ネオニコチノイドと子どもの発達の関連性

私は以前からネオニコチノイド系農薬の安全性に疑問を持っています。
それに関するnoteもいくつか書きました。

そんな中、今年2023年11月、国立環境研究所のエコチル調査コアセンターによるネオニコチノイドと子どもの発達指標に関する研究結果が発表されました。

と、その前に、エコチル調査とはなんぞや?という所ですが、
「エコロジー」と「チルドレン」を組み合わせての「エコチル調査」という造語のようです。
国立環境研究所は元々、環境庁の研究所として発足し、その後の省庁再編により環境省となった際に独立行政法人となった組織です。
様々な研究を行う中の一つに、今回のエコチル調査センターがあります。

エコロジーとチルドレンを組み合わせたエコチルという言葉の通り、ここでは子どもの未来を考え、現代の環境が子どもたちの成長・発達にどのような影響を与えるのかを明らかにする調査を行っています。

そのエコチル調査で今回、8,538組の母子のデータから母親の妊娠中の尿中の9種の浸透移行性殺虫剤(ネオニコチノイド系含む)が4歳までの子どもの発達指標にどのような影響を与えるかの調査結果を発表しています。

結論から言うと、「母親の妊娠中のネオニコチノイド系農薬等ばく露と4歳までの子どもの発達指標との間には統計学的な関連は見られなかった」とのことでした。

今まで、胎児になんらかの影響を与えているのではないか、と言う疑念のあったネオニコチノイド系農薬について、ひとまずは安心出来る結果が出ました。
それぞれの国や地域で異なる環境・気候がある中で一概に同じ指標では語れませんが、欧米、特に欧州に比べ日本はネオニコチノイド系農薬の使用量は多い国です。
さらに食品残留値も緩和されています。

そのなかで今回、2010年からの8,538組の母子のデータを解析対象とした追跡調査で、母親の尿中ネオニコチノイド系農薬等濃度と子どもの発達指標との間に関連は見られなかった、との結論に至っています。
なお、妊娠女性を対象とした尿中ネオニコチノイド農薬等濃度の調査によると、ほぼ100%の妊娠女性からネオニコチノイド系農薬等が検出されているとのことです。その濃度は1日の許容摂取量を超えないものだったそうですが、この結果から、現代はあらゆる食物にネオニコチノイドが残留しているらしいことが分かります。

この調査では、ネオニコチノイド系農薬と子ども(胎児含む)の発達への影響は確認されませんでした。
これでネオニコチノイド系農薬の疑念は晴れました。
しかしこの調査の中でも触れていますが、「脊椎動物であるマウスなどの動物実験により、無脊椎動物だけではなく脊椎動物に対しても神経毒性があることが報告されるようになりました。」とあります。
また、今回の調査では、発達全体の遅れをスクリーニングしており、ネオニコチノイド系農薬等が持つ神経毒性を直接評価できていない可能性もあると報告しています。

この結果でネオニコチノイド系がヒトの胎児へもたらす毒性が白か黒かはっきり分かった、ということではなく、白に薄まった、と捉え、これからの継続的な調査にも関心を持っていきたいと思います。

ちなみにマーフィーズファームでは、広範囲の虫たちへ影響を及ぼすネオニコチノイド系農薬は、引き続き使用しません。
生物の多様性の中に、価値を見出していきます。



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