実際に文具を作っていきたい

などを考えて今動いているそうです。

2.浜村海辺の物件

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 国道9道をずっと西に行く海辺の道にぽつんと急に出てくるこの物件、かなり古びているのですが、抜群のロケーションにあるんです。ここにピザ屋を作ろうと各方面にご協力を頂きながら頑張っています。一昨年前は友人がイベントをしてくれ、沢山人が集まり素敵な空間になりました。ここを自分たちの力でさらに面白い場所にしていけたらなと考えています。

@東京

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 今、コロナの影響で長く続いていた料店がつぶれてしまい、街に隙間ができています。そのままではさみしいので、いいなと思っていた場所に僕たちもチャレンジしたいと思い、今解体をしています。ここで本格的にピザ屋をオープンし、しっかりと業態を掴むことで、鳥取県浜村に予定しているピザ屋の基盤が作れればと思っています。

他にも、美味しい焼酎の窯のある八丈島や、山の隙間に人が住んでいるようなブドウとワインのまち、勝沼など、尾坂さん自身の大好きな場所で仕事が出来たらなと考えているそうです。自分の行きたい場所に、仕事として行く理由を作ってしまう、エネルギッシュな尾坂さんに感銘を受けました。

質問タイム

尾坂さんのお話が終わり、初めに参加者でグループに分かれて感想をシェアし、その後尾坂さんへの質問時間となりました。

Q.同時進行で複数のプロジェクトが始まっていて自分でも訳が分からないような時に気を付けていることは有りますか?

A.僕も東京と鳥取と半々の生活をし、スムーズに切り替えられていないところはありますが、切り替える必要はないと思います。鳥取のことを向こうのメンバーに相談したり、向こうのことをこっちにいるメンバーに聞いてもらったりすることで跳ね返ってくるものがあり、整理することが出来ます。

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(↑東京・中野の「マグロマート」、ピザとパスタの店「東灯」

Q.同じ店を何店舗もつくるのではなく、違う形態でお店を広げていこうという挑戦するのはなぜですか?

A.歳を重ねていくごとに、やりたいことはどんどん増えていくのに、ちゃんと実績をもって話せることが「マグロマート」だけならば、それは自分の中ではかっこよくない様な、もやもやした気持ちを抱えながら仕事をする気がします。なので、やりたい事が数ある中で少しでも新しい業域にチャレンジしていきたいと常に考えています。
Q.新しいことを挑戦するときとか、お店を変える時、迷ったりするハードルをどうやって乗り越えていますか?

A.事業を進めていくにつれ、求めるもののレベルも高くなっており、以前より簡単に物事を進められなくなっています。なので毎回乗り越えるというよりも玉砕していっています。玉砕してたまたま別で打った球が上手くいっています。乗り越えてはないけど数打ってるからどこかは当たっている、結果そういう感じです。

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(↑事業を始めたころの相方との写真(左)、地域住民との交流(右))

Q.尾坂さんに前提としてある「やってみたい」の源ってなんですか?

A.共感してくれる人と会えたことが初めの「やってみたい」の源だったと今は思います。やりたい気持ちをいろんな人と話す中で、一緒に始めた相方が「それいいね、おれはこういうのやりたい」ってたまたま共感して、飲んでいく中で決定しました。その後はうまくいかないこともありますが、動いたら動いただけ得られるものもあると知ってしまったので、それがモチベーションになっています。

個人事業を経営者、Uターンで鳥取に戻ってきた方、そして学生さん等、様々の立場の方が参加したこのイベント、専門店ならではの悩みに対するアドバイスから、学生時代にどうすごしてきたか等、幅広い内容で質疑応答が繰りなされ、大きな盛り上がりを見せました。

まとめと感想

「エモい」生き方してますか?

参加者さんの感想ので、尾坂さんの生き方を「エモい」と表現する方がいました。

参加者S:王道ならそこいかないだろってとこに行く尾坂さん、そして最たるは地元にもどって来て家族の中に入っていく。家族だから一番めんどくさいんですけど、「なんとかなるんじゃないかな」みたいなその感じ、とても「エモい」と感じました。

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(↑尾坂さんの実家の文房具屋さんの外観)

きっと他の参加者さんも「エモさ」を感じたのではないでしょうか。そして尾坂さん自身が「やってみたい」という素直な気持ちに従って楽しんで「挑戦」している姿を見、参加者全員が「自分もやってみよう!」と元気をもらったと思います。

最後に、尾坂さんの会社名の1つ「BOUT(ボウ)」。これは「犬も歩けば棒に当たる」ということわざが由来です。

尾坂:失敗を繰り返しても何かをしてきたからなにかを得ていたのかな、ということで今後もアクションを繰り返していきたいなとおもいます。

この言葉はすごく重みのあるもので、参加者みんなの心に響いたと思います。
 歩いていたら棒に当たることもあります。だけどそんなの「へっちゃらだ!」と思えるように、周囲の人とお話ししながら、常に行動していきたいなと思います。

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(↑最後にみんなでハイチーズ!)

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