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「前書き」公開『キミのお尻にカビを生やしちゃって、ごめんなさい。~稀人ハンター子育て日記~』

本日(2023年11月11日)の文学フリマ東京でお披露目した日記本『キミのお尻にカビを生やしちゃって、ごめんなさい。~稀人ハンター子育て日記~』の「前書き」を公開します。

以下、本文

まさか、自分が日記をつける日が来るとは思わなかった。

僕は自他ともに認めるテキトー男で、毎日決まった時間にどこかへ行ったり、一定のペースでなにかをしたりするのが極めて苦手だ。

そのうえ、とんでもなく飽き性だから、これまでいろんなことが文字通りの三日坊主だった。思いつきで始めてあっという間に手放したものは、数限りない。死屍累々。

だから、これまで日記をつけようなんて考えたこともなかった。日記に求められるのは、日々の積み重ね。面倒くさがらず、地道に、こつこつと書き続けられる「こまめ」な人に向いている行為で、僕はその対極にいる。

それなのに、どういうわけか、ふと思い立って日記をつけ始めたのが、2016年4月26日。なぜ? という理由についてはこの後に記してあるから、ここでは触れない。

2023年の秋、ひと通り読み返して驚いたのは、熱量だ。そのパッションをわかりやすく表しているのは、文字数。1年分で17万字を超えていた。これまで自分が出版してきた書籍がだいたい10万字だから、書籍1冊を軽く上回る。

「その頃、暇だったのかな?」とも思ったけど、特にそういう記憶はない。5月30日の日記に書いた、自分にとって重大な目的を果たすために、ただただ全力疾走していたんだと思う。そう、ブログを始めるときにつけたこの日記のタイトルは、「フルスロットル子育て日記」だ。

マラソンでスタートダッシュを仕掛けた素人が途中で脱落するように、僕も息切れした。2016年4月26日から11月末までの約7カ月間、ほぼ毎日書いたけど、12月に入ってポツポツと穴があき始め、翌年になると穴が大きくなった。

それでも、よくやったと当時の僕に言ってやりたい。物書きとして、17万字は気軽に到達できる文字量ではないとわかる。

マイベイベーが生まれた日に撮影した一枚

初日の日記にも書いたように、僕は2014年11月13日、生まれたばかりの娘を見て、「10年間を君に捧げる」と誓った。それから9年が経った今年、物書きの仲間たちが文フリに出るという話を聞いて、「この日記を本にして、マイベイベーにプレゼントしよう。その本を、文フリでお披露目しよう」と閃いた。

まず、本にしようと思ったのは、ブログのままだといつサービス終了で閉鎖されるかわからないし、そもそも文字数が多くてブログの体裁だと読みづらいから。なにより、「目的」を実現するための手段として、手元に残る書籍の形にするのはいいアイデアだと思った。

日記本を世に出そうと思ったのは、つい最近、コロナ禍の日記を一冊にまとめた仲間の作品を読んだら意外なほどにおもしろくて、あっという間に読了したのが大きい。実はそれまで、文学を含めて誰かの日記を読んだことがなかった僕は、このとき初めて「読み物としての日記のポテンシャル」を感じた。この経験があったから、「そのポテンシャルに賭けよう」と思えたのだ。

問題は、文字数。17万字あると、文庫サイズで400ページを超える。大作レベルの分厚さだ。マイベイベーに渡すだけならいいかもしれないけど、さすがに一般の人は他人の日記を400ページも読むのはつらいだろう……ということで、上下巻にわけることにした。

200ページぐらいならサラッと読めるし、「上」を読んだ読者は「下」も気になって、手に取ってくれるのでは? という甘い期待もある。

マイベイベーの誕生日である11月13日は、僕にとって「いい父さん」の日。9歳の誕生日に上巻を、10歳の誕生日に下巻を贈ることで、いい父さんとしての評価を高めたい(笑)

そして読者の方には、自由気ままにフリーランス生活を満喫してきたノーテンキ男が、慌てふためき、クヨクヨと思い悩みながら、過保護にハッスルする姿を楽しんでほしい。

上巻に収録した2016年4月26日から7月31日までの日記を、どうぞ。


『キミのお尻にカビを生やしちゃって、ごめんなさい。~稀人ハンター子育て日記~』
は、オンラインでも販売しています。
購入希望の方はオンラインショップ「稀人商店」へ。

初めての自費出版書籍です。 娘が1歳半の頃、唐突に書き始めた子育て日記を書籍化しました。 くよくよ、アタフタしてばかりのズッコケ録。 新書サイズで、ボリュームたっぷりの256ページ。 デザイナーと組んで、商業出版の書籍と並べてもおかしくない作りにこだわりました。


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